2016/12/31

観劇とわたし

2005年4月、札幌から東京に引っ越した私は、初めて祐一郎バルジャンに出会ったコレ

それからは、ひたすら祐一郎を見るために生きてきて(比喩ではない)、途中でルドルフ役だった浦井くんの可愛さとひたむきな取り組み方などにキュン死したり。
もちろん、他の俳優さんたちにも感動したり泣いたり笑ったり。

再び札幌に戻ってきてからは、飛行機代とホテル代に文句いいながらも遠征チームとなって観劇してきました。

一昨年くらいからかな? 何が何でもっていう熱意がふと薄れたなって気づきました。
しかし、ここまで飽きっぽい私を熱くしてくれた「ミュージカル」への情熱が薄くなるなんて、なんか悲しいとも思ってしまい、ちょっと気づかないフリしてました。

そうして今年、やはり以前とは気持ちが違うなぁと自覚。
もっと穏やかにつきあいたいな、と。

現実的には、自分の体力の低下を感じます・・・移動に時間がかかるので、疲労がでてしまい、マチソワするとせっかくのお芝居に集中しきれないことも増えました

観劇数が増えることによってもたらされる楽しさ、も素敵ですよね。それ手放したくなくて、遠征回数増やしたりしてましたが、総じて舞台は一期一会のもの。
万全の体制で、しっかりその一回を楽しめれば良い、と思えるように気持ちが変化してきました。

沢山通ってもいいし、一回を心に焼き付けても、自分が満足できればどちらも良い。

それから、この10年ほどきらめく方を見ることばかりに気を取られ、自分のことを置き去りにしてきましたー。さすがに自分も面倒みないと煤けていく一方。それはダメだ・・・

祐一郎さまが見渡す客席、浦井くんが喜ぶスタオベ時に、煤けた私がいるなんてダメすぎる。

来年は自分をトリートメントすることに気を使って行こうと思います。

この間、手始めに手相見てもらったのです。楽しいエンタメでした。
まぁそんな程度でいいのですが、これまでの「素敵な対象を鑑賞する」だけじゃなく、自分自身をテーマに楽しむこともいいかなーと思っています。

来年も、元気な祐一郎さまに会えますように。

2016/12/28

2016 観劇まとめ

1月
ダンス・オブ・ヴァンパイア@名古屋
浦井健治ソロライブ(FC限定)
4月
エドウィン・ドルードの謎
1789
アルカディア
6月
あわれ彼女は娼婦
7月
BENT
天使にラブ・ソングを@札幌
エリザベート
ジャージー・ボーイズ
キンキーブーツ
8月
王家の紋章
9月
ウィキッド@札幌
KENJI URAI 15th Anniversary Cocert Wonderland
10月
ウエストサイド物語@札幌
新妻聖子コンサート@札幌
11月
マーダー・バラッド
貴婦人の訪問
12月
ヘンリー四世
プリシラ  帯状疱疹になり遠征断念する。ガーン。

1月にTDVのため名古屋に行ったのはもっと前のように感じます(劇場巨大で困りました)名古屋城に行きそびれたし犬山城にも行きたいので、また遠征したいです。

最後の最後で、帯状疱疹になるというびっくり事件で遠征断念でした。無理してる感じなかったけどな。今年は寒くなるの早くて体が疲れたのかもしれないです。

あと6月から8月くらいまで、週1ペースで新居の打ち合わせしてました。でもけっこう遠征してたのね。
夏は荷物も少なくて済むし、朝家をでるときはすっかり明るいから気分いいんですよね。冬の遠征は、まっくらで寒い寒い夜明け前に出なくてはならないのが、年々ツライです・・・マチネあまり入れないようにしようかな。

振り返ってみれば、祐一郎がきらめく主役3つ、脇で1つという充実した一年でした。どの祐一郎ももちろん素敵すぎて、寿命伸びた気がする。

ニュールックになった美ジュアル伯爵さま(ポスター買いました) あんなに笑顔あふれる祐一郎だとはの座長さん。かしづく姿も麗しい宰相さま。そして美しきクズ野郎。

王家の紋章は再演決定おめでとう。歌って踊るメンフィス王は素敵だったけど、超絶少女マンガ(年代物)の物語、まだいまいち拒否感あるのよね・・・ キャロルちょっとウザいよね?(ゴメン)
演じてるみなさんが好きなだけに残念だけど。

来年は1月、まずはフランケンシュタインです(日帰り・・・飛行機 飛んでね)

2016/12/27

『マーダー・バラッド』11/26昼 ただカッコいいを堪能してもいい

@銀河劇場

トム(ダウンタウンのクラブのオーナー、サラの元恋人) ・・・中川晃教
サラ(アッパー・イーストに住む女性、歌手を夢見ていた) ・・・平野綾
マイケル(サラの夫、詩学の博士号を持つ。) ・・・橋本さとし
ナレーター(バーテンダー。本物語の語り手。)・・・濱田めぐみ


訳詞・上演台本:森 雪之丞
演出:上村聡史
音楽監督:島 健


事前情報入れずに見ました。カッコよかったぁぁー
80年代風のロック、私の好きなメロディアスなロック!

