2014/06/30

『ビッグ・フェラー』5/31-6/1 6 マイケルが一番恐ろしい

大千秋楽(7/5 びわ湖ホール)まで、あと少し。少しずつ時間をあけつつの公演ってどんな感じなんでしょうか。
東京公演とは、きっとまた深みが増しているのでしょうね。見てみたかったー。

さて、私のビッグ・フェラー思い出しメモも、シメておかねば。うまく総括できずに、だらだら書いているのですが、最後の場面について書いておこうとおもいます。

■2001年9月11日、朝、マイケルの部屋。
アメリカ同時多発テロ、もしくは<911>と呼ばれるテロ事件です。お若い方には少し遠い話かもしれないですが、私にとってはつい最近の出来事のように感じます。ニュースを見ていたら、いきなり速報、わけが分からないままライブ映像が流れてくる。
事件後、アメリカは報復行動に出ましたが、それも間違いが多く、相手国の民間人もたくさん犠牲になりました。

なんてことを思い出しながら、おだやかな9月の良く晴れた朝。マイケルの部屋が舞台です。登場人物はマイケル1人、セリフはありません。ラジオが流れ、<ルエリコーナー>についてちょっと出てくるあたり、地続きの話だなぁと思わせます。もはや、なぜルエリコーナーなのかを知る人も減っているのかもしれない。

日常の考えなくても出来るくらいの毎日の行動、部屋着でコーヒーを飲み、シリアルを食べる。歯を磨く。制服に着替える(正装ではなくて、消防士のキャップ、ジャンパー) 車の鍵をじゃらっと掴んで、消防車のサイレンの音をBGMに出て行くマイケル。何も考えなくても出来ます。

ここの視点としては、
1、観客はこの日が何の日か知っているが、マイケルはありふれた日常のヒトコマを過ごしている。

イスラムのテロリストは何を考えているのか分からない、と散々話していたマイケルが、その現場に向う直前の風景です。
イスラム教徒でもなく、アイルランド人でもなく、アメリカ人でもない、平和ボケなどと言われる日本人の私には(そして過去は水に流しちゃう日本人)、暴力でうったえれば必ず報復が起こり、収拾つかない泥沼になるとしか思えないけれど、マイケルの日常には暴力の応酬が大なり小なり、常にあるのですね。

2、観客は直前のシーンでコステロがマイケルの浴室で死んだことを見ているので。
ま、まだこの部屋に住んでいるのか!

↑私の感想ですけどね。良く住めるな・・・ お風呂入るんでしょ? それよりトイレも同じだものね。こう思うと、ここまで特徴がなくて全然前に出てこなかったマイケルという役について、ゾワゾワした気持ちになります。
この人、本物なんだ。ホントに、ホントに、虚無がすごすぎて穴が深すぎて、奥底なんか見えない!

コステロやルエリには、越えられない一線がありました。メキシコ行き、に手を貸してはいても、各自のなかにどうしても、それは受け入れられない、というラインがあったのです。
怒っても、悲しんでも、ここから逃げ出さす、仕事をこなし、むしろ良識ある市民として生きているマイケルが、最も何もかもを受け入れて(拒否するラインがないのかもしれない)、父親のように慕った人物を殺した(と、いうことで書きます)浴室で、部屋で生活し続ける。

こえええよー。

崇高な理想を日々唱えて、いかにも戦士のような生活を送らず、善良な市民として生きつつテロ組織を支援する活動をする。
こういう<テロリスト>もあるのだ、いや、こういうテロリストのほうが実際は沢山いるのかも。

人間の生き方として、マイケルのような人こそ恐ろしい人と言えるのかもしれません。暴力に訴える人も、やはり恐ろしい人ですし、私は受け入れがたいと思っているけれど、当事者なのに傍観者のようにそこに居る、マイケルも恐ろしい人です。

思い出した、二都物語の浦井くん。
私のニブチンぶりの話ですが、『二都物語』初見時、芳雄くんの演技が輝きまくっていて、浦井くん大丈夫?って思ったことを思い出しました(リンク先)

結論からいえば、大丈夫だった。
私の目が、アタマがニブいだけだったのよね。

特徴がなく、覇気もあまりなく、言われるがままとチクリ言われる男の、怖さですよー。

主演の内野さんあたりは、お若い頃からそりゃもう素敵だったし、演技します俳優という居住まいで、漫画のキャラ越えした(→宗方仁)時には、さすがウッチー役者魂などと感動。
こういう方向で大きな役者さんになっていくのだろう、と道が見える感じでした。スケール大きい役者ってあたりでしょうか。主役も食いかねないが、脇もできます。

浦井くんファン(わりと好き、くらいのファンだといい続けてるけど、最近違うかもしれない気が)として、食い入るように見つめているのに、演技うまい!という感じもないのに(大変失礼な書き方でどうしていいか分かりませんが、浦井くんは<芝居上手>ってくくれる感じじゃないんだよなぁ) それなのに、どこまで伸びるのか見極めきれない。
キラキラも出るのに、オーラも消せるんだな・・・健治、これからも楽しみにしてるわー!

あまりに発展途上の浦井健治から目が話せないよ。伸びしろが見えなくて、楽しみすぎて、きっとオファーがたくさん来てるところじゃないかと推察します。
天性とか魔性っていう役者さんもいますが、浦井くんは努力のあとだったり、格闘が垣間見えるように思えるのが、魅力なのかも。

ちなみに、マイラブ祐一郎も努力(垣間見せないけど)タイプだと思ってます。毎公演、レベルアップしてるのが愛おしいという・・・

大千秋楽をご覧になる皆さま、私の代わりに進化しているビッグ・フェラーをご堪能くださいませ。

2014/06/29

しょうがシロップbyほぼにち(糸井重里レシピ) うまい・・・!

