2006/10/24

『AKURO』10/23 うじゃうじゃ~?

『AKURO』 10/23 19:00@サンシャイン劇場

安倍高麿:坂元健児 謎の若者(アテルイ):吉野圭吾
イサシコ(赤毛):駒田一 坂上田村麻呂(田村丸):今拓哉 



アケシ(鈴鹿御前):彩輝なお



オタケ:平澤智 源太:西村直人 ヒトカ:藤本隆宏 
ヤイラ:川本昭彦 キクリ:福永吉祥
アラカオ:平野亙 クスコ:武智健二 鹿の精霊:藤森真貴



企画・演出・振付:謝珠栄

いきなりハイライトDVDの販売中止のお知らせが・・・ しくしく。詳細は公式HPはTSミュージカルを。
著作権がクリアになり、発売が先になってもこの渾身の舞台をもっと多くの人に楽しんでもらえますように。



坂上田村麻呂伝説に出てくる「悪路王」からAKUROのタイトルがついたんですね。



悪路王はアテルイとされ、これは大和朝廷の侵攻に敵対した東北の軍師アテルイにまつわる物語です。



すでにアテルイは今拓哉さん演じる田村麻呂に殺害されており、そのアテルイを吉野圭吾さんが。アテルイが殺され降伏した蝦夷の監督に朝廷から送り出されたのが、安倍高麿、坂元健児さん。



蝦夷の刀鍛冶の技術を守って大和朝廷に抵抗を続ける、隠れ里のリーダーが駒田一さん。



圭吾さんの魅力



謎の若者」という役名って面白いんですが、プログラムで「アテルイ」とされてますので、見てる側には謎でなくてもいいみたい。



いやいや! もう! 隙のない美しい姿を拝見でき、まことに眼福。そして涙。



いつ出てくるのかしらと思ってたら、初っ端から烏帽子をつけてシックな茶系の袴姿で登場。大和/権力側で作られた討伐の物語を語り、踊り、謡います。



私はここを観て、これは好きになる!とかなり確信。音楽、ダンス、いずれも奇をてらわないけどシンプルで訴えるものがありました。



次の登場は、「謎の若者」として。
寝てる高麿の枕元に「うじゃうじゃ~」と言いながらでんぐり返し? くるる? しかし静かに、いたずらっ子みたいにするっと登場です。
衣装はきれいな青地に、毛皮をつけたもの。なかなかワイルドでクール。



それで、高麻呂が田村麻呂から命令されている鉄の谷(製鉄の技術をもつ者たちがいる)探索に協力してあげよう、と持ちかけます。



烏帽子の踊りはお囃子みたいな感じだったけど、今度は夜に出立していることもあって幻想的な感じも。
隠れながら、右に左に、時に綱渡りのような格好もあり。屏風岩の前まで案内。



高麿にしたらオイシイ話だけど、若者の意図が掴めないんですよ。これは観客にとっても同じ。にこにこ楽しそうな表情で、夜中に移動するなんて怪しいしー。



彼は敵なのか味方なのか? 
もし物語の先を知ってても、この圭吾さんの表情は「何をさせようとしているのか(高麿とっても観客にはまだ分からない)」という意図があるものでした。



でもって、正直で平和な世界の理想をいだく高麿くんが鉄の谷にいる蝦夷に見つかって、捕縛されていくとこ。
案内するって言ったけど安全にとは・・・(こんな意味のこと、セリフは不正確)」と言うときの、意地悪にも見える表情が、なんともぞくぞくしますっ。 



悪童め!



その悪童の表情が、ものすごい感情の盛り上がりをともなって蝦夷たちの未来のために死んだアテルイへと変化する場面が2幕にあります。



ヒトカ(藤本隆宏)が田村麻呂の兵に捕らえられ、拷問を受け殺されるとこ。



セリフなし、動きなし。



舞台の上手、ぎりぎり前に立ち、その場にいるだけなの。



でも、わぁぁーっと! 自分の死が蝦夷の平和につながっていない・・・希望が裏切られている切ない悲しみ、怒りがないまぜになって、押さえきれなくなっていく。



で、一瞬、ほんの一瞬だけアテルイにも「鬼」のような激しく邪悪とも言えるものが走ったかと思うと。
それは押し込められ、かわりに「アテルイである」という名乗りに。



ひゃあああ。カッコ良すぎですって!



ふわふわっとしてた善悪とは別の高見の見物をしてた「若者」の姿はなく、蝦夷の命を背負ったリーダーがそこに立ってました。すっごい変身ぶりですヨ。私、胸がいっぱいでしたー。



演出(照明)もあるんですけど、ここの圭吾さんのカラダの周囲にはめらめらと青い炎が上がっているかのようでした。冷酷な炎・・・



行き変わり死に変わり・・・」って歌う声も、凄みがあって怖いくらいでした。この命が絶たれても、命をつないで大和に抵抗するぞという呪いのよう。



まだまだワンダフル圭吾さんを称えます! でも今日はココまで・・・



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