さとしさんがやさしい男の役と聞いて、どう?って思ってたけど、すごくしっくりしたな。綾ちゃんより年上のしっかりした頭のいい男性で、愛情あるけど少し奥手。
不器用なマイケル、でもやるときはやるのだな。そこがいい。

さらに、ダメかもしれないけどセクシーな(だけの)男、アッキー! えええ、アッキ―が誘惑する元彼?でしたが、これまたイヤンかっこいい! 明日の約束はしない系の・・・でもこういう人はモテるらしいよね?(私はマイケル派)

でずっぱりNo.1は平野綾ちゃん、ほとんどの場面に登場する主人公的な役割なうえ、激しい恋と子供(舞台にはいない)への愛情を見せるママの顔と、内面も一番客席に伝えなくてはいけないのだった。
ホットパンツに網タイツ、衣装も良いわー。ちょいビッチな感じで。

やさしい夫、かわいい娘、何が不満なの? でも満たされない!そんなサラの彷徨う心は親近感あります。ふらっと元彼のところで、火遊びしちゃう気持ち。
そして、失ってわかる夫のおおきさ。

公演中、感情が残ってしまって食欲がわかないって書いてたけど、もう美味しくご飯食べてるかしら。毎公演、家庭のなかではおさまらず、トムに落ちてしまうサラを演じていると、確かにぐったりするだろうなぁ

そしてナレーター役もするバーテンダーのめぐさん。最初の、だれかが死ぬっていう歌を歌って、あ、バーテンダーでもあるんだなってところまで見たときに、誰が誰を殺すか分かったわ‥‥ 視線が熱かったもの!
バット殺人だったとは。

さて、上演前にプログラム購入して、掲載されてた歌詞は読んでおきました。これは正解だった。音楽がロックなので演奏でうまく歌詞が聞き取れないとこや、一回で意味が取れない歌詞も多かったから。

親切な歌詞だと大事なとこ繰り返したりしますが、これは言葉遊びも多くて、意味と音とをすべては分からなかったのでした。音響は悪くなかった気がするけどね。
日本語だと音節がおおくなって意味が入りきらないのかも。

翌日、銀座山野楽器へ行ってオリジナル盤買いました。英語で聞くと、すごくシンプルにすっと聞きやすい気がする。
でも日本語盤もあったらいいー。カッコよかったから!

Tシャツ買おうとしたら、売り切れてました。ショボン。

大劇場作品ももちろん壮大で大好きなんですが、こういう小さめの劇場で小さいカンパニーで上演するものも楽しい。

2016/12/24

『貴婦人の訪問』11/26.27 6 もうクズ野郎じゃない

SCENE5 イルの雑貨店
♪もう恐れない

市長と警察署長が揃ってやってくる。打算、計算で生きる二人よ!
市長はともかく「町のため」っていう大義名分があるので、ケロッとしてますね。コワイコワイ。

そして警察署長!一番コワイのは、誓った友情~死ぬまで~♪のゲルハルト。
自分のことは自分で始末しろ(名誉ある死だ)と、拳銃を手渡すのよー。すごい。全く自分は正しいと信じてるの。市長は打算を自任する鉄仮面なので狂わず、警察署長は正しいと思うから全く狂気がない。ってそれが最も狂気かもしれない。

1幕にでた親友デュエットが静かに繰り返されて、アルフレッドがくず野郎でも、こんなひどい目にあっていいのかしらと思うわ。
それもこれも偽りの人生の一部だったのだと、アルフは思ってるのだろうか。

覚悟はできた 恐れはしない 
お前たちはみんな 欲望の 奴隷 そうだろう(耳が痛い)
さぁ俺を殺せばいい
俺は過去を受け止める やれよ どうせ みんな 芝居さ~
全ては偽り 裏切りの 町~(ローングトーン!!)♪

どうですかこれ、クズ野郎が輝いた瞬間。ここにたどりつけるのに、あの日の過ちが悔やまれる。

前を向くんだ 胸を張って(だっけ?)畏れない俺は~♪

もう、くず野郎じゃないぞ!(ちょうかっこいい)
対クレアとしては、命を差し出さねば償えないならばそうしよう、と覚悟した歌。対町の人へは、昔の自分のようで金に目がくらんで倫理も自分自身も見失っている、決して幸せにはなれないぞ、と。

高らかに歌い上げたあと、子供たちが明るく入ってくる日常感がなんとも言えません。彼ら、どうにかいい感じで(死なずに赦してもらって)上手くいくって信じてそう。
で、裏切り者め、ってアルフが出て行った子供たちにつぶやくのって、万が一でも父親が死んでも平気なんだなって分かったからの言葉。子供とはマチルデとは違う絆があるって、アルフには思えてたのかな。

マチルデからすれば、お互い様・・・ 最初から裏切ってたのは、どっちだと言いたくなるわけね。

SCENE6 イルの雑貨店
♪あなたのために泣く

そんなタイトルだったのか。どういう気持ちなんだろう? マチルデは自分に非はないのだって思ってるんだから、本心を隠して生きたあなたのために泣いてあげようってことなのかなぁ 泣くことで自分の立場を正当化したのかしら。