今週は暑さが戻って体力も下降気味だったので、今だ!と思い立って

ほぼにちで公開されてる「しょうがシロップ」作ってました。おいしー!ピリリとしょうがの辛みに、スパイスが上品に香ります。私の好みは、さらにスパイスが香ってもいいかなぁというところ。次はスパイス多めにしてみよう。
瓶に入れららなかった分を試飲、炭酸水で割ってみました。


作るのはすごく簡単。いちばんツライのが、最後にしょうがチップのため天日干しの準備するところね・・・(一枚一枚並べるので、次は薄さは保ちつつ、大きめに切ろうと思います)

あと、皮を剥いて作るのですが、皮にも成分がある・・・(はず)と思い、皮もスパイスとは別にお茶袋に入れて一緒に煮出してます。

2014/06/28

『ビッグ・フェラー』5/31-6/1 5 ショッキングな話をします。

冒頭と同じく、聖パトリックスデイでのパーティー会場で演説するコステロのシーン。
タキシードのウッチー。民族衣装ではないところが、30年ほどの年月を思わせます。

自分の歴史、アイルランドの歴史をざっと振り返るような話が前半。そして、30年務めてきたパレードの先導役を引退し、後輩に譲ると言う。

ビッグ・フェラーと呼ばれたかった。賞賛されたかった。引退宣言の人間としては、悪くないスピーチですよ。

そして、<ショッキングな話をします>と続ける。前半はビッグ・フェラーとしてスピーチしていたが、明らかに、これまでのスピーチとは空気が違う。

密告者は自分だ、と。

お前はもうお終いだ! お前はもう、終いだ!

この声って誰でもない男、として聞いていいのかなぁ それとも、トム・ビリー(黒田さんの声だったと思うのだけど)として聞くべきなの?
このスピーチは、もちろんトム・ビリーもマイケルも聞いているのは分かるんですが。

はー、一瞬前までの大物感はどこかへ消え去り、隠してきた自分をさらす男がいるだけ。かといって小物になったかというと、そうではない大物だった(オーラが消えた)人というのかな。

固唾を呑んで、という比喩がぴったりな気持ちで、コステロのラストシーンまで見てました。冒頭と同じパーティー、スピーチ。舞台上でも暗闇のなかスポットライトで浮かぶのはコステロの姿のみ。
同じ演出ながら、冒頭では自信に溢れた男の輝きを映すようなスポットライトだったのに、ラストスピーチでは、法廷に立つ被告人か・・・もしくは刑の執行を待つ囚人か? 哀しい光が当たってました。

それから、自分は<アメリカ人だ>というセリフがありましたね。FBIの仕事を褒めろ、と(密告先)アイルランド人ではないんだ、というのがコステロのたどりついた自分の核だったんだってことでしょうか。
友人、仲間に嘘をついている自分に耐えられない、というのもあったのかもしれません。
IRAの目的と手段に疑問を覚えなかったときは、嘘だってつけたはずです。IRAが自分の理想から離れていくなかで、密告者となって舵を取り戻そうとしていたけれど、出来ませんでした。

ほんと、冒頭スピーチとの対比が、うまい!という配置で。
黙ってることもできたのに、さすがビッグ・フェラーだ>と言われたいのだ、とか。自分に突っ込むようなスピーチをこの時点でも入れてくるあたり、スピーチうまい人だ。
いつもスピーチは練習してた、アドリブに見えるところも全部考えていた、とも。確かに、それは虚栄心なのですが、キュンとなるエピソードでした。練習してるコステロ! イジラシイ。

お前はもうお終いだ! お前はもう、終いだ!

演じるウッチーも、そりゃ声音とか振る舞い方とか、技術がたくさんあるのだろうけれど、分析なんかどうでもいいわーっ 役者のレベルがわかるシーンだった。見事でした。

なぜかは分からないけれど、野次に怒りもせずゆったりと構えるコステロが、今こそ<ビッグ・フェラー>らしい。

最後に、イェイツの詩を朗読してフェイドアウト。

2014/06/27

「東宝さん、今よ!」と友が叫んだ

こんばんは。
夏が戻ってきた北国です。暑いわー(嬉しい)と思っていたら、友人Pちゃんからメールが。

東宝さん、今よ!

こんな感じの一文のみが届いた。でも意味はわかる。

劇団四季の浅利慶太氏が経営から退くとのニュースに一言ですね。
http://www.shiki.jp/navi/info/renewinfo/025213.html

少しずつでもいいから、新体制になったなぁと思うような良いニュースが聞きたいわー。生オーケストラ!オーケストラよ!テープじゃ全然ダメなのよ! 全部じゃなくてもいいから、生オケで歌っておくれ。

さて。私たち、ずーーーっと願っているの。

祐一郎ファントムが見たい!

おじさまファントムでいいのよ。もう、マントひらひらーってしてくれるだけでもいいし、鼻歌でもいいし。ラウルは日替わりでお楽しみって手もあるわ。石丸さんとか、石丸さんとか。あれ?
クリスティーヌには、もちろん岡幸二郎さまが挙手するはず。フフフ。

四季輩出オールスター☆ファントムで行きましょうか。キーヨファントムにも会えますよー。
鹿賀&市村のお2人は、お楽しみで支配人コンビ(贅沢すぎてぶっ飛ばされそうです) いっちゃんはファントム枠かのう・・・

いや、四季出身じゃなくとも。笹本・新妻のお2人は祐一郎がらみでなくとも、見てみたい。

ズレるけど、聖子ちゃん大好きなので、アイーダとかウィキッドでガツガツ歌ってほしい。歌声きくためなら、MA復活してもいいくらいだ。見るよ。

劇団四季の真面目さには、アタマが下がるし、全国の小さな島にも舞台を届けてくれる心意気にはいつも尊敬の念をもっています。
演劇で健全経営を保つのも、きっととても大変なのだと思う。
退団時のゴタツキなども、実際はわからないものの、浅利氏がこのくらいの人だったから劇団運営してこれたのだなとも思う面もある。良くも悪くも筋を通す方なのだろう(円満退社であれば、言うことなし)

でもね、四季が育てた祐一郎じゃないか。
祐一郎ファントムをチラッとでも見せてくれないかな・・・・

2014/06/22

『ビッグ・フェラー』5/31-6/1 4 暗い空気がただよってくる後半

美術館。
ルエリがカレルマ(FBI)に情報提供していたことが明らかにされる。これだけ提供しているのに、なぜNY支部が野放しのままなのか、もうやめたいと詰め寄っているルエリ。
情報提供の見返りに、ビザ取得。資格も取り、NY市民として生活しているようだ。

IRAからは抜けられない規則だが、せめてもの手段でFBIに解体してもらいたいと情報をFBIに渡すが、泳がせて監視しているだけだった。

カレルマと会話中は訛りを出していたルエリだったが、マイケルの部屋へ場面が変わると(ルエリはメガネを掛ける)訛りがするっと消えていた。あれあれあれってくらい、スマートな都会の男風になるルエリ。舞台上で衣装チェンジ。

