2018/09/25

『ゴースト』9/10 咲妃みゆモリ―はサッパリ系

翌日10日マチネは、大阪公演の千秋楽。

咲妃モリ―、パッと見ると可愛くてふんわりしてるのに、そこに居るのはサッパリ男前なモリ―でした。おお、新鮮。自立してる(精神的にも)女性でした。
可愛らしさより、愛する人との別れにも顔を上げて立ち上がれるパワーを感じました。

いちゃいちゃ場面では、Love度熱めながら爽やかに演じていて、宝塚仕込み素晴らしい。客席からは体重かけてるように見えるけど、本当はかけてないに違いない、スゴイ。髪に手をかける仕草とか、100点です! やや様式美でもあったけど、咲妃さんの得意分野よね。堪能した。

秋元モリ―は控えめだったこともあって、演技面では浦井くんがリードしてるように見えました。

咲妃モリ―は、反対に浦井くんは受けな演技。
ギター持ち出した時に、そんなの無駄、ダメよ、などと合いの手が入るのが、ビシーッとするどいツッコミで、笑いが起こるほど。場数踏んでるだけあるわ。全体に安心感たっぷり。
ちょっとした何気ない仕草とかも上手なのねー。さすがです。

歌声ははっきりした可愛らしいお声でした。

千秋楽ということで、浦井くんと森公美子さんからお話しが。

浦井くんは、作品を通じて何か受け取ってもらえたら(感じて?かな、そんなニュアンス) 愛をテーマにした作品だからね。

モリクミさんは、完売のはずが空席があります。災害で来られなかったのかなと思い、空席に思いをこめて舞台を務めた(もちろん居る我々にも、思いは込めている)
自分も東日本の震災のときは大切な人を亡くした、大変なときだけど、舞台をいいものにすることで…(ニュアンスとしては、貢献したい、とか役に立ちたいという感じだったような)

正確な言葉が思い出せなくてスミマセン(いつもはすぐメモするんですが、私も胸がいっぱいで忘れておりました)

モリクミさんが涙ぐまれていて、あんなに笑顔ハツラツでオダ・メイを演じてた方とは思えないくらい。優しいお気持ち、私にも、それからきっと来られなかった方たちにも届いています。浦井くんも、モリクミさんも、作品に関わっている皆様、どうもありがとうございました。

『ゴースト』はお別れの物語なのに、癒されました。人を信じるときの強さとか、目に見えないもののこととか。

私は幽霊とか信じない(居たら嫌だなぁと思って…コワイよ)んですが、生きてる側の喪失感をどうするかという点はとても大事なことと思っていて、その一つに幽霊というか、魂を想定するのはあるかな?と。そしてゆっくり手放さねばならないんですよね。

私は死んだら宇宙の塵に戻りたいので、未練なくこの世にサヨウナラしたいです。
だから毎日好きなことしていたいなっと。

『ゴースト』9/9 音楽も素直に泣けてくるし、イリュージョン素敵

曲も素直。
奇をてらった感がなく、キャラクターの感情が素直に流れてくるメロディ。

UNCHAINED MELODY は二人の心の表現の肝で使われます。


もう、何も考えずに! 泣いたらいい! 泣いてすっきり!

ひのあらたさんの曲はジャズエイジなのかな?と時代を彷彿とさせて、地下鉄のゴーストの西川大貴さんはラップ、とタップ。オダ・メイはいかにも怪しげなゴスペル風。
キャラ分けも音楽ではっきりあるもの、分かりやすい。

上記の三人、すごくおもしろいキャラでした。しっかりサムのために助言くれるだけじゃなく、各人の背負ってる業みたいなものを感じさせるのでした。妻を待っている男、死ぬはずじゃなかった青年、そして母と祖母にはあった霊能者の血筋が自分にはない・・・と詐欺師になった女。濃い。

地下鉄の青年、あんな風に音楽と光でカッコよく霊力(何ていうの? ゴーストのパワー??)を見せるアイデアがイイ~! パシュ!シュ!パン! 面白かった。怒りがダイレクトに爆発してる感じ。

オダ・メイ、モリクミさんのためにあるような役。スニーカーでダンスも頑張ってらっしゃいました。膝の調子は大丈夫でしょうか。とりあえず、踊るとかわいい。汗もかいて大変! ゴスペル風なありがたそうな適当そうな曲が楽しい場面です。

ズルそうなところと良い人そうなところのミックスさがいい塩梅。銀行をだましに行く時のいかにもな豹柄ツーピースとか、分かりやすくて最高です。

小切手の額に夢が広がるシーン、楽しいシーンありがとう。シロクマさん(ふわふわ白いファーコート着るから)出没してました。こういうの、ミュージカルぽい♪

浦井くんが歌う、I Had a LifeRain/Hold On 切なさ全開、オケもぐいぐい盛り上げて良かったな。また聞きたいなぁ・・・・再演待ってるーーー!!!
モリ―に言い寄ろうとしかけるカールに対して 二回殺された!って歌ってるのも、ひりひりして良かったんですLife Turns On A Dime かな? 写真バーン!ってしたシーンね。