初演のときはもっと自分勝手さばかり印象にのこった場面だったんですけど、今回は“本心”にたどり着いたって感じでした。

マチルデと結婚したのはお金目当てだったのに、きっとずっと自分でもマチルデを愛してるって思おうとしてたのね・・・
年月が経るとそれもそうだなって信じてたところに、クレアが登場して自分の心に向き合って見つめたのでしょう。

しかし私は妻であるので・・・ほんと、マチルデの叫びもすごく分かる。パッションじゃなく、絆があるでしょ?っていう呼びかけ、分かるのよ! 子供も育てたし、お店も一緒にやってきたでしょう。それなのに!
一度も愛したことはない、金のために君と結婚したとか! グーパンチ!

ただ、のちのち思えば、ここで真実を伝えることがアルフの最大限のマチルデへの愛情なのかも。偽りの人生を終わりにすることが償いだったのだから。

ほがらかな明るい雰囲気の瀬奈マチルデだからこそ、凍った心から出る言葉の冷たさが激しい。ラストで逡巡というより、さようならって感じでぐっと挙手する姿は、心の扉が閉まった音がしました。

SCENE7 コンラーツヴァイラーの森
♪愛は永遠に

怒りと哀しさ悔しさでいっぱいのクレアを抱きしめるアルフレッド。これね、初演のときは、そんな懐柔策で落ち着かせようとして、嫌な男だよって思ってました。
初演時も意図するところは、私が考えたような卑しい気持ちではなかったんだろうなぁと今なら思うんだけど。

今年は違う。今年のアルフレッドは違う! 本当に心からクレアの受けたものを自分も受け止めようとしてるの。どうか落ち着いて、とやさしく抱きとめるの。昼メロだぁぁぁぁ

泣いちゃうしかないでしょ。お二人も鼻水ずびーんって感じですけど、私もずびずびですよ。ううう。遅いのよ、アルフレッドー!!

過去をどうしても無くしてしまえなくて、取り戻せないことを分かったうえで、取り戻そうとしていたのよね・・・切ないです。

前も書いたが、26日はすごい健気に気丈に過去と対峙してるクレアで、27日は復讐するのよー!なドSクレア。

最後に、クレアは、過去を赦せるかもって思ったんだよね? 復讐の炎がすっと消え去った顔になります。両日のクレアはまるで違う印象だったから、この瞬間への流れも違って、なかなか面白かったのでした。でもどちらも、緊張の糸がゆるむ、といった風情ではあった。張りつめたものが、すっと昇華していくような表情でした。

もういいの、と言おうとしたとき、アルフレッドはすでに駆け出して行ったあと・・・くうう、ツライ。一瞬クレアの心が平穏になったように見えてたから、アルフが居ないと気付いたあとの衝撃ったら。あああー

SCENE8 ホテル“黄金の天使”の中
♪正義の名において

茶番だから。神妙な顔で取り仕切る市長、きらきらの服着て正義の鉄槌をなどと思ってる町の人たち。

アルフがホテルに入ってきたときの校長の顔とかね、目を合わせられない感じの。でも挙手しちゃう弱さ。反対に、表情をなくしてしまったマチルデの挙手も。

横たわるアルフレッド。駆け込んでくる(でも威厳あるわ)クレア。

永遠に失い、永遠に自分だけのアルフレッドになったよね。望んでいたし、最後は望まなかったし。二つの気持ちがせめぎ合ってるように感じました。

初演のときは、小切手はさっと渡した気がします。約束の小切手、アルフのそばに座り込んで見つめたまま、小切手を出すものの、市長が取ろうとするのをぐっと掴んで離さないの。
渡せば、金でアルフの命を買ったことになる。それが嫌だったのかな。死んだことを認めたくなかったのか。

人殺し! 小さく、強く言うクレアと、受け取って、金は金、キレイも汚いもない、という市長の顔。

じゃじゃーーーん。

すべてもって行かれました。二日とも。
クレアとアルフレッドは。生きた、愛した、となった再演版。

重唱が特に美しい作品で、涼風さんのパワフルでありながら傷ついたままの17歳でもある、演技の幅と歌声は、もし日本ミュージカル界にトニー賞あったら最優秀主演女優賞を差し上げたいと思います。まぎれもない代表作と言えるでしょう。

私の祐一郎はカッコよさ無限大、役どころではくず野郎ですが、かっこ良くて何度も死にそうになりました。
そして涼風さんとしっかり組み合って毎公演を作り上げていたし、包容力のようなものがじわじわと伝わってくるのです。祐一郎ー!

再再演はいつですか?
あととりあえずCD出してください
オリジナルキャスト盤も素晴らしいんですが、日本キャストの奥行きある表現力も素晴らしいので!
 

