2016/12/06

『貴婦人の訪問』11/26.27 2 正義の値段よ

ACT1
SCENE1 ギュレン駅
♪栄光のファンファーレ
初演のほうがよれよれ感強かったかなぁと思いつつ、冒頭から市民たちは落ち着きあり、ややコミカルでもある。いろんなことが落ちてる感じのギュレンだ。そしてマダムへの無責任な期待感がほのかにあふれる。
横断幕つけたり、段取りを確認したり。レーナちゃん可愛い。

仲良し4人とアルフの関係もすでに出てきますね。現実路線の政治家マティアス、権威に弱そうなゲルハルト、クラウスは時流に乗り損ねてそうな感じがいいし、この場面では常識人らしき笑顔のヨハネス(豹変後との対比が面白い)

今回はマティアスの政治家な表現がより強く出るようになりました。アルフを囲む仲間に、お前たちもおだてろ!とジェスチャーしてるの。友情より政治。

祐一郎、頼れる男アールフレーッド♪ ・・・初演の時より髪が短め? 痩せてるので若返ったなと思う。やだー、かっこいいんだけど。

♪ようこそマダム
列車と思ってたら、ヘリコプタでやってくるマダム。妻マチルデのスカートの裾を風に煽られてるのよ風にパタパタ動かしてる、アルフ祐一郎が可愛すぎるのが問題。

合唱隊の音痴具合もグレードアップ。静かに歓待を受けてる態度のクレア偉いと思うわ。

初演のアルフの印象は、「昔」のことは100%過去の美しい思い出にしてしまっている本気のくず野郎で、わりと無邪気にニコニコしてた気がしますが、今年のアルフは少し緊張感のある表情。でも、市民の手前があるから平気な顔してようとしてるような。深みが出たわ。

クレア! 声かけられて振り返る涼風クレアが、どれだけこの日を夢に見て繰り返し心のなかで描いていたんだろう? 彼女、自分が思ってたよりもハッと動揺があるように見える。
お互い、距離感を図っているような二人(特にアルフか)
秘密の森で、っ言うのもずっと決めてたんだろうな、色々詰まってる再会のシーンでした。

SCENE2 コンラーツヴァイラーの森
♪愛は今も
愛を信じ相手を信じたきらきらの笑顔で若い時のクレアとアルフが、時を経た二人の周りを駆け回る。命があふれてる!
クレアがどういう思いでここにいるか既に知ってるので、ここのやり取りで泣きそうになる。
アルフがいつだって想ってた、っていうの本当なのかな・・・

若い二人を演じるお二人の声の清らかさ美しさ。じーーーん。
見つめる(思い出す)クレアの愛おしそうな表情、若干、他人行儀にぎこちないアルフ。
4人の声が重なって、ほんと美しい。ハートのマーク、愛の思い出がこの森には隠れてたのよね・・・
CD化しようよー。

今年のアルフレッドを見てると、世間に合わせてる自分、とクレアに見せる素直な面、がさらにはっきり区別されてます。
ここではクレアに金を出させるためのミッションが課せられてるので、わりと世間体の顔(クレアとは若気のいたり、古い話だよねという)が最後に出てきますよね。声も高くなるし、表情や動きが“演技がかってる”感じに。

若い時の自分たちを思い描く2人が舞台に出てきて、クレアは若いアルフがしっかり抱きしめるけれど、アルフは若い時のクレアを抱きしめないの。ゲルハルトとのシーンでも繰り返されてて、過去と今がしっかり結びついていない風に吹かれるままの彼なのだった。

SCENE3 ホテル“黄金の天使”の中
♪彼女は型破り
無責任な市民の噂話が展開する。いわゆる“モブ”ですね。クレアの母親も娼婦だったよね的な話で盛り上がってる。他人の不幸は蜜の味。
この問題は自分のことじゃない、でもおこぼれ欲しい。分かるわ・・・

SCENE4 ホテル“黄金の天使”の中
♪晩餐のアンダースコア
クレアから金が引き出せる感触を得たのを自慢気に仲間に話すアルフ。冒頭より自信回復の様子。次は君が市長だなとおだてられてその気になっている顔。

クレアとマチルデの怖い対面、面と向かうのはこの場面だけですが、二人の関係が垣間見える一瞬。当時、クレアが町を去るまでは窓の奥から見てるだけだった、と。

♪クレアに乾杯
マァーダァームゥゥーにぃぃ~♪ もすっかりいい声で乾杯発声してる市長でした。
あの重そうなキラキラのドレスを着て、脚の悪い動きして、階段を昇降する涼風さま…すべて素敵です。うっとりー。乾杯のときグラスに口つけないのも、クレアっぽいなぁ(自分でお気に入りのシャンパン持ってきてそうだしね)

寄付をいたします!」わー!!
盛り上がっていく音楽、内容とは裏腹で高らかに堂々とむしろ明るく楽しそうに。爆弾落としたぁぁですねー。
アルフレッド(が?)死ぬこと!

♪とんでもない
初演の時は、この時点では市民らはまず拒否の気持ちでいると思ってた。が、今年はどうも違う。すでにけっこう巨額の金に心が揺らいでるなと思いました。不思議です。歌詞は同じだし、ダンスも変わらないはずだけど。
なんだろう、切れ味が薄れた気がするの。市民の金は欲しい、しかし死なんて!という悩ましさが伝わってきましたねー。面白いのうー

となると、最後の“あああああーーーー!!”という叫び声も、金か死か!という選択肢で悩んでしまっている自分、に対する叫びに聞こえてきます。清く正しいキリスト教徒なら、命と金は天秤にかけられないはずなのに、金に目がくらんでいる!という叫び。

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