2017/01/29

『フランケンシュタイン』1/20昼 きっともっといい(もっと見れたらよかった)

こう・・・もっと完全にブロマンスみが! 強いのかなーと期待してました。んー、ジュリアいなくていい派だよ・・・いないほうがクッキリする。

僕は君に恋したって歌詞がありましたね。でも和樹(ちがった、アンリ)奥ゆかしいから、ビクターは自分のことで手一杯だったかもしれないね。しくしく

柿澤&加藤の組でいえば、ブロマンスじゃなくて、子供のままのカッキービクターとママのような包容力の和樹アンリでした。母性だった。
酒場のシーンの介抱の優しさよ。先日も書いたがもう一度。私も和樹アンリにやさしく介抱されたいーっ
抱きしめ方も綺麗だしねー。

さて、2幕。

怪物が逃げ出して数年、ビクターはジュリアと結婚してた。お父上も赦してくれたのですね。心が広いお父さまです。
しかし私の眼には、ビクターはジュリアに心を許しているのか、半信半疑でした。心配してるのは分かるのですが、友情的な関係に思えたのよね。ま、それでも結婚していいのですけれど、

嵐がやってきて、雷ぴかぴかー、そこへアンリが。喋れる! 生きてたのか、話せるのかと気になりつつ驚くビクター。懐かしさより畏れ。

そして、アンリだった怪物は辛かった日々を語りだすのでしたー

人さらいみたいな感じで捕まって、闘技場でひどい扱いを受ける。死にたくなかったら、相手を殺せと。焼きごて当てられる和樹。あああ

カトリーヌは娼婦みたいな扱いで生きてる娘、商売敵の男から怪物に毒を盛れば自由にしてやろうと言われ、飲ませちゃう。その弱さ、わかるだけにツライ。

それを飲む和樹の顔が嬉しそうで美味しそうで、泣けるわ。キュン死確実。

最も恐ろしいのは人間だっていう話なんだけど、恐ろしいっていうかその人たち病気だと思うよ。話が通じない人たちだったよね。

カッキーのジャック、ソシオパス(かサイコパスか・・・)壊れてました。2階席からだったけど、1階席の近くから見たら、けっこう怖いんじゃないかなと思った。
アッキ―は、舞台写真みてると 楽しそうな感じ?

1幕のキャストが違う役で登場するアイデア、面白いです。人間のなかの裏表みたいに見えるかもしれないし、「人間」とはなにかっていう問いにもなりそう。
闘技場で「怪物」と呼ばれる者が、最も人間らしさをもっているという皮肉。

そうして地獄の日々を、「創造主よ」と名前を呼ばずに渋い声で訴える怪物。

で、私には和樹怪物はアンリだった記憶を自分のものとしてないように見えたのでした。お話としては、記憶は戻ってるのね・・・うーん。
戻ってない、と感じながらラストを見ると、相討ちというか、殺させる自殺を完遂したのねというところ。生きる希望がないから、友人だった自分を殺させる復讐した。と。

記憶が自分自身のものとして戻っていたとしたら、かなしみ深くて叫んでしまいそう。1幕の和樹アンリのカッキービクターへの愛情の深さを思うとー。
自分の死も研究に役立ててほしいと思ったに違いないので、その結果(怪物となってしまった自分)に失望してるだろうし、申し訳なさすらありそうです。

でもって、この場合、なぜビクターへ復讐しようとしたか、がすごく愛憎がねじれた結果ということになるのですね。
こっちが正解な感じですかねー? 盛り上がるものね。

でも記憶がもどって、しかも話せるようになれたのなら、歩み寄ろうよって思ったわ・・・
その憎しみが素直に受け取れない・・・きつい。

北極にあんな薄着でたどり着いたビクターすごいなぁと感心しつつ。どうやって行ったの? すごいな。コホン。
たどり着く前に凍死しそう。
誰もいない世界で暮らしたいって、それは無理なことなのよね。人は他人を求めてしまう、それは愛か、憎しみか。

その場で決着つけない理由も、分かるけれど納得しきれないところではありました。原作がそうだとか?(そのうち確かめよう)
孤独に「生きる」ではなく、死ぬことを選ぶ怪物。人間らしく生きたいと思うと、死が浮かぶ哀しみ!

最後にビクターの叫び声を聞いた怪物は、アンリにもどって死ねたような気がしました。愛を取り戻したのだろう、と。哀しい。

端的に言うとかなり消化しきれないままでした。一回きりでは掴み切れませんし、日本版の行先もいろいろ手探りな部分もあるのかなと思います。

なかなか辛い物語なので、毎日見たい演目ではないけれど、うまく育てば長く上演可能な作品かも。

小西怪物も、アッキ―ビクターも素晴らしかったそうですし。ぜひぜひ、再演を!