2016/12/20

『貴婦人の訪問』11/26.27 5 もう戻れない欲望の炎

ACT2
SCENE1 イルの雑貨店
雑貨屋さん、ちょっと綺麗になってます。うん、みんなお買い物してくれるからいい気分で戸口のカーテン替えるし、商品も増えるよね。
全て敵、怖い顔でお店に入り旅行鞄にトイレットペーパー放り込んでたら、マチルデがやってくる。

マチルデが「私が守る!」って訴えても全然ダメ。自分の命が何より大事で、そんな時に妻子はどうでもいい存在みたいに扱われてしまった。
ガガガーン! 客席の奥様たち、みんなガガーン!だったと思うな。私もだ。夫婦って・・・夫婦の絆・・・!
それだけ、アルフにとって夫婦として過ごした年月はいつわりの日々であったということなのでしょう。さいあくだよ。クズ男っぷりが最高潮だな。

SCENE2 ギュレン駅
♪元気で
クズと言えば、町のみんなも集団リンチというか、笑顔で列車に乗るのを阻止だ。とてもこわい。

行けばいいさー♪ まだ人間らしさを保とうと頑張る校長が、アルフに声をかけるけれど、すっかり疑心暗鬼な彼は、校長のやさしい言葉も耳に入らない。かなしいです。かなしい。なすすべがない。大きな流れができてしまっているのだった。

SCENE3 ホテルのスイート・ルーム/クレアの部屋
♪世界は私のもの

市長と校長がクレアのところへやってきて、「提案」する。寄付じゃなく、町の工場に投資、買い取ってくれ、と。
校長はいい解決方法じゃないかなって思ってるし、市長は町が発展すれば原資はどっちでもいいやって感じだ。

(お金は)余っているのよ・・・ でも、受け入れることはできないの~
あの工場はわたしのものだから。

ひいい、カッコいいが。カッコいいが、復讐のために町中を買い占めていたとは。念入りだ。
全てを手に入れた女の復讐ソング! この世界はわたしのもの~♪ 手を突き上げる! かっこいいっす! 

心なんてあるだけ邪魔~♪みたいな歌詞もありますよね。哀しいわ。傷つきすぎたのですね。
町中娼婦にしてやる、狙いどうりよ~♪ 
一人死ねば儲かる仕組みよ! ギャーーー
思い通りにすっかり金の魔力に取りつかれたギュレン、悲しい結末に向かってまっしぐら。

過去を思い出すシーン、とてもつらいです。足を引きずりながら、嘲笑され、暴力的な扱いを受け。
そしてダンディ港さんに助けられる。あ、ちがった謎の大富豪に助けられる(港さんは中の人)
照明が落ちても足を引きずって袖にはけていくクレア涼風さん、毎度すてきだなぁと尊敬でした。華奢なボディから発散する気力がすごい。

そうそう、26日のクレアはMっぽくて(けっこう湿っぽくて)、27日はドSでしたっけ。その日の体調? 何かおりてくるのかしらね?

SCENE4 イルの雑貨店~店の前
♪悪が勝つだろう

マスコミが来てるよ、死んだら寄付されるなんて“思い込み”喋るなよ?って脅しに来る人々。みんな衣装がゴージャスキラキラ成金スタイル。

ギュレンの人たちの、自分には直接関係ないからこそ好き勝手アルフを批判して、結果=寄付をもらおうという欲望がはっきり。

そこへ酔っ払いのへろへろ校長がやってきて、強い酒・・・へろへろー

ちょっとね、プロフェッサーぽくて可愛いんですが、役としては追い詰められてしまってて気の毒です。いずれ、自分もその輪に加わるだろう、金の力には抗えない、と認めつつも、それは「今」はまだ違う、と言い聞かせてるよう。

イル雑貨店もますます繁盛してるしね・・・うん・・・

欲望の火が付いたら、理性を焼き尽くし、良心などもろい(そんな感じの歌詞)
見るがいい~地獄の門があくぞ!
可愛いレーナちゃんに笑顔を向けるも、ママににらまれつつ。

♪モラルの殿堂
リポーター港さん。ワーイ! ボディガードの時は無表情ベースだから、きびきび笑顔が嬉しい。

ここのキーは中央にいるキレキレの牧師、中山さんでしょう。衣装もきらめいて、目がいっちゃってます。信じる者は救われる!とか叫ぶのは、どう見ても自分に後ろめたさがあるから言い聞かせてるの。意外と変わり身早かったよね。

♪悪が勝つだろう(リプライズ)
大騒ぎしてる最後に、何だか悟ったみたいな顔した生気の抜けたような静寂のアルフレッドがやってくる。子供みたいに顔がぐしゃぐしゃ、この町の将来を思って苦悩の涙のクラウス校長に、穏やかに声をかけるの。

クズ野郎!の声がかかる、つばも飛ぶ。あああああ。

俺が悪かったんだ。と話すと、クラウスは抵抗してくれ!と懇願。あきらめちゃだけだ、と。アルフレッドは町へはどうでもいい(見下してるんだと思うな)けど、クレアへの贖罪は、もはや死しかないって受け入れているようでした。自分も町も救うことはできない。

それを感じたクラウス、きっとアルフが抵抗してくれてれば自分も抵抗続けられたかもしれないけど、本人が受け入れようとしているのでは、とても堪えきれぬ、と打ちのめされてしまう。ほんとにヨレヨレになって悲しい歌だった。

2016/12/12

『貴婦人の訪問』11/26.27 4 ゆるせるか?

