■とにかく切ない、ヴァレンティン
浦井くん、もう「くん」とか言ってる場合じゃないんじゃないかー。舞台のヴァレンティンにも、引きこまれました。
最初は、ラインを引く!とモリーナのおしゃべりを拒否してたヴァレンティンですが、介抱されて心を開いてくるように。
モリーナのことを、友人のような、母子のような、同士のような・・・極限に置かれている者同士のつながりが生まれていく様子が、ヴァレンティンの変化によって伝わってきますね。
ところどころ、悪ぶりきれない人の良さが見えるのが浦井ヴァレンティンの特徴かも。
身分違いのマルタへの気持ち、このまま理不尽な拷問を受けて死んでいく自分のこと、それらが時々、ばーっと噴き出して、それがひりひりと痛かった。だからこそ、母性的なモリーナへ親密感を抱いていくんでしょうね。ああ!
■MALTA over the wall
この作品、どの曲もドラマチックで大好きですが、ヴァレンティンのソロもロマンティックな熱し唱系でよかった・・・
そして、こっそり応援してきた浦井くんの声の成長ぶりにも感動してたんでした。
一生懸命さ>表現であっても、若いうちは、一生懸命に歌うだけでも素直に応援してしまうけれど。
そうですよね、もう彼も若手から一歩進んでいるんですよ。いまは、一生懸命さは奥に隠して舞台に立ってますもの。いつの間にか!
(・・・いや、日々の積み重ねなんですよね。単に私が見に行けずにいただけー。この1年間でも、ものすごく厚みが出ておられる。ぐんぐん伸びてます!)
■the day after that
ヴァレンティンがどうして反政府運動にかかわることになったのか、自分の生い立ちを熱く強く歌うソロ。これ聞けて良かったわ。
モリーナの賑やかで感傷的な歌に合いの手を入れてたヴァレンティンの、ここぞというビッグ・ナンバーに圧倒されます。
浦井くんの繊細さが織りこめられたいい曲になってた。
ダンボールと泥の家って!どれだけの貧しさの中で育って、そして運動家の言葉を聞いて希望を持つようになったのかが、言葉だけじゃなく、体のなかに突き刺さってきました。
最底辺の暮らしのなか「祈った」という、信仰を捨てない少年が、革命に光を見出している姿が目に浮かびましたよ! 獄中ってことを忘れる歌の力。
神への信仰→革命という流れが、ヴァレンティンがもってる絶望感、希望への執念の強さも見せてるし。
感極まってうぐうぐ涙が出ました。わりに裕福そうに見えるモリーナとの対比もあって、それにしてはヴァレンティン、よく生きてきたよねって思ったんですよ。憧れって大事よね・・・だけど辛すぎる生い立ち!
■そのお姿も、良い。
浦井くん、王子役も悪くないですが、汚れた役もかなり良いです。『回転木馬』でも似た感じがありましたが、核はきっと素直な子だったけど、紆余曲折あってこんなになっちゃったのねっていうのが素直に伝わるんですよね。
きらきらした役者さんのなかで、こういうきらめかない役をしっかり演じられるのって、強みでしょう~
ヴァレンティンが牢獄に転がされたのを見て、汚い!カッコいい!って感じでした。母性が刺激されちゃう姿ですよネ・・・いやん。