セット
建物の外壁になる4つのパネルが最初は舞台の最前まで来ていて、始まるとタイミング良く音に合わせて開いてセットになります。モリ―とサムの部屋はロフトある作りで、玄関ドアが2階、で下に降りるようになっている。

コンパクトな劇場ですが、動きが出て良かった。お掃除大変なお家だなーと思ったけど、若者がアトリエを手に入れた、かっこいい!な感じが伝わります。

インテリアはグレイメインのモノトーン。趣味がいいっていう主張。

イリュージョン
ゴーストさんたちは、基本グレイの衣装。モリ―とサムの住まいと同じ。グレーのグラデ衣装、なかなか見ものでした。各年代取り揃えたようになってます。
浦井くんだけ、白シャツに黒パンツです。

初見の日は床面が全然見えない位置で観劇して、浦井くんがゴーストになったところをどうやったのか、わかりませんでした。

翌日は良く見えたので、ナルホド!! 見えなかったはずですね・・・
(演技で撃たれたサムがそこに倒れているのを見ている、というフリをしてただけだった。でも自然で良い)

ドア抜けのは、スリット入りの布地が貼ってあるだけだけど、ビリビリーという効果音と光で雰囲気が出ます。

基本、ゴーストっぽい感じは出さず、ドアノブが握れない、憎い相手を殴れない、見えない、で解決。むしろ生きてるように動くことで、ゴーストたちのここに留まりたい思いの強さを感じられる気がしました。

大がかりな装置も使わず、省エネ・イリュージョンがいい。

黒いゴースト、あれが一番気に入りました。地獄行きの死神の使者みたいな人たちが、ウィリーやカールを連れ去る演出。けっこう怖かった。

カールが黒いゴーストに連れ去られるとき、追い詰めて復讐したはずのサムが手を伸ばしてしまうところに、友情の欠片が残っているのが垣間見え。憎いけど、だからって完全に見捨てられないところが。

全身黒の衣装と黒い布地だけなのに、音楽と照明と躍動感で、有無を言わさない力がありました。引きずられていくのが恐怖。
いい子にしてようと思うわ。あんなのに連れ去られたくない・・・

家の階段も、最後にサムが天に召されるときの階段に。照明って偉大だ。現世に別れをつげて想い残したことから自由になって行く瞬間が見えました。

レミで祐一郎さんが天に召されるのも、最高になんと神々しいと思いますが、今回の浦井サムの召され方は明日へ続くサヨウナラで、清々しくもありました。綺麗でしたね。

2018/09/17

『ゴースト』9/9 秋元モリ―は、繊細で奥に秘めた強さ

@サンケイホールブリーゼ(大阪)

サム/浦井健治 モリ―/秋元才加
カール/平間壮一 オダ・メイ/森公美子
松原凛子 松田岳 栗山絵美 ひのあらた
大津裕哉 岡本悠紀 小川善太郎 木南清香
コリ伽路 島田彩 丹宗立峰 千葉直生
土倉有貴 西川大貴 湊陽奈

夏の東京は遠征費も気温も高いので大阪で見てきました。のですが、

9/6の北海道胆振の大地震で停電、断水など混乱。もともと9日の伊丹便を取っていたのですが、前日まで本当に行けるかどうか迷ったし、実際に行けるのかも不明でしたが、沈んだ心は、浦井くんに晴らしてもらいたいー! と大阪へ。

大阪も地震、台風被害が残っていて、どちらもインフラ復旧にあたっていた皆さまに感謝でした。

行って良かったし、行けて良かった!!
ありがとうございました☆

映画「ゴースト ニューヨークの幻」の脚本家と音楽家が、ミュージカル版も制作。

9日のマチネは、秋元才加モリ―で。

秋元さんを拝見するのは初めてだったのかな?と思うのですが、舞台映えする顔だちに、誠実な歌声。

派手目な顔立ちから考えてたものとは違って、繊細でやさしいモリ―なことが、なかなかギャップでした。ふんわりした印象を醸し出すけれど、サムを愛してるっていう芯が全然ブレないところが、ヒロインらしい。

ちなみに、翌日の咲妃みゆモリ―は全く反対で、見かけはふんわりだけど、動きがつくととても凛々しいハンサムガールでした。面白い。

細かなストーリーはすっかり忘れていたものの、とにかくサムがオダ・メイの力を借りてモリ―を助け、愛してるって伝える、というのは周知のこと。しかし分かっている展開でも飽きることなく展開していきました。

モリ―が悲しみに暮れる姿は素直に悲しくなるし、実体がないサムが必死にモリ―を助けたいと苦悩するのも応援したくなるしかない。
オダ・メイはまぁ詐欺師だけどチャーミングで、何だかんだ言ってサムを助けるあたり良い人になっていくので同士。