SCENE9 警察署~通り
♪永遠の友達
靴がぴかぴかになった署長、クレアを逮捕してくれ!と駆け込んできたアルフと対面。ここも秀逸すぎて素晴らしい。

若いときのゲルハルトとアルフ、ゲルハルトは若いころの自分といまだに一体感がある、目を合わせるし手も握る。アルフはちゃんと見つめて笑顔も出るけれど、がっちり手を組みはしない。その辺が思い出との距離感なのね。
絆は~えいーえーん ずっとーしぬまーでー♪ 
ほんとの友達、お互いにその意味がズレていく2幕。

マチルデも言います、この絆は死ぬまで、と。のちにクレアとアルフは死んでも愛は残る、と歌ってますね。

10代の自分を満点の笑顔でハグできるかというと、私はアルフ派かな。赤面するようなことが山盛り、恥ずかしい。
まっすぐ前を向ける面の皮の厚さ、それがゲルハルト。

若きゲルハルトの俵さん、アルフは寺元さん、で、今さんと祐一郎。
まだアルフはゲルハルトのこと友よ!って思ってるし、さわやかだし。
二人の間の思い出はひたすら美化されて、いい四重唱よね・・・

今さんと祐一郎が並んで立つと嬉しくて、涙出そうになるんですが。これって年ですか。

SCENE10-11 警察署・市庁舎~通り・教会
♪奴を追え
ゲルハルトが電話に出ると、クロヒョウが逃げ出したから捕まえると銃とガスマスクで楽しそうに武装する。怖い。
正義のなのもとに害獣を殺すんだ、という市民たち。アルフにはそれが自分へ近く自分へ向けられるものだと直感で分かっているのだよね。

市庁舎。
クレアを逮捕させろ! と市長へ訴える。彼も銃を持つ。
すると、法廷でのお前はひどい、となじられるアルフ。市長も偽証して同じく罪を持つせに! なんという・・・キィー

なおも銃とガスマスクの市民から逃げるアルフレッド。

教会。
銃をもつ牧師。
祈るがいい! 自分の魂を救え、と助言するそばで“新しい鐘の音”が。葬送曲のようなフレーズが入って、音楽も盛り上がってくる。こわいこわい。
中山牧師の叫び、逃げろ!信じる者も信じぬ者も救いたまえ、って言ってたよ、ね。

牧師は、金に目がくらみ鐘を新調したことを罪だと思っているからこそ、祈りをささげてるのかと思われ。この叫び怖い。赦されるだろうか。

ガスマスクの市民ら、通路にも降りてくるし、見てる側にも銃口が向くので怖いのです。

銃声。ダーンダーン!

SCENE12 ホテル“黄金の天使”の前の広場
ここで最も偽善者らしくなってしまうのが、校長先生。殺すしかなかったのです!とクレアに叫ぶのを、市長が制止。

市長は結果がすべてだし、市民が守られたことが最も大事な現実主義なんだけど、校長は自分のことをヒューマニストだと言う分、言えば言うほど偽善的に聞こえてくる悲劇。ここまで熱くなるのは、その殺意がアルフレッドに向けられる恐怖を感じていたからこそよね。

弔いの歌をなぜ歌う! だいぶ荒れてるアルフ。自分の時もそうやって歌うのだろう、と叫んで、銃を振り回しながら通路降りて駆けていく。

SCENE13 コンラーツヴァイラーの森
♪愛の嵐
今の俺ならなんだってできる!
と言って銃の弾を送るアルフレッドの手つきが慣れた感じで美しく見惚れているのは内緒
銃の扱いができる・・・猟をするのか、この国には徴兵制度があるのか。

殺すんじゃないかっていう怖い顔でクレアに銃口を向けてます。どきどきする。
でも出来ないよ。銃をおろすと、

やって、撃ってよ!と銃を取って死のうとするクレアが哀しくて健気で痛々しいの。
ホテルでアルフに「死んでよ~♪」って高みから歌い上げた強いクレアじゃない。それはやっぱりオフィシャルなクレアというか、必死に作り上げた強い女のクレアだったのね。

心はもうアルフレッドに殺されたのだから、身体もあなたが始末すればいい、とでもいいたげ。書いててつらい。それが望みなの・・・? どちらかが死ぬしかないって思ってたのかな。

もみ合う二人、全身で殺して!と叫ぶ。そのあまりの激しさに、やっとどれだけ彼女を傷つけたのかを知るアルフ。ガーンって感じだ(ニブイな)

愛とは命そのもの~支える絶望さえも 信じあい許し合う~強い絆~♪(若い二人)
なぜよみがえる (今のクレア)
消えた愛の(なかから?)(今のアルフ)
心躍らせ心奪う 愛は胸を乱す嵐 (今のクレア)
友情は消えても残る愛は 背負った罪を癒してくれる(今のアルフ)

無くした翼 取り戻して 恨みもなく支え合えたら (今の二人)
たとえ地獄の底にいても~♪  “続き、なんだっけなー 

並んで飛び立つ鳥のように寄り添いあえたら~♪
羽ばたけもう一度 いつかみた青空を目指して♪

記憶もここまでじゃ。出会った頃を思い出して、あの頃のようになれたら、とデュエットします。自由~♪っていう綺麗なとこもありますよね。超絶に美しい四重唱をずっと堪能したいのよう~、だからCD出して!

