2016/07/31

『JERSEY BOYS』7/26夜 team WHITE アッキーに痺れた

@シアタークリエ
熱そうなREDも見たかったのですが、日程の関係でWHITEのみ観劇です。

team WHITE
フランキー・ヴァリ/中川晃教
トミー・デヴィート/中河内雅貴
ボブ・ゴーディオ/海宝直人
ニック・マッシ/福井晶一

ボブ・クルー/太田基弘 ノーム・ワックスマン/戸井勝海
ジップ・デカルロ/阿部裕
綿引さやか 小此木まり まりゑ 遠藤瑠美子
大音智海 白石拓也 山野靖博 石川新太

演出/藤田俊太郎 音楽監督/島 健 美術/松井るみ

ちなみにREDは
トミー・デヴィート/藤岡正明
ボブ・ゴーディオ/矢崎広
ニック・マッシ/吉原光夫

ちょっとスマートそうな白、チンピラが似合いすぎる赤というイメージです。

え、CD化決まってないの・・・? 絶対出ると思ってたんですけど。

空前絶後のご熱望、ということで(未来の私へ。これは2016年流行語大賞ノミネート@ミュージカル界 エリザ映像化における東宝演劇部ツイートの表現)感想書いて帰ってきたわ。出すでしょ? 
もしくはWOWOW(東宝と共同制作)さんの力で放送とかね?ね?

C・イーストウッド監督の映画版を見ていたので、お話は確認済み。それでも生の声が作る世界の感動度を強く感じられました。

ストーリーはニュージャージーの田舎町で、不良チームがフランキーの声と、ボブのメロディを武器に全米を席巻していき、おなじみの金銭問題と裏金借金問題、女性問題、仲間割れと・・・再集結。

上昇とトラブルのなかで、友情や親子の愛が揺れ動く。



公演終盤のためセリフを噛むなどお疲れも見えたものの、アッキーもプロモ映像よりキレてるし声も神がかってました。ステップもキレキレだったわ! 

アッキーの喉ってどうなってるんだろう? 演技も青年期からおじさま期へと無理に老けないものの、けっこう様になってた。アッキーがパパ役なんてねー。

トワングの歌唱法で歌ってるアッキーですが、物まねにならずアッキーが演じるフランキーになっているのが素敵。実際の歌手を題材にするとオリジナルに負けそうだけど、アッキー色のフランキーに。

第一声、フォーシーズンズの声が生まれたシーン。まるでその瞬間に一緒に立ち会ったように高揚! きゃーーーーっ

ど、どこからその声が出てくるんだろうと思う、不思議な鼻にかかった高音。
ジャージー・ボーイズはフォーシーズンズ世代には懐かしく、知らない世代には・・・アッキーたちの「声」を味わう舞台になってたかな。
客席にはけっこうな年の男性もいて、いい感じ。

振り付けは新海絵理子さん。
後半、大きな振りが増えているのはオリジナルがそうなのかな。細かくステップを踏みながら歌ってて、アッキーは歌もすんごい上にダンスの才能まであって、おお神よ!の気分です。しかも可愛い!可愛いし!(大事なので二回言う)

道産子福井晶一さんのステップ、味わいあったわー。
華麗なるステップ、とは反対の、うーんうーん、誠実なステップ? 
マンカストラップされてた福井さん大好きで、あの時も体育会系猫だったっけ。いいわぁ

ボンボンボン♪ バリトンで歌うのでソロは少なめだったけど、年齢差あるのがどうだろうと思ってたら、意外とチームになじんでて兄貴っぽくない福井さんも新鮮でした。
後半、突如爆発するシーンが見もの。それは辛かったねぇ・・・慰めてあげたい。やだ、福井さんの可愛さ爆発してる。

海宝さん、やっとやっと拝見できました。
声を聴いて、これはシンバだしアラジンの声だと納得。好青年声なのねー。

まっすぐな目で真面目に契約交渉してる姿、面白い。才能があるっていう役を疑問の余地なく演じられる海宝さんでした。きらきら。
次・・・マリウスで会えるといいな。

中河内さん。こちらも初めて。
噂だけ(といってもとても人気あるという程度)聞いてました。仲間思いだけど見栄っぱりで素行に問題のある役。若干、悪に徹しきれない感(かっこいいからか?)が見えてしまうのも愛嬌のうちか。けっこう上品にお見受けしました(洗面台にシャーッとしそうに見えないもの)。
歌って踊ると輝く方ね。
今回未見の藤岡トミーのほうが納得のチンピラに違いない。

ボブ・クルー役の太田基裕さん。こちらも初めてでした。
細くてひょろひょろしてるんですが、声や動きが舞台映えするなと思っていたら、2.5次元ミュージカルで大活躍の方なのですねー。良かったなぁ
ゲイ(っぽい感じ)のプロデューサー役が似合ってました。