■1998年
分隊長になったマイケルとトム・ビリーが警報機の9割は間違い(いたずらとか)なのに、そのたびに俺たちは駆けつけなくてはいけない、と不満話をしているところへ、ルエリが耳が聞こえない人(通報できないから)でも使えていいシステムだ、と反論してる。

相変わらず聴覚障害者への差別語発言のトム・ビリー、横で<ヒゲ生やしてる!>マイケルはたしなめずアハハと笑っているのだった。

それから、イスラム教徒らが起こすテロについて<何を求めているのか分からない><自分たちとは一緒にするな>とわめきあっている。
IRAは予告するし、無関係な人は巻き込まないというが、オマーでの事件はどちらも行わず市民を巻き添えにした、とIRAも変わらぬテロ行為を行ったことがわかる。

巻き添えの市民にとってはどちらも殺人をしたテロリストなだけで、IRAもイスラム過激派も同じだ。たしか3回くらいマイケルが<(イスラムのテロリストが)何を求めているのか分からない>と繰り返していて、随分繰り返すなぁと気になりました。
分かったら納得できるのかしら。理屈が自分たちの世界観とは違う人たちがいることが、不安なのだろう。目的がわかったところで、テロ行為が正当化されはしないと思いますけど。

ルエリがトム・ビリーに、イスラムの人たちのゲイに対する考えとお前の考えは一致してる、と揶揄し、さすがに悪態もちょっと引っ込んでましたっけ。難しい話はわかんねぇよう~と笑っていた姿はもうなく、ヒューゴ・ボスのスーツを着てメガネかけたインテリ建築士な態度で、すっかり成功者に変身。IRAの使いっ走りから、大変身してます。
ゲイネタの時の、マイケルのフハハハ!の笑い顔といったら、安いビールをぐびぐび飲みながら下品な話に笑ってつきあう。大成功のルエリと対照的でしたね。品は金でも買えない・・・高潔な精神などどこかへおいてきたようです。
予告なしのテロを行ったIRAのように、マイケルもまた良くないほうへと変化していったのだった。

■犯罪歴があるのに、ビザが取れたルエリはあやしいと、マイケルに吹き込むトム・ビリー。
確かにね。
マイケルの心に疑念が湧く瞬間だった。素直なんだよね、マイケル。言われたら、そうなのか。って素直に聞いちゃう。そうだとしても、自分で考えないと!

疑念植えつけられた後に、またもトム・ビリーとルエリが言い合い(きっかけは忘れたわ)、2人は殴り合いに。止めようと間に入ったマイケルも、会話の流れでマイケルが恋人だったライアンを見殺しにしたことをルエリに言われ、仲裁どころかルエリをぶん殴った。

マイケルが暴力に直接うったえたのは、初めてのシーンです。もうショックなんですけど。図星なこと指摘されたからって殴るなんて、トム・ビリーと同じレベル。気に食わないやつは殴るのか・・・あーあ。

■口にキスしてないなら、OKなのか! おいー。
コステロが荷物を抱えて部屋に入ってくる。トム・ビリー、ルエリが男にフェ●したことあるんだってよ、とコステロに言うが、コステロは口にキスしてなきゃOKだって答える。アハハ。
してもしてなくても、別にいい・・・

ほんと、自分と違う考えの相手にどう接するかは永遠のテーマだわ。私も自分と似たような人と集まってたほうが楽だって思うし、まぁ楽しいことも多いもの。
でも、世界は自分と違う考えの人のほうが多いくらいかもしれないし、分かり合えないから敵と言うのは器が小さすぎる。納得できなくても、どうにか付き合える方法ってあるのかな。

最終段のコステロ、けっこう年とってました。白髪増えたし、動きも老人に入りかけてる。衣装は変わらずきっちりしたものだけど、動作や声で年齢感を醸してました。ウッチーうまい。

■かわいい! くまちゃん!
浦井くん・・・ これ英語台本も<くまちゃん>に匹敵する幼児語なのか気になるー。ひげ生やした分隊長さんが、くまちゃん・・・ かわいいけど、さっきまでの会話とのズレがすごい。このセリフ言ってる浦井くんは可愛いけどさ、マイケルはオカシイわよ。

中の器械を、起爆装置(だったけ)だかと入れ替えて、アイルランド(だか、英国だか)に送る手はずとコステロ。
かわいいくまちゃんに起爆装置を入れるなんて、ヒドイ。

ついに、ルエリは自分は降りる、作業はしない、と宣言してアパートを出て行った。ほうっておけ、というコステロはやっぱりオトナだ。もしかしたら逃げるチャンスが残っているかもしれないと期待したんだと思ったから。
きっとFBIに密告してたに違いない、と鋭い発言のトム・ビリー。警官は警官なりの眼力があるものね。

イスラム教徒は何を求めているのか? →罰すること(コステロの答え)
まだこだわっていたマイケルが、コステロに聞いての回答。宗教が問題の土台で、他宗教を信仰する人間を罰したいのだ、という。
これは一神教だから起こる感情なのかな。どの国にも神様がいて、いいじゃないかと思うけれど。自分たちの信仰のためには、他の宗教が邪魔になってしまうもの?

舞台では、短いルエリのシーンが挟み込まれ、ラストへと展開していきます。不穏な音楽が流れてたよ。FBI(きっとカレルマ)に今すぐ保護してくれ、と電話してます。






2014/06/18

『ビッグ・フェラー』5/31-6/1 3 怒りによって残酷さを出すマイケルについて

うわぁー、という1幕の重苦しさから解放されないまま、2幕

1987年、フランク・マカードルがマイケルのアパートへやってくる。
ライアン姐さんも言っていたが、マカードルには嫌悪感だわ!