この三人を応援してると最後までするする見てしまいます。

ぐだぐだに笑わせるような(そういうの好きじゃない)場面もなく、音楽とダンス、セリフ・・・とモリクミさんの存在が笑いの女神だったかな。

もともと泣いちゃう話だけど、地震で非常に心が弱っていたので、より一層「愛!愛してるって言わなきゃ!」な気持ちになり、べろべろに泣けました。泣くのってすごいストレス発散されますよね。今回実感したわ。ものすごくスッキリして札幌に帰ってきましたー。

冒頭のいちゃいちゃシーン、この後死んじゃうし・・・と思うと余計に愛おしき場面。
浦井くんは普通の男子の役が非常に良いなぁ 褒めても褒めても足りないくらいだ。いつまでも見ていたい。

StarSで比較してみると、芳雄くんはオーラを突然消せるけど、冒頭シーンのような場面だと、やっぱりきらめきが復活してしまうんじゃないかと想像。育三郎は、華やかさが隠しきれないので、普通度が低そう。

祐一郎さんなんか、普通の男のはずなのにちょっと笑っただけで、婦女子卒倒って感じだしね(え、そうだよ)

浦井くんは、こういう「普通の人」を「きらめきつつ」演じられる・・・!
スターっぽくなく、でも、きらきらしてて、普通の男性として違和感があまりないと思うの。ここ、すごい強みだと思うんだ。強みだよ!

冷静になれば浦井くんもスター☆のきらめきなんだけど、舞台で見てるときは、この「普通さ」が際立って感じられるんですよね。不思議。
だから、狂気の役でも、普通の人が堕ちる感じが出るのだよね。

いちゃいちゃですが、ハッピー!でニコニコ。

モリ―が「愛してる」というと「Ditto(同じく)」としか答えないサムに怒ったモリ―。まずい、とギターを出してポロローン♪ 
ギターでUNCHAINED MELODY を(わりとシンプルなコードで)弾きながら歌う浦井くん。可愛い・・・ ギター弾きを見たときに100%思うけど、そのギターになりたい。

そんなことじゃダメだよって口ではいうけど、結局とりあえず許してあげちゃう心の広いモリ―だった。

ラストシーンまで、ここを逃したら二人が目を合わせる場面がないので、ラブラブしててOKよー。
浦井くんの大きな手とかするっと背が高い感じとか、私も幸せに浸りながら拝見。もちろん私も I love youだし!

秋元モリ―、歌唱技術で感情を揺さぶるというより(歌声は素直で聴きやすい)演技力で表現。もっとお歌が思うままに表現できる技術がついたら、さらに役も広がりそう。見てみたいです。

中盤、暗い穴に閉じこもったように出口が見えない悲しみに覆われているところは、今ぎりぎりで耐えてる様子が、抱きしめてあげたい感じ。
見かけのきりっとした感じとは逆な繊細な印象の秋元モリ―、サムが居る!と行動を起こす姿に、秘めた強さを見ました。

打ちひしがれ、カールの誘いを拒否して。でも前に進まなくては、と一歩ずつ快復して…と変化していく様子、芯が強い女性だなと思います。

大事な人を失うこと、自分の経験が痛みとしてよみがえりますね。だからモリ―の生きていたくない、という言葉も響くし、それを聞いてるサムの辛さも同時に分かって、観客はダブルで喪失感に襲われます・・・う、ずきずきと痛い。

スキニージーンズと赤いチェックシャツという、私には似合わな過ぎなアイテムを颯爽と着こなしてた秋元さん、やだカワイイわ、と思いつつ、涙を流して最後はサムと向き合ってセツナイけれど笑顔。
そのほかの衣装も赤いニット帽にトレンチコートとか、それ好きなアイテム(でも私トレンチが似合わない~)なので、目も癒された。

そしてカテコの後に、二人のデュエットがあることを知らなかったので、そりゃもう、宝塚みたいだ!ビックリしました。
後日談的にも見えるし、二人の心の中の出来事にも見えました。もう一度、二人で愛をかわす歌でもありましたねー。

幸せなラストを目に残してくれてありがとう。

ところで、観劇中にすごく違うことを思い出してしまうことないですか?

天国への階段に足をかけていくサムと見送ったモリ―たちを見ていて、私としては、これは1周忌くらいにあたる感覚だろうか・・・などと考えてしまいました。

生きてるから当然いつか死ぬのですけれど、突然のお別れだし、犯罪に巻き込まれた被害者でもあり、区切りをつけていくのは難しいことですね。
それでも亡くなったことをどう受け入れるかがテーマのひとつだと思うので、時間が最も悲しみを癒してくれる…と信じて、生きてる人は生きねばならない、などなど。

私が現実で体験した災害のことと、舞台で展開した人の死と別れのお話、いつも以上に近くに感じました。
舞台を見て元気になる私、生きてる、ありがとう。