戸井さん&阿部さん
たくさんの役を(アンサンブルのみなさんもですが)演じてて、おお、また出た!と楽しいお二人。
戸井さんは久々すぎでしたが、いつ見ても素敵おじさまビーム・・・阿部さんは、楽しそうに演じているので、こちらもウフフーとなります。

女性アンサンブルは大活躍。
可愛くて声がマイクによくとおる小此木まりさん、いつのまにか大人の女性役もこなすように。それもまたいい声でした。
まりゑちゃん、ダイナミックダンスが素敵です。綿引さんと遠藤さんは大人女子をカッコよく。

再演するよねー??? ぜひーお願いしまーす!!

2016/07/28

『BENT』7/17 いい演技でした、そしてお腹痛かった

@世田谷パブリックシアター

演出/森新太郎
作/マーティン・シャーマン

マックス/佐々木蔵之介 ホルスト/北村有起哉
グレタ/新納慎也 ルディ/中島歩
ウルフ・護送列車の囚人・伍長/小柳友
収容所の大尉・隊員・護送兵/石井英明
親衛隊の中尉・カポ/三輪学
護送列車の将校・隊員/駒井健介
フレディ・護送列車の囚人/藤木孝
声の出演:武田浩二、藤家剛

ゲイの男性二人がナチスの収容所で出会う。
わずかな希望を捨てずにいれたのは、お互いがいたからかもしれない。
少しずつ状況が悪化していく構成、毎日「死」へ向かっている怖さ。お互いを見てはいけない、目を合わせてはいけない。でも、感じることはできる! 抱きしめられるし、愛し合える!
こんなにまっすぐに、生きてるぞ、この心は全く自由だ、という叫びが人の心の強さを見せてくれた。

そして、ナチス側にだってゲイはいるし、ひとりひとりはごく普通の市民だったはず。システムのなかにいると、弾圧すればするほど、反撃が怖くてさらに弾圧していってしまう弱い心。監獄実験とか思い出した。役割を進んで演じてしまうっていうやつ。そのほうが楽だものね。こわい。

こういうことが起こったのだということが、そもそも恐ろしいうえに、でもこのシステムに組み込まれてしまったら、自分が生き残るため虐殺やリンチにかかわってしまう可能性はゼロと言い切れない怖さが浮かぶ。

遠い昔の話ではなく、今まさに起こりつつあるのでは? 最近の社会状況を思えば自然に感じられるのも、また、上演すべき時に演じるべき俳優がいてくれたのも何だかぴったりすぎだ。

佐々木蔵之介ファンの友人に相乗りで日帰り観劇してきたのですが、価値はあったわ。
蔵之介ってこんなに上手かったんだね・・・(忘れがち) ああ、もっと蔵之介にいい脚本出してよ!(たぶんなまじ顔がいいし硬軟行けるから重宝されちゃうんだ。疲れた刑事とか正義感あふれるハンチョウも殿も好きだけど、うわぁって圧倒されるような役もいいでしょ?)

演技的ハイライトな直立不動で二人が言葉でセックスするシーン、哀しいし素敵だった・・・・
快楽じゃなく、抗議というか、俺の心も体も全くすべて自分だけのものだ!と。
ちなみに蔵之介のほうがよりセクシーだった。ふふ。セリフのなかでも「おれ、セクシーだから」みたいなのあったっけ。可愛い。

北村有起哉はイケボイスもほっそり絞った体も堪能しました。
あまり感情的にならない落ち着いた人なんだけど、心に秘めたものは実は熱くて、それがマックスを動かしていく。と同時に、冷静に収容所内で生き抜こうと思っていたホルストは、自分以外の人を思う気持ちを思い出し、マックスのために生きようと変化していく。

もし、以前のように冷静でいられたらあの時に死ぬことはなかったろうと思う。でも死期は早まったが濃く生きたのかも。

世を斜めに見て恋人ともきちんと向き合わなかったドラ息子のマックスが、日々生死を綱渡りする収容所で出会ったホルストから、「お前は誰だ」「自分を偽るな」と言われ続けたラストのあの行動、うわああん!
マックスはゲイとして収容されるのではなく、ユダヤ人として収容されることにしたのだ。もちろんユダヤ人などではない。そして☆印の囚人服を着ている。

ホルストは感電死か銃で撃たれるかのどっちも死、の選択で、収容所の人間に立ち向かって銃殺されるほうを選んで死亡。死体穴に入れろって言われて一度は無表情にホルストを放ったマックスが、ついに自分はどう「生きる」のかを選択し、ホルストの遺体から“同性愛者のピンクの三角”印の服を取って、着替えて高圧電線に突進していたのだった。あああ。