IRAの目標とは別で、個人的に暴力的なことが好きな人物なんだと思った。アタシの健治に何するのよー(違うから・・・)

尋問に行く前に、ルエリと家族の話をしてたのだけど、アルコール中毒のリハビリ中だというのが分かります。今は禁酒期間も長くなってて、妻も喜んでいるらしい。娘が5人だっけ。
アイルランドは離婚や中絶が長い間禁止されてたんですよね。家族観は保守的なんだなと理解。

まずルエリに頭突き。鼻血ブーさせてバスルームへ追い立てる。
ついで、音楽隊の練習から戻ったマイケル(民族衣装が似合ってます)に尋問、バッグを頭に被せ、上から殴る。殴る。殴る。さらに、電気ドリルでルエリをドリル・・・し、マイケルの膝にギュンギュン音を立てて押し付ける(まだ穴はあけてない)

ここでの腹を殴られて悶絶してるシーン、殺陣師さんが来る前に真剣に何度も何度も練習してたら、ウウッってやりすぎて、吐いたという。浦井くん、やりすぎ・・・
と、吐くほど悶絶練習した甲斐あって、なかなか痛々しいシーンに仕上がっていました。

暴力で真実が分かるかというと、そうではなくて、マカードルがわざわざNYに来たのは、締め付けのためでしょう。誰が密告したかがわかれば一番だけど、分からなくても見せしめに痛めつけておこうという考えです。ああ、嫌だぁぁ

コステロ(マフィアのボスみたいな衣装で!)カッコ良く登場。当然三つ揃いのスーツに、帽子に、コートは肩にかけて。きゃー、カッコいい!
来た!俺らのボスが!

ここの対応見てると、やっぱりボスに相応しい人物なのが身に染みます。オレの部下になにしてくれる!ですよ。

バッグ被せられたままのマイケルに触れたとたんに、ビクってする彼を見つめるコステロの表情ったら、大きな父性だったな。マイケル、恐がってて可哀相なり。
その後、ぎゅーっと握り締めたままのマイケルの拳を、包みこむコステロの手が温かかった。1幕ではライアンをメキシコ送りにしたっていうのに、またまたコステロカッコいい・・・ついていくー!という気になりかける。ほんと、この人危ない。カリスマだもの。

拳銃を向け、場を制圧するNYのIRAメンバー。コステロ、鼻血止めで詰め物してるルエリ、顔がはれてる風のマイケル。
<殺しちゃってくださいよ!> コステロに救われ自分たちが主導権を握ったのを見て、とっさに叫ぶマイケル。恐い。うん、マイケルはここまで手を下すところは登場しないけれど、暴力には暴力で、という反応が身についているんですね。

弱みを突く作戦のコステロ、マイケルにプレゼントしたとっておきのスコッチ(だったかなぁ アイリッシュウィスキーではないけど、って言ったのは覚えてるんだけど)の封を開けさせます。
(中身は「午後の紅茶」ですって)

いい音でグラスに入ったなー。マカードルの目の前をチラつかせ、香りを振りまいて。うんめぇー!叫ぶマイケル。子供みたいにはしゃいでます。恐怖からの解放感、マカードルへの憎しみが爆発。
理性あるときならマイケルは表にださないのかもしれない。
棚の上に立って雄たけびのマイケル。テンション上がって好戦的になっているのが、でも人間ってこうなりがちだよね、とも思う。真っ直ぐな好青年が少しずつ変化していってるんだな、と哀しくなる姿だった。

結局、マカードルにウィスキーを呑ませるコステロ。そう、これがマカードルの弱みだから。呑まされたあと、自らグラスを持って飲んでしまうマカードル、最後には嗚咽。完全にコステロとの勝負に負けました。
コステロが反撃するって思わなかったのか、ものすごく不思議です。アメリカ人は銃を持ってるものでしょ? そのぬかってるあたりが、リアルなのかもしれないですね。

冒頭場面からマイケルが祖父のギターを壁に釘打ちしてる話が出ていて、マカードルが激怒するといわれてまして。
マイケルがギターにこんな事をするのは、脚本的に意図があるんだろうと考えてみます。

マカードルが怒る、という伏線だけでしょうか。マイケル、警察の楽団に参加してるということは何か演奏してるってこと?ルエリがひどい音だって揶揄してたけど(バグパイプとか・・・?) 自分が使わない楽器だからって壁に打ちつけるって、けっこう驚きます。しかも祖父のものなのに。
私が感じるのは、マイケル意外と無頓着な人?です。

多くの人は楽器を使えなくしちゃうことに抵抗を覚えるものではないかと。それが出来る人物としてマイケルが描かれるなら、マイケルは自分のルーツにも無頓着な面があるのか。
アイルランド人は音楽が好き、っていうのが一般的な見方であれば、時代ごとの流行を押さえたマイケルの音楽の趣味も、やはりルーツに対する距離感とか態度を示してるんでしょうか。
来るもの、基本、拒まず。マイケル。

たまたまアイルランド系アメリカ人で、たまたま近くにIRA隊員がいて(トム・ビリーのこと)、たまたま血の日曜日事件が起きた頃、青年らしく公平さを願って入隊した、というのがマイケルへの理解でした。自ら掴み取ったというより、目の前にあるものに反応してきた感じ。

ラストに告白されますが、密告者のひとりはコステロでした。この場面においてコステロは、自分の密告によって、マイケルやルエリが暴力を受けているのを見るわけです。心が痛んでるはず。
そして、マカードルが暴力で人の上にたつようにしか生きていけないの見て、またまたIRAのあり方について思い巡らし、マカードルに酒を飲ますことでやり込めた自分のことも、きっと好きになれないでいるのだ。

コステロがマカードルに勝ったのを見て、マイケルは嬉しそうなのだけど、コステロはあまり嬉しそうじゃなかった。正義の目的のために邁進してた自分はもうどこにも居なくて、いろいろと手を汚し心を疲弊させている自分を見つめていたのだと思う。

と、まぁ帰宅して思い出すと、こう理由付けとか言葉になりますが、見ているときはどこにも行けない閉塞感といいますか、虚しさがぐいぐいと舞台から迫ってくるのでした。
カッコいいコステロ(ますます事業も成功か)とは対照的に、心が沈んでいく様がね。なんとも言いようがないどんより感でした。

2014/06/17

『ビッグ・フェラー』5/31-6/1 2 健治、一丁

*1981年 カリビアン・ビジネス・ウーマン・オブ・ザ・イヤー/カレルマとルエリ
美術館にて。

ルエリのアメリカでの裁判についての話。まらルエリちゃんは訛ってる・・・
ルエリ・コーナーで待ち合わせ♪ 通りの名前にはなれなかったけど、ルエリはけっこうな有名人になったようだ。