「♪愛の嵐」美しすぎて言葉もないや。こんなに美しい音楽が生まれる二人なのに、道が分かれてしまったなんて。
たおやかで美しい音楽の最後、頑なな心溶かし憎しみも消せるきっと♪
愛は許す(若いクレアだったかな) 赦せるか?(今のアルフ)

アルフが「赦せるか~♪」と尋ねる。「聞いてみたら~♪」すごい会話だなって毎回思います。もしかして、自分の心に聞いてみたら?ってこと? 深い・・・?

過ぎたことよ~♪ (今のクレア)
「赦してくれるのか」
「死んでも、赦さない!」

ぎゃあああああ。
「過ぎたことよ」っていうのが、遠い過去だからもう良いのよって意味じゃなくて、決定的に取り返しがつかないのって意味になるのね。

見てたとき、「死んでも赦さない」っていうクレアが本当に今にも倒れそうなくらいギリギリの場所に立ってるように思えてました。
クレアの命・尊厳を取り戻すことは赦したところで不可能で、赦すと言ってしまうとこれまでの彼女の歩みがすべて否定されてしまうかのように感じていたんじゃないかなって。

私、祐一郎LOVEだから・・・うっかり赦してもらえないのかなって思ってしまうんだけど、事情だけ聴いてたら「赦さない」って当然だもんねー。
赦すかどうかは被害者側が自分の気持ちをどうしたいかってだけの問題であって、加害者は赦される/されないにかかわらず、罪は消えないのです。甘えるな、です。

で、1幕終わり。
なんという緊迫した状態での幕間。お手洗いへ駆け込む元気もすぐに出てこず、しばし席で放心してました。つらい。つらすぎる。はぁぁぁ(すごい作品、カンパニー)

2016/12/10

『貴婦人の訪問』11/26.27 3 目には目を!

SCENE5 イルの雑貨店
♪愛こそ砦
良かったー、瀬奈さんのマチルデ。君は楽天家、のセリフがぴったりです。

クレアとは秘密の森ですぐにあの頃にもどってデュエットするアルフですが、マチルデ渾身の夫婦愛の歌では、妻に子供みたいに抱きつくくせに、デュエットし・ま・せ・ん。しくしく。こんこんちきめ!

そのあたりに、アルフとマチルデの切ない関係が浮かびます。
無償の愛は難しいよ。2幕のあのアルフのセリフを聞いてしまったら、絆は断ち切られた~♪(あ、エリザ)の。

SCENE6 それぞれの場所
♪ダメだ 忘れろ
どのシーンも見どころある作品なれど、歌詞が自己中なのにカッコよくてまいっちゃう大好きなシーン。オペラみたいに途中でもアンコールでもって、また聴きたいなぁと毎度思います。だからCD出して。

・市長 彼は最初から自分と市が豊かになることだけが目標なので、あの金があったら、と考えるのは当然な感じ。キラキラ好きそうです。

・警察署長 自分に都合よく事実や倫理もねじまげて「正義」へまっしぐら。
彼のなかでは、ほとんど金と友情が天秤に掛けられても揺らがない。悪いのはアルフだから。って、すごい。今のとこ、でも積極的に死なせることはできないって思ってるけど、抜け穴をさぐってそう。「俺は法律」

・牧師 ようやく人命と金を交換することに慄いてる人が登場。
しかし議論は民主主義の根幹だ、とか言われて、あ、そうだよねと脇が甘くなる! うう、残念賞だ!
福祉に使える、って目がキラリーン☆になった中山さん、初演時より宗教人というか人としての葛藤があったうえでの金に屈した後の変化、生生しくなってて良い。
みんな、言い訳探し始めてる。

・校長 悩める先生、にこにこ(へらへら)登場。
ここも、初演時は自分のヒューマニズムを信頼している状態だと思ってみてましたが、今年はけっこう撃たれちゃってました。その上で、言葉のうえで友人たちに「ダメだ!」と言っているのかなと。そして自分へ言い聞かせてるようにみえました。見る日によっても違うかもしれない。

それにしても、これ聞いてるとキャスティング完璧すぎてお礼のお手紙書きたくなります。重く支える系の声で合わせてくる先の3名、そこへ飛び込む禅さんの永遠の青年さわやか高音。最高でしょ。

いつまでも幸せつかんでくれない感じの禅さん(私が観劇するときは大抵「切ない役」)が素敵です。クラウス校長は自分たちの弱さを自覚しているからこそ、その時が来てしまうのを恐れている。

SCENE7 イルの雑貨店
♪贅沢しても
にわかに活気づく町。イルの雑貨店も繫盛。初演時より、アルフの子供たちが普通な子供だった。良かった。両親のこと愛してそうでした。

一見コミカルで楽しい曲調、祐一郎の演技も軽くしてますが、この先にあるものを考えると胃が痛くなります。
余裕でクレジットー♪(私のことか)
欲望パワーすごいよね、わかるもの。わかるわ・・・わかりすぎる。
払うよちゃーんと、死んでもちゃーんと♪

曲の最後にアルフがハゲタカ?とかもってけー!と爆発してからは、ここまで明るめだった雰囲気が徐々に重くなっていくのよね。

SCENE8 ホテルのスイート・ルーム/クレアの部屋
♪正義
このままじゃ町の人に殺される!とクレアのところへ駆け込むアルフ。
26日は普通にボディガードに制止されてたんですが、27日(おけぴ観劇会)では尻もちつきました。サービスか、な・・・?

