帝劇の大きな空間ではちょっとすくいきれないような繊細な演技でつむがれた作品でした。この演出なら、もう少し小さな劇場で見たかったというのが正直なところ。
あ、スカーフより前だったか。これね。
・こんな恋に落ちた瞬間をあらわした素敵なシーン、初めて。
なんだこれは。この星はどこからやって来た!?「この星空」
きらきらした心の表現が素敵だった! 天井いっぱい、板にも星が映っていて、トライアングルかな? チリチリチリチリン!と音もきらめいて。のんだくれ君の心がすっかり丸見え。
忘れていた恋のトキメキを思い出したなぁ きらきらきら☆
なぜ、1人では生きていけないのか(生きていけるけど、それは寂しい) 誰かに受け止めて認めてもらいたいから。
頬に触れるルーシーの心がまっすぐだからこそ、全身で嬉しさに天にも昇る心地。
あなたにもまだ希望はありますよ、これも普通に言えば非常に上から目線の失礼千万な言葉のはずなのに、ルーシーが言うとまっすぐな人柄が好ましく思える。
「
今この時」
ルーシーはダーニーが好き。ダーニーはルーシーが好き。とか言いたくなるような可愛らしいデュエット。
まぁここでも、
浦井くんの「がっちょん!」とかにだまされて、こんな男でいいのかルーシー?と思ったのだった。ルーシーのほうが見る目があったってことね。
25日マチネでは、ガチョウの羽ばたきをしながら袖に消えていったっけな。
これがダーニーのまっすぐさを表現してるわけよね(好意的に捉えます) そのくらい、ルーシーがイエス!と言ってくれたことが嬉しいという。
前の星がきらめくシーンとは全然違うけど、心境としては同じなんですね。そうよね。
・シドニーが手前に立って、結婚し、家族が増えていく様子を見ながら歌う場面。
「
夢がかなうなら」
これまた美しいガラス細工を見ているような優しい曲、ダーニーの幸せと決意、シドニーのせつない気持ち。
結婚式から子供の成長をこの1曲に無理なくつつみこんで、時間の流れとシドニーの一家への思いを表現。うまい! うまいし、キレイだった。弦の音が流れるように奏でられてて、キュンキュンだったよう。
美しい夢の最終コーナーは、小さなルーシーのお祈り。
もう! シドニーおじちゃんノックアウトされてます。こんな小さな子に心配してもらって愛してもらって。子役のみなさん、可愛らしかった。おしゃまさんで。
この歌の流れのなかで、フランスで侯爵の車列に轢かれた子の葬送場面に続いてたのも、おおお、なんて無駄のない流れかと驚く。
そして、ついに立ち上がるワイン酒場のオヤジ、ドファルジュの場面へ。
ああ、ダーニーはフランスへ渡ってしまったーっ 忙しい展開です。えええ、ルーシーやドクター・マネットや小さなルーシーまで!
もしもダーニーが死んだとしたら?(意訳) という一言がフランスの混乱の端っこで、シドニーの口から出て、えええ! ほんと忙しいシーンだった。
温かい気持ちになったり、胃がきりきりするような気がしたり。
浦井くんがフランスに行かなければいいのに!(ちがう、行ったのはダーニーだよ、浦井くんじゃない)と間違った憤慨しちゃったりもしたけど。
弦の美しい音色が耳に残っています。