ルエリから情報を得るため、再接近のカレルマ。颯爽としたビジネスウーマンですが、やはり町田さんの不思議イントネーション&裏声セリフにくらくら。

マイケルのアパート、いちゃいちゃ楽しそうな二人。マイケルとミス・ライアン

と、とりあえず白ブリーフ一丁(白ソックス付)の浦井くん。明るく楽しそうないちゃいちゃぶりで、あれか、水戸黄門における入浴シーンのような・・・ってそんなことはありません。おねえさんといちゃつくマイケルの悲劇への序章ー。
いちゃつくわりに、ちっとも浦井くんからお色気が感じられなかったけど、それは2-3階席だったから? 1階席には伝わってたのでしょうか。
明星さんはほっそりタイプじゃないけど、足がセクシーでした。うらやましい。あと、声も落ち着いていてとてもいい。

あれ・・・浦井くんが麗しいトート閣下以外とキスしてるのを初めてみた(ような?)。ライアン役の明星さんが、おねえさんなものだから、いいなぁと思ってしまう。(浦井くん可愛いから楽しいシーンだったよ、ジェラシーでめらめらするかと思ったが、ちっともでした)

結婚しよう! と単純に叫ぶマイケル。あと、男性たちといるときにはない素直な可愛い声でしゃべってた。男子ズの時は、低い消防士声で話してたよね。旅行先のレストランの話をするけど、全部ライアンに見透かされてかわいい。
それから男子ズのときは、会話がぽんぽん運ばないけれど、ミス・ライアンとはとてもスムーズに会話してる。これも脚本と演出の計算だよね。基本、素直なんだなぁ

ライアンの次の任務地についての知らせを持ってくるコステロだが、それはメキシコ行きだった。
1972年の場面で、マイケルは<メキシコ行き=死>の意味を知っているので、打ちのめされる。でも、規律には反抗できない。

トイレー!! と駆けこんでくるコステロ。酔っ払い。
ライアンにメキシコ行きの決定が出たので、嫌になって飲んでからきたのかな、と。

コミュニストどもめ! コステロはIRAのジェリー・アダムスの武装闘争から政治闘争への舵きりを快く思っていない。
アイルランドの心臓は、農民だ。ヒッピーじゃねえ! べろんべろんの酔っ払いで叫ぶコステロ。自論を饒舌に語っています。

土地を国有化する話も出てたっけ。それが嫌ならイングランドに下れ、と。アメリカで成功しているコステロにとっては、稼ぐことも闘争のうちだったんじゃないかな。資金を自分の手でつくって、活動して賞賛されることで満足していたんじゃないかしら<あのアメリカ人>と呼ばれる事を求めて。
それをカダフィに取られて、自分の存在価値が薄れていくことに怒っている。と、ライアンに指摘されてました。

酔っ払い風体のコステロに対して、冷静に応対しているライアン。この場にいる誰よりも本部の動きが見えているし、男たちが女性差別で自分を排除している、と語ってます。
利口すぎて抹殺・・・!? 優秀すぎる人への恐れがあるのかも、直感的にはそう感じました。
IRAロクデナシ!キイイ! ライアンが語る、マカードルのレイプ話も、ロクデナシ度アップ・・・ ミソジニー・・・

酔っ払いべろんべろんのウッチーですが、べろんべろんでゲロゲロ吐いてもカッコよかった。恐るべしだ。べろべろの内部がすごく冷えた心のようです。そしてたぶん、心の中は冷静。
コステロのゲロゲロは、この行為を実行する自分や命令を出した本部への嫌悪感そのものだ。

ゲローンの音を聞きながら、中華料理に手を出そうとするルエリ。無理よね、ええ、食べられない~

この時のIRAトピックスが、刑務所内でハンストして死んだ人が10人いるという話です。政治犯としての待遇を求め、ハンストだんて。食べずに自ら死んでしなうなんて、何と言う意思の強さでしょうか。何も悩みがなくて、ゴメン。

コステロ、お手洗いから出るとしゃっきり冷静に。覚悟決めたらしい。外で待っていたトム・ビリーが部屋に入ってくる。

メキシコだ、というのを聞いてダメダメー!と叫ぶマイケル。子供が叫ぶみたいだった。すごいイヤイヤっぷりでした。

この場面、お腹に黒いものがじわーっと広がったよ。一応、いやだ、と反抗するし一度入った部屋から出ようとするマイケルだけれど、本気の本気だったらルエリが押さえてるドアなんか消防士なら打ちやぶれるはず。マイケルのライアンへの愛もそこまでか。

ボリュームマックスの音楽が流れるなか、抵抗するライアンの叫び声、トム・ビリーが殴ってダウン。ルエリとトム・ビリーの2人が彼女を部屋から運びだしていった。

ひとりアパート内で嗚咽するマイケル。泣いてるうちはまだ人間らしかったのにね。1幕ラストはライアンを死なせるIRAと自分自身に引き裂かれているかのような、浦井マイケル。と、押さえて抱きとめるルエリの姿でした。ルエリは、IRAにいたいと思うけど殺しちゃうのは嫌だ、と言いますが、嫌でも抜けられない二人です。

殺しちゃうIRAが嫌なら、どうするか? が2幕での二人の分かれ道になりました。1人は何もかも飲み込んで何も感じないように自分を守る殻を厚くし、1人は密告者となる。そうして、もう1人も、密告者に。

命令なんだ、と何度も繰り返される言葉と、さっきまで結婚しよう!と無邪気に言っていた相手が殺されることのギャップが激しすぎて、この殺人が本当にアイルランドのためなのかを考えたほうがいいよ、マイケル。

泣いてるけど、君は何も出来なかった1人になってしまったんだね。ほぼ無抵抗に行為を追認したマイケルは、同罪なのだった。もちろん、マイケル自身もそれは分かっているだろうけど、後半も同じ部屋で生活しているのを見ると、ゾゾーっとしてくるのだった。

納得した、とか乗り越えた、とかじゃない克服方法をもって、あの部屋で30年暮らしているように思える。何だろう、すべて受け入れちゃう怖さがあった。


ところどころ笑えるところがある分、仲間内で秘密裏に殺してしまうなど。余計に怖い。
普段は普通の、むしろ善良な市民である人が、ある組織に入って<命令>というだけで、個人的恨みもない相手を殺してしまう。はぁぁ

コステロもそういう男なんだな・・・(ウッチー!)とショボンとしかけていたが、コステロ大将はラストに大ホームランを打ったんですねー。さすがビッグ・フェラーだ。あまりにセツナイけれど。