そうそう、ボディーガード二人も人格がきちんとついた風に演出されてて良い。小樽出身てことで、港さんを特に注意して見てるのですが、いかつくて良いわぁ(死んでも返せない恩って何でしょう。設定があるなら伺ってみたいものです)

謝ってるじゃないかーーーー!!と叫ぶアルフ。謝ったから赦されるわけじゃないんだよ、テメェ!(あ、言葉が乱れました。しかしここで明かされる過去のアルフのしでかしたこと…裁判での偽証、納屋に置き去りは、全女子の敵)
死んだと思って怖くなって置き去りにしたとかいうし。ホント、ひどすぎる。

目には目を、命には命を。
あの時自分は死んだのだから)死んでよ~♪

裁判シーンで若いときのクレアが苦しむと同じように今のクレアも苦痛の表情になるの。アルフにとっては遠い過去のことになっていたものは、クレアにとっては昨日の出来事のようにくっきりしてるのね。

ここだっけな? アルフはやめてくれ!っていう仕草をしてるのは。忘れてなかったかのようにしてきた醜い思い出したくない過去に対して。
手を振り続けてる祐一郎が可愛いのは私の心に秘めておくとして)いい人面してたけど、こんなひどいことしてて良く金の無心とかできるよね、と毒づいておきます。

2016/12/06

『貴婦人の訪問』11/26.27 2 正義の値段よ

ACT1
SCENE1 ギュレン駅
♪栄光のファンファーレ
初演のほうがよれよれ感強かったかなぁと思いつつ、冒頭から市民たちは落ち着きあり、ややコミカルでもある。いろんなことが落ちてる感じのギュレンだ。そしてマダムへの無責任な期待感がほのかにあふれる。
横断幕つけたり、段取りを確認したり。レーナちゃん可愛い。

仲良し4人とアルフの関係もすでに出てきますね。現実路線の政治家マティアス、権威に弱そうなゲルハルト、クラウスは時流に乗り損ねてそうな感じがいいし、この場面では常識人らしき笑顔のヨハネス(豹変後との対比が面白い)

今回はマティアスの政治家な表現がより強く出るようになりました。アルフを囲む仲間に、お前たちもおだてろ!とジェスチャーしてるの。友情より政治。

祐一郎、頼れる男アールフレーッド♪ ・・・初演の時より髪が短め? 痩せてるので若返ったなと思う。やだー、かっこいいんだけど。

♪ようこそマダム
列車と思ってたら、ヘリコプタでやってくるマダム。妻マチルデのスカートの裾を風に煽られてるのよ風にパタパタ動かしてる、アルフ祐一郎が可愛すぎるのが問題。

合唱隊の音痴具合もグレードアップ。静かに歓待を受けてる態度のクレア偉いと思うわ。

初演のアルフの印象は、「昔」のことは100%過去の美しい思い出にしてしまっている本気のくず野郎で、わりと無邪気にニコニコしてた気がしますが、今年のアルフは少し緊張感のある表情。でも、市民の手前があるから平気な顔してようとしてるような。深みが出たわ。

クレア! 声かけられて振り返る涼風クレアが、どれだけこの日を夢に見て繰り返し心のなかで描いていたんだろう? 彼女、自分が思ってたよりもハッと動揺があるように見える。
お互い、距離感を図っているような二人(特にアルフか)
秘密の森で、っ言うのもずっと決めてたんだろうな、色々詰まってる再会のシーンでした。

SCENE2 コンラーツヴァイラーの森
♪愛は今も
愛を信じ相手を信じたきらきらの笑顔で若い時のクレアとアルフが、時を経た二人の周りを駆け回る。命があふれてる!
クレアがどういう思いでここにいるか既に知ってるので、ここのやり取りで泣きそうになる。
アルフがいつだって想ってた、っていうの本当なのかな・・・

若い二人を演じるお二人の声の清らかさ美しさ。じーーーん。
見つめる(思い出す)クレアの愛おしそうな表情、若干、他人行儀にぎこちないアルフ。
4人の声が重なって、ほんと美しい。ハートのマーク、愛の思い出がこの森には隠れてたのよね・・・
CD化しようよー。

今年のアルフレッドを見てると、世間に合わせてる自分、とクレアに見せる素直な面、がさらにはっきり区別されてます。
ここではクレアに金を出させるためのミッションが課せられてるので、わりと世間体の顔(クレアとは若気のいたり、古い話だよねという)が最後に出てきますよね。声も高くなるし、表情や動きが“演技がかってる”感じに。

