■もやもや感が残る理由を考えてます。
幕が上がった直後~1幕が終わるまで。おー、面白いよ!と感激してました。祐一郎の衝撃もありつつ・・・進行がさくさくしてるなぁとは思ったけど、
グレイスの乗船が許されて、
船を嵐、イギリス軍から守って海賊たちから信頼されるようになって、
政略結婚(ティアナンがうえぇーんって走って行って)のため、恋人と船の生活を失うが、
尊敬する父ドゥブダラの死と族長にとの遺言、そして荘厳な海の葬送。
ここまでで、1幕です。
女性の半生のうちの導入部ですね、父の死に際の遺言で、族長となるまで。そう、1幕かかってやっと族長になったんですねー。
■2幕のシュルシュル感。
1幕では急ぎつつも、とりあえず抑えておきたいエピソードは入れたぞぅ、という感じだと思います。
ただ、2幕となると入れて欲しいやり取りが抜けてて、ザザっと早送りされた気持ちに。
2幕冒頭には、前奏曲らしきものもほとんどなく、いきなり船上での出産(頼むから股を客席に向けないで・・・欲しかった。横向きとかでも分かるんだし。イヤだったな)。
えーっと思ってたら、
男子出産、
イギリス軍が襲ってきたのを女性だけで撃退(そして夫は弱腰発露)、
離婚してやる!
息子の洗礼式してたら、夫が手引きしたらしいイギリス軍が乱入。
捕らえられたグレイス。
(息子は誰が育ててたのかなー、あ、たぶんシャーマンみたいな人か)
代わりに僕が!と願い出るティアナンのお陰でロンドンから帰郷。
息子と再会したと思ったら、着替えもせずに船を直してロンドンに引き返す。
アイルランドの尊厳を守り、ティアナンも救い出して、
フィナーレ。
書くと長そうだけど、観てるとものすごくダーっと早いです。
乳飲み子と離されて、思い人が人質交換を願い出たお陰でやっと!やっと息子を抱きしめられたのに。
一瞬、息子をハグした直後です。アイルランドは酷い事に・・・と訴える民を見るや、息子をまたシャーマンに渡してロンドンに戻ります。
着替えなしで・・・
そりゃ船を直すにはある程度の日数がかかったのは分かりますが、ずっと舞台上でグレイスは仁王立ちしてるせいで、その日のうちに引き返したみたいだな。
(だけどティアナンのヨレヨレ具合からすると、数年かもしれませんよねー、ますます納得いかない