2014/06/16

キャラキャラ

日曜日は親戚の結婚お祝い会。にぎやかでした。

さて、ビッグ・フェラーの1981年のシーンを思い出してましたが、眠気に負けそうなので明日まとめることに。した。
まぁ生きてるよということで、何かアピールします。

ムーミンティー、と、宇宙兄弟ラベルのジェル(キールズ。売上はチャリティになる)

最近、キールズが成分強すぎない感じで使いやすく愛用してるのですが、たまにチャリティしてるのね。BBクリームも使いやすいです。塗った感がまるでないけれど(笑) 日焼け止めと思って使ってます。

お茶はルバーブ&ストロベリーフレーバー。ど、どんな味になるのかちょっとドキドキ。ルバーブってどんな味だったっけ。

2014/06/14

『ビッグ・フェラー』5/31-6/1 1 立ってるだけでBig Fellah

内野聖陽/デイヴィッド・コステロ 浦井健治/マイケル・ドイル 
明星真由美/エリザベス・ライアン 町田マリー/カレルマ
黒田大輔/トム・ビリー・コイル 小林勝也/フランク・マカードル
成河/ルエリ・オドリスコル

演出:森新太郎
脚本:リチャード・ビーン 翻訳:小田島恒志

@世田谷パブリックシアター

IRA NY支部のリーダー、コステロとその部下たちの1972年3月17日~2001年9月11日までの約30年を、ほぼマイケルの住居を舞台に描く物語。

マチソワ、マチネ。という濃すぎる二日間で見てきました。
1回目、ただただ見入る。
2回目、あれもこれも、伏線すぎてスゲー!と驚きながら見入る。
3回目、伏線を理解したうえで、あまりに特色のないマイケルという役について、一番強い兵士とは・・・ポーン、という冒頭のコステロの言葉の深さに恐れ入る。

コステロは自分たちの行為が<正しい>ことかどうかが最も大事なポイントだと考えていて、イギリスの理不尽な支配からアイルランドを独立へと導きたいと思っている。

彼を軸にしたNY支部のメンバー、アイルランドから偽造パスポートで逃げてきたルエリ。1972年では、相当なアイルランド訛りで話す。
それから、アパートの持ち主の消防士、マイケル。
ついで、差別主義者らしき警官のトム・ビリー。

舞台は以下の時系列で進みます。
1972
1981
1987
1990
2001

世界情勢とあわせて、IRA活動内容も変化し、’72当時は同情的だった世間も、一般市民を巻き添えにした’98オマー爆破事件で、完全にそっぽを向かれている。

年齢の変化やIRA組織のあり方を一番受けて表現していくのが、リーダーのコステロの言説。
各シーンごとに、ターニングポイントとなる事件が共演者から語られ、演じられていきます。

*1972年3月17日 セント・パトリック・デイのパーティでの演説。
血の日曜日事件を受けての演説から始まるが、このウッチーは自信に満ち満ちていて、Big Fellahと呼ばれるにふさわしい大物感が。葉巻をくゆらすウッチー♪

セリフを発さず、立っているだけなのに、ぐいぐい引き付けられる。さすがです。

2014/06/13

『レディ・ベス』5/17-18 4 しょうじきにいっていい(ルナール閣下)の声がすき

女声メインの楽曲で、男声は支える低い音域がほとんどだそうですね。そういわれてみれば、祐一郎のスコーンと明るく抜けていくいい高音は聴いてないように思う。

男声の掛け合いが何より大好きなので、声の深みという点では物足りなさもあるのだが、そこを補ってくれているのがメアリ女王のパート。
悪魔と踊らないで~♪ 何よりも先に覚えましたね。って、舞台で歌ってるそばから耳について離れない。 ギュイーンとロックな音もいいし、ベスが気高く美しくな音楽メインなので、いい対比になってます。

声が低い方のほうが、声での対比はうまく出るので、未来メアリは適役です。吉沢メアリも、どわーっと声はでますが低音の響き方が、比べてしまうと一歩下がる。ただし、吉沢メアリの良いところは、小柄な体からこんな声が!という見た目もあいまって、並々ならぬベスへの憎しみ(実母を取られた恨み)がぴりぴり伝わる点ですね。
未来メアリ、けっこう可愛らしさが残るのです。ベスをカトリックに改宗させる、というのも本気でそう思ってるんだろうなぁ

そして、アスカム先生の以外の男声といえば、まずはガーディナー司教&ルナール閣下。

アスカム以外の男性たちは、けっこうお楽しみパートにもなってます。フェリペ然り。

権力の世界に生きる司教たちの絡みが、分かりやすくテンポ良くて楽しみました。司教さま、いつもルナールに袖にされて。ふふふ。

正直にいっていい?って言うルナール圭吾さんがカッコよすぎで、ブロマイド写真売ってくれ!
椅子に座り、足をがばっと開き、真正面を見据えて仏頂面で話す。徐々に盛り上がって、暴れだす! いいわー、いいわー(パラダーイス♪)

司教さまが惚れちゃうのも無理ないわー。

圭吾さんといえば、フェリペ王子が遊んでるところに入ってくるとこの、足捌きが最高でっす。タンゴ踊れるんですものね・・・ああ、見たい。圭吾さんの華麗なステップをもっともっと。
いやー、エリザのキャストが大いに気になりますが、圭吾さん入れたいわ。新しいトート像をつくってくれそうです。トートダンサーもビックリのダンスでシシィを誘惑。
しかしシシィよりルドルフのほうが好きな閣下だろう。ああ、見たい。

脱線しました。
禅さん司教さま、心の臓が悪い前フリが増えてわかりやすくなってます。ベスに恨みはないけれど、カトリックと英国が仲良くなるように、と職務に邁進です。舞台上では出てこないけれど、自分の住まいには美少年とかいるんかな・・・など考えちゃう。いるんだろう。
何となく、美少年たちに対して甲斐性なしっぽいヒドイ奴な雰囲気がただよいます。禅さんは優しげなのに、不思議だ。ルナールのほうが実務家って感じなのですが、どうしてかしらね。禅さんの役が面白味ついた演出だからか。

最後は、フェリペ王子。
私の好みはやはり古川フェリペですけれど、平方フェリペも落ち着いて舞台に立ってました。
平方くんは、ちょっと崩した感じの王子なのね。
古川くんは、歌もクールにすかしてくれてて、平方くんは案外なかは熱いのねっていう歌いっぷり。どっちもかぼちゃパンツすらも着こなしてるので、好みの問題になるかなーっと。