若い時の自分たちを思い描く2人が舞台に出てきて、クレアは若いアルフがしっかり抱きしめるけれど、アルフは若い時のクレアを抱きしめないの。ゲルハルトとのシーンでも繰り返されてて、過去と今がしっかり結びついていない風に吹かれるままの彼なのだった。

SCENE3 ホテル“黄金の天使”の中
♪彼女は型破り
無責任な市民の噂話が展開する。いわゆる“モブ”ですね。クレアの母親も娼婦だったよね的な話で盛り上がってる。他人の不幸は蜜の味。
この問題は自分のことじゃない、でもおこぼれ欲しい。分かるわ・・・

SCENE4 ホテル“黄金の天使”の中
♪晩餐のアンダースコア
クレアから金が引き出せる感触を得たのを自慢気に仲間に話すアルフ。冒頭より自信回復の様子。次は君が市長だなとおだてられてその気になっている顔。

クレアとマチルデの怖い対面、面と向かうのはこの場面だけですが、二人の関係が垣間見える一瞬。当時、クレアが町を去るまでは窓の奥から見てるだけだった、と。

♪クレアに乾杯
マァーダァームゥゥーにぃぃ~♪ もすっかりいい声で乾杯発声してる市長でした。
あの重そうなキラキラのドレスを着て、脚の悪い動きして、階段を昇降する涼風さま…すべて素敵です。うっとりー。乾杯のときグラスに口つけないのも、クレアっぽいなぁ(自分でお気に入りのシャンパン持ってきてそうだしね)

寄付をいたします!」わー!!
盛り上がっていく音楽、内容とは裏腹で高らかに堂々とむしろ明るく楽しそうに。爆弾落としたぁぁですねー。
アルフレッド(が?)死ぬこと!

♪とんでもない
初演の時は、この時点では市民らはまず拒否の気持ちでいると思ってた。が、今年はどうも違う。すでにけっこう巨額の金に心が揺らいでるなと思いました。不思議です。歌詞は同じだし、ダンスも変わらないはずだけど。
なんだろう、切れ味が薄れた気がするの。市民の金は欲しい、しかし死なんて!という悩ましさが伝わってきましたねー。面白いのうー

となると、最後の“あああああーーーー!!”という叫び声も、金か死か!という選択肢で悩んでしまっている自分、に対する叫びに聞こえてきます。清く正しいキリスト教徒なら、命と金は天秤にかけられないはずなのに、金に目がくらんでいる!という叫び。

2016/12/05

『貴婦人の訪問』11/26.27 1 再演の深み

11/26夜、11/27昼(おけぴ観劇会)@シアタークリエ

アルフレッド/山口祐一郎 クレア/涼風真世
マティアス/今井清隆 クラウス/石川禅 ゲルハルト/今拓哉 ヨハネス/中山昇
マチルデ/瀬奈じゅん
若い時のクレア/飯野めぐみ 若いときのアルフレッド/寺元健一郎

再演、しかもマチルデ以外はキャスト変わらずという夢のような再演。
2015年の初演からすぐの再演ということで、そんなに変わらないのかなと高をくくってました。ごめんなさい!
演出の山田和也さんはじめ、出演者スタッフの向上心、すごかった。

同じセリフなのに(気づくような変更点はなかったと思うの)各キャストの視線、表情、声のトーン、何かのタイミング、それらが「こういうものを表現したいんだ」っていう明確な意図というか、思いが貫かれています。

初演のときには、“このときアルフレッドの気持ちはどんな風なんだろう?” 読み取りにくい、もしくは読み取りにくく表現しているのかな?と捉えていた点が、いくつかあったのですが、それらがとてもくっきり見えるようになっていました。

大きな疑問は、アルフが「クレアだけをずっと愛していた、忘れたことはない」という言葉の誠実度
彼はその場しのぎ、相手に合わせてしまう男なので、この言葉もクレアへのリップサービス的な意味が大きいのか?と捉えてました。
アルフは“その時(だけ)は誠実”病でもあるので、言ってるときはそう思ってるんだけど、別に真実ではないかもしれないってことでもあるよなーと。

2016年のアルフレッドは違ったわ! ほんと吃驚なんですけど!
言葉を発した瞬間も、その後もラストまで、誠実な心情としか思えません。でも金のために捨てたんだ、っていうはっきりとした自責の念を抱えて暮らしてきたんだなって分かるの!

どうしたのよ、すごいわ。

お前、そうだったのかーーーーっ ですよ。
クレア様と一緒に、打ちのめされそうになったよ。愛してくれてたなら、なぜ? なぜ、酷い目にあわせたのよぉぉぉぉ

あともうね、祐一郎の声がぁぁぁ・・・・・(素敵すぎて死にそう)私ならここでもう「ゆるちゅー」、って負けてしまったけれど、クレア様の受けた傷は深くて許さないわー!って拒絶なさってたわね。そうよね。

2公演だけ見てきたんですけど、濃すぎたので大満足です。休憩時間もすぐに席立てなかったしね。祐一郎が、じゃなくて作品自体にお腹痛くさせられました。辛かった、そして素晴らしすぎた。

つづく。