現象としては自殺、になるのだけれど、他人に生死を決められることを拒否した、生を表現する(結果としての)死である。

・藤木さんいつも素敵すてき。ゲイのおじさん役でした。いい声。

・新納慎也さん。
数日前に大河ドラマ「真田丸」の秀次役で見ていたので、女装グレタは あ、通常営業にお帰りなさいという感じ。歌があったのは知らなかったのでうれしかった。
とても美しかったです。かくまったマックスとルディを追い立てる目がさみし気でした。いい声。

・中島歩
ああー朝ドラ「花子とアン」で駆け落ちする大学生のひと・・・? すごく上手になった。リンチ死するまで、おしゃべりで健気なダンサー君。あの時はイケメンだけしか取柄がなさそうだったが、人は変化するものですね。普通のかわいい子が死んでしまった・・という悲しみあふれました。

森慎太郎演出、まだ二つめ(前回は「ビッグ・フェラー」)だけど過剰になりそうな題材をもってくるけれど、過剰過ぎないところで勝負してる感じがします。スーパーマンじゃなく普通の人たちと歴史の大きなうねりの関係性というか。
また森演出のものを見てみたいなと思います。

2016/07/01

『あわれ彼女は娼婦』6/16昼 2 そこにいるけど、いない

浦井くんはしょっぱなから、修道士に自説を語ってます。

同じ腹から生まれた美しい妹(それって自分も美しいって思ってる)、最も近しいのは自分で、ひとつになるべきなんだ・・・というような感じだったか。
いちおう教会で救いを求めているのだけど、神のいうことが間違っていると思っているようなので、全く世間様とか宗教の教えを意に介してません。

こういう人には、何を言ってもダメよね。

自分のしたいことを認めてもらう、ことすらどうでもいいようだった。完全に社会と自分を切り離してたな。そこにいるんだけど、いない、というか。
薄い膜が彼の周りにはあって、決して他人と重ならないように見えた。

演出の意図なのか、浦井くんの演技の特色なのか・・・考えてみたものの、一回の観劇だと判断しにくいかな。
見た日の感想は、演出意図だとと感じました。わざと夢見てるひとのように演じているのだろう、と。

意外なのは、アナベラがいずれ誰かに嫁ぐだろうというのは理解してる点。妊娠がなければ誰かに嫁がせて、たまに会おうよっていうこと・・・???
(自分勝手だなーーー!!! 下半身の奴隷か・・・もちろん当のジョバンニは身勝手だなんて思ってないし心の声に従ってるだけと信じている)

ジョバンニはゲスいとかじゃなく、この世界に住んでないって感じです。最初から最後まで、だれともかみ合ってない。
思い出してみたけど、だれかとキチンと対話してるシーンは少ない。対話してても、やはり自分の思いをとうとうと述べているばかり。

アナベラ、兄ちゃんのどこがいいのだ。顔か・・・(違う)

アナベラは、はじめは愛してくれる兄に身も心も捧げるが、妊娠したことで違う視点を持つことになった。セリフには特に出ていなかったけれど、しばしばお腹に手を当てている。子供が生まれることを願う気持ちが出ていたのではないかと。

だからこそ、2幕でソランゾとのやり合いは鬼気迫るものがあって、素晴らしかった。
蒼井優は、好きだと思ったり嫌だなぁと思ったりする不思議な女優さんなのですが、嫌なときって彼女を可愛い女の子としか使ってないときかも。このシーンは、好きです。
華奢な姿が2倍に思える凛々しいセリフ、髪をつかまれても、全力で兄と(たぶん)子供を守ろうとしてる姿、カッコ良かった。弱きもの、女は。そう呼ばれても弱いと思われてる部分を使って逆転しようとしてた。

アナベラのほうが大人。
幽閉されてるなか、修道士にのたうち回って懺悔する姿。兄への思いと、しかし道を踏み外したのだ、という思いがぶつかり合ってました。・・・兄ちゃんは全然、せめぎ合いなどしてない。

自分は死ぬが、その死をもって兄を救ってくれという願い、あんな形になるなんて「むごい」

アナベラの心臓を取り出して、ソランゾ誕生会をめちゃくちゃにする兄。
1幕ではどこかに嫁ぐことはOKだったのに、アナベラがソランゾに糾弾されて死ぬことは許せないと。

→愛だ何だというけれど、そこはジョバンニとソランゾは基本この時代のお坊ちゃまの考え方に沿って思考しているのが、やはり現代人目線からは腹が立つポイントでもあり。仕方ないけれど。
社会と宗教の規律から外れようとするのに、女性への態度は時代を背負っているのよね。