メアリとの結婚式での表情などを見ていると、両フェリペともに王子として何をすべきか(スペインのために)を真面目に考えているように見えます。4月に見たときは、あまりはっきり感じられなかったのですけれど。私の理解が進んだからか?
遊び人風だったり女好きだったりは外面だけであって、彼も帝王学というものを学んだ王子なんだと思う。というのが見えて、良い演技でした。
というわけで、ベスを庇ったのもベスが可愛いからとかじゃなくて、それがイギリスのためにならないし、つまりスペインのためにならないからだ。輝く笑顔でコーティングしてるけど、偉いぞ、フェリペ。

ついでに、ベスとも仲良くなりたいなっていうもの本心のようですが。ふふ、フラれました。

前にも書いてますが、ベスの賢さを見せてくれるエピソードでひとつ山場があれば、レディ・ベスの物語としてはいいと思うのよ。
なので、そこあたり改定入れてほしいなぁ かしこいベス・・・って観客にも分かるように。

9月の名古屋のチケット取れたので、それまでしばしのお別れ。
これから観にいく皆さま、東京でこなれたのできっとスムーズな上演になると思います。お楽しみにー。

2014/06/11

『レディ・ベス』5/17-18 3 いっくん良くなってた

4月とは別人のように活き活きと演じて歌って、嬉しかったわ。

育三郎ロビン、とても見違えました。いいねー。
チャラそうなのも、チャラい風で骨太な感じに。甘い(だけ)だった歌声も、優しさや誠実さが織り込まれている。

ターザンも上達、ジャグリングも上達、いいねー。
ベスとの組み合わせ、どっちが好みかなぁ 花ベスさま×加藤ロビン/育三郎ロビンでこの二日間は見れたのだけど、いっくんの甘い感じが花ベスの凛とした風格といい相性かも
お互いにないものを見つめている感じでしょうか。
自分に誠実であろうとするところなども、うまく惹きあってた印象です。
平野さん、可愛いから二人して可愛くなっちゃうのよね。でも今度見たら(見れるんだっけ?)男っぽくなった育三郎ロビンがぐいっとリードしてて、いい感じだったりするのかもー。

あと、育三郎はエスコートするのに慣れてるのがいいわ。

ミュージカル講座で本人も言っていましたが、
花總さんは稽古初日から、すでにレディ・ベスとしてきっちり立っていたとのことで。別におねえさーんと寄りかかるわけではないけれど、王女になるべき人だという存在感ありの花總さんだったと。

平野ベスは、帝劇初タイトルロールを担うこともあって、わたし不安なの!という表情で訴えてくるので、大丈夫だよというお兄さん的なロビンになる。
育三郎もお兄さん的なことに! 大きくなったねぇ しみじみ。

どちらのベスでも、相手から投げかけてくるものをちゃんと受け止めて、応じていくようにしてるとか。

世界のありようも理解してるうえで、なおかつベスと一緒に生きたいって本気で思ったのね・・・ 思ったけど、ベスに無理強いしないのが最高に素敵よ、ロビン!

加藤ロビンのほうも、ジャグリングが落ち着いてて安心したっけ。
体格の問題なのだと思うのだけど、ベスに朝まで眠れよ、っていうあたりでは、目がハート型になっちゃいます。ベスを抱いてあげてるけど、骨があたってごつごつしてそうねー、とか勝手に考えてる。
パジャマ(じゃないか、寝巻きという?)姿のうっかり無防備な雰囲気も好きだー。

加藤ロビンは、絶対に裏切らない人に見えます。育三郎も裏切らないだろうけど、なんでかしら。

レディ・ベス。ストーリーとしては、あらぁ可愛くまとめちゃったのねというところで、というか、悪役のはずのガーディナー司教、ルナール閣下がキュート炸裂だもの。メアリ女王は怖いっていうより、大変ねーって感じだし。
アスカム先生が女王になるべき運命、というのをその通りねと思えるような、舌を巻くようなエピソードがあれば戴冠式へもスムーズにいける気がするのに。

例えば、ガーディナーに取り調べられてるシーン(そこは、司教がメアリに報告する形で、実際の取調べシーンはない)を入れるのはどうでしょう。ちょっと上演時間は長くなっちゃうけど・・・
ベスvsガーディナ、対決の歌! 品よく理性的に、弱みをつかませない話法でベスさまの勝利!
とか。
賢いベス♪がどんな風なのかを見たかったのよね。

2014/06/09

『レディ・ベス』5/17-18 2 石丸アスカムは熱意あふれる先生

ふむふむ。丸アスカムは、熱いハートを隠さぬタイプ。ベスへの対応も、祐一郎アスカムよりもくっきりはっきりな印象です。

祐一郎さんは、星空をバックに歌えば、ああ、いま祐一郎は(いや。アスカムは)世界を手中に!などと壮大なイメージが湧く。役どころとしては、手中にしてるんじゃなくて運命を見ているだけなんですけどね。ついつい壮大すぎる先生をイメージ。

対して丸アスカムは、夜空を見上げて星の動きを観察し、学問を究め、成果を将来あるベスに全て伝え英国を良い国にしたいという思いが強い。人間度高い
石丸アスカムだったら、きっとベスに気づかれないように根回しとかしてるに違いない・・・ 祐一郎アスカムは、根回しっていうよりゆったり構えて情勢見極め中・・・くらいかなぁ

両アスカムともに、最終目標は英国をより良き平和な国家、国民が幸福である国、を目指しているのだと思いますが、そこへ向うアプローチが違うのね。
同じセリフを話しているのに、こういう違うが出るのは、複数キャストの醍醐味でしょう。

ロビンが迎えに来る直前のアスカムとベスの話し合い場面。怒ってらっしゃるのね、とベスは言うけれど、祐一郎アスカムはちっとも怒ってなかったの。むしろ哀しんでいる感じ。もちろんベスの乙女心も分かっているけれど、貴方にはもっと重責を果たす役目があるのだ、と。
けれど、無理強いは出来ないことだとわかっているのに、つい自分の思いを吐露してしまったので、ベスへの敬愛の気持ちを思い出し、全てをベスに任せて去っていったのね。
どんな決断をしても(納得できなくても)認めますよという意思表示のようです。