お友達が、和樹和樹と叫ぶわたしにプレゼントしてくれました。

2017/01/21

『フランケンシュタイン』1/20昼 ぼっちゃんが悪いんだよぅ

ビクター、ジャック/柿澤勇人 アンリ、怪物/加藤和樹
エレン、エヴァ/濱田めぐみ
ジュリア、カトリーヌ/音月桂 ルンゲ、イゴール/鈴木壮麻
ステファン、フェルナンド/相島一之

リトル・ビクター/難波拓臣
リトル・ジュリア/寺田光

日帰りで見てきました。ほんとはWキャストのもう一方の組も見るつもりでチケット取ってたのですが、仕事の都合(二転三転して結局行けたという・・・間に合わなかったけど)で諦め、この日の日帰りに。


おもしろい、とか楽しい、とか言いにくい。うーん、こってり濃い

日本上演版としてオリジナルの韓国版とは違うところもあるそうです(どこが違うのかはまだ確認してない)ね、それでも「韓国」!と思わせる復讐への執念の度合に疲れました・・・ 

あとジュリアへの愛情がいまいち良くわかりません。カッキー自体は結婚後はジュリアへ愛情を見せていたものの、流れとしては何だか。

犬が暴力的になって復活したあたりで、結婚相手としてはヤバいのでは。大人は分かってくれないって本気なの。

女性は姉だけのほうが伝わりそうです。

孤独な自分を愛してくれる姉、殺されて怪物を憎む。シンプル。

音楽は、荘厳、美麗、というより普通? いい普通。

時代性や国の雰囲気はあまり反映されてませんでした。あ、そもそもどこの国の人なのか自信なくて。フランスの話でいいんですか。イギリスなんですか・・・ナポレオンが敵なの? 世界史わからぬ。
演者も絶叫歌唱が多いです。どうもどうも。その中では、和樹アンリの静かな歌いだし、断頭台前での歌などしみました。

1幕、ビクターとアンリの出会い。友情、断頭台へ上がって「怪物」となるまで。


エレンが弟ビクターの幼少期を回想するのはいいとして。

他にも繰り返し場面、思い出し場面が多用される構成です。

冒頭の怪物誕生シーン、1幕に同じシークエンスが繰り返されるのもったいない。怪物役の見せ場のような苦しみ場面なので、印象的です。冒頭だけでもわかったよ。全く同じ場面じゃないほうがいい。

おおき言うと、1幕全部が思い出し場面。そのなかに、エレンの回想シーンも組み込まれてる。

それから怪物が逃亡して、闘技場に捕まり、悲惨な目にあうなか、自分を生み出した原因を手帳で知り・・・も回想。

最後まで時間軸変えずに復讐するまでが一連の流れでも悪くないような。

なんとなくのイメージですけど、舞台ってリアルタイムな体験なので、順を追うほうが疲れない(わたし疲れすぎてゴメンよ)んじゃないかな。

回想させる必要があまり感じられませんでした。劇的にしようと思ったのかなー。

柿澤ビクターは「坊ちゃん」に相応しい甘ったれ末っ子風。切ない遂げられぬ役がほんとにお似合いのカッキー。堪能しました。

思いは純粋ながら、倫理観がズレてしまった。母の死について誰も納得させられなかったことが、本当に悲しいです。死んだ人より、いま目の前にいる人(和樹)を愛して!

ビクターを中心に、執事の壮麻さんとジュリアは共依存のよう。自分のふるまいでビクターをダメにしているのに、彼に仕える自分が好きなのね・・・
ジュリアはいらない。壮麻さんだけがぼっちゃんを支えてたのに、アンリが急に親友になってジェラシー、うん、ブロマンス風味つけるならこのほうがいい。

和樹アンリ。
見目麗しいアンリ。医者なのに助けられないなら死ぬ気でいたらビクターに助けられた。生命を生み出すことへの畏れから研究をやめたのに、ビクターに会って考えを改める・・・そ、そうなのか。カッキーにそんなカリスマあったかしら。やっぱり畏れててほしかったよ。

ビクターの殺しの罪を被り、断頭台へ進むアンリ。二都物語が脳裏に浮かびます。
和樹のシドニーもいいなぁ・・・
酒場で悪酔いしてるビクターを助けに来るのカッコよかったよねー。おしりが素敵だったのーっ オペラでロックオンしちゃった。
私も酔っぱらって介抱されたい。ちょっと怒られたい。

少し微笑んで死んでいったのって、やっぱり最高の実験台になろうってことだよね? それはそうなんだよね。
だからさ、怪物が創造主を恨む底に、そもそもお前も望んだんだってあるんだよね。誰も言わなかったけど、そういうことよね? 悲しいよう

プログラムに、「アンリの記憶をもった怪物」って書いてありますが、私がこの日見た感じでは、怪物にはその自覚はなかったように思います。
手帳から自分の誕生の秘密を知ったけれど、むしろアンリだった自分の記憶はなさそうです。小西怪物はどうなんだろう。

自覚はないけれど、無自覚に闘技場でトドメをさせない、ってところに現れてるのだなと。その心がアンリの残り香。

めぐさまエレン
麗しいお姉さま。ビクターを心配する賢い女性だけど、弟の心の中までは知らなかった。姉フィルターかかってる感じで好演。や、めぐさまに好演とか失礼よね。最高っす。

エレンが無実の罪で裁判にかけられた形跡もなくつるし首になるのを見て、魔女狩りな感じ・・・だったんですけど、この手の込んだ復讐が「怪物」には似合わないなぁと思いました。
無実の罪で死ぬ、という復讐をしたかったのだな、と理解しつつも、「怪物」の愛されない悲しみ、人に戻れない悲しみを爆発させるには、手間がかかりすぎかなーと。


いろいろと小さく気になることや、もどかしい感じがあるのは、日本初演版だからでしょう。この先、もっとシンプルにビクターとアンリの物語にしていけば、もっと熱演も光るのでは・・・と。期待。

もうちょっと続く。