丸アスカムは、怒ってる・・・うーん、そうね、わりと叱っているに近い印象でした。自分の意見を言って、その上でベスに任せますとして退室でした。

どちらもアリで、どちらも分かる。

全体的に丸アスカムは熱意が漲っている印象で、それはそれでベスを導いた方というのは変わりなく存在していたと思います。
自分の意思が働かない力がベスを押し流そうとしていくけれど、アスカムはベスが自ら選んだと思えるよう導いた。

祐一郎が旅行かばんもってると、ドクトルー!と叫ばずにはおれませんが、石丸さんは大丈夫だったな。リアル人間らしさ度が高いからだろうな。
ほんとに、祐一郎は、浮世離れ度が高いことこの上なしである。

ところで、祐一郎さんと石丸さんは同じ衣装・・・? 何かが違うような気がして。
→舞台写真確認してみます。

おおー、違いましたね! 一番外に着ているガウンの折り返しの柄と色が! ベルトも違うんだぁ

そうか、けっこう違うんだったのだ。祐一郎はガウンと同じような濃く深い黒檀っぽい地に、金の草花の刺繍。
石丸さんの折り返しはブルーグレイの地に渋い金色のペイズリーのアプリケ?

だから、余計に祐一郎アスカムが浮世離れしかけてて、石丸アスカムはキリリと現実的に見えたのかー。

見てるときはどこが違うか気づかなかったけど、違う感じがするくらいは私も気づけるのか。他のWキャストの方たちも違うところありそうね? どこかは分からないけれど。

2014/06/08

『レディ・ベス』5/17-18 1 花ベスさまの麗しいことといったら

うっかり1ヶ月経ちそうですが、5月半ばに見たベスを振り返ってみたいと思います。

やっと花總ベス&石丸アスカムを見て、組み合わせは別としてWキャストの皆さまを拝見できました。

5/17夜公演


5/18昼公演

4月に見たときは、断然加藤ロビンで!とした私でしたが、5月の育三郎ロビンは見違えてた。自分の間合いで歌っていたし、何より男らしさ(ベスへの眼差し、守ってあげたいという気持ち、そして尊重する気持ち)がはっきり見えるようになってました。

こうなると、誰でもOKの配役・・・あとはお好み次第ってところですね。
さすが世界初演は気合入ったキャスティグだったなぁ

2014/06/07

社会派だったから しんぶん赤旗

低気圧で動けません。みなさまお元気でしょうか。

けっこう前に入手していたのですが、何となくもったいぶって読んでなかった『しんぶん赤旗 日曜版』5/18号を読みました。
浦井健治くんがインタビューされていたものです。

なんで赤旗?と疑問だったのですが、『ビッグ・フェラー』が<テロのむなしさを描く>作品だからだったようです。

テロが虚しい、と断言するのは赤旗記者さんですので、これから観る方はそれぞれに受け止めればよいかと思います。
いや、テロは虚しいのですが、虚しいテロを描いた作品、と言い切ってしまうと違うと思いまーすと反論したくなりますね。赤旗だから仕方ないか。


2014/06/03

濃厚良い男祭りだったので、ダウンした

こぎげんようー。濃厚だったの。

5/29 田島貴男 カフェツアー in 北海道
北海道ツアーラストの札幌です。

150人くらいがぎゅうぎゅうに入ったお店で、目の前(2.5mくらい?)に田島貴男がいたのだった。ほぼ20年くらいぶりに彼のライブに行き、僕も君たちもいい年になった・・・とか言われつつ、ヒューヒュー叫びながら酔いしれる。

あーあー、とろけました。
カッコ良すぎました。
秋にまたくるらしい、次も行く。

5/31-6/1 ビッグ・フェラー
3公演連続で見る(久々に暴挙)
しかしおかげで、けっこう隅々までお話が体に入ってきた。

ウッチー、カッコいいです。何ですかねー、役者バカがいるよって感じの情熱っぷりがいいわ。カリスマ役のウッチーがはまっていて、眼福。

浦井くん、じわじわ良かったなぁって思い出しです。うん、やはり地味に見えるけれど、それが狙いだったと思うので、他のメンバーがやや演技してる人ふう、のキャラで売る人物設計で、浦井くんの役は<何の役もしない>人だったのだと思う。
あの部屋で歯を磨いて、着替えて、ちょっとのサイレンには動じない消防士さん。最後の最後で、彼が一番底なし沼な闇があるわ・・・こええ。

ベスの感想も寝かせてますけど、こちらも少し後にする。

■エリザベート、カウントダウンの意味はどこに? え、これだけ?
東宝のおっとり優雅な宣伝には、驚きー。

来年上演決定って、カウントダウンしてる段階で、まぁ再演するんだなくらい想像できますから。
<新装>というなら、どんな新装なのかをカウントダウンでお知らせすれば良かったと思うわ。

宣伝って、常連さん向けと、新規さん向けってあると思うんですが、これはどちらにも意味のない情報でした。カウントアップしたのもこっそりだったし、ゆるいっていうより、適当(悪い意味)すぎに思えて、もやもやするなぁ しっかりして。

ファンが喜ぶサプライズ打ってねー。

暑いんです。
ほぼ30度。
ちょっと前まで20度も行かなかったので、体が全然ついていきません。

かっこいい男祭りだったせいか、体力もへなへなな所に暑さ直撃で、今日は出勤時に激しい腹痛で倒れこみ、許容量マックスの鎮痛剤を飲んでタクシーで出勤(効いてこないが気合だした)
アサイチの仕事だけして、すぐ病院へ。

みなさまもお体大切に。ごきげんよう、さようなら。
朝ドラ、美輪さまのナレーションが気品あって好き。




2014/06/01

浦井教授、ありがと

浦井大学の講義を履修し、空港に向かってます。

見終わって、つらつら思い出す時に、浦井くん演じるマイケルから受ける、底が見えない虚無感(そもそも底なんかないのかしら?)がじんわりと、タールみたいに腹に黒いものが広がって来ます。

見た目やセリフでは一番地味な役なのは、何故なのか。面白い役をもらったなぁと思いますね。

土曜日と今日のウッチ−、ちょっと違って見えました。今日のほうが自信ありありな感じで。

英語で戯曲読むのかぁぁ!でも興味あるな。どこかで入手出来るかな。

2日で3公演…さすがにやり過ぎましたかしら? しかしビッグフェラーは楽しかったですよ!
来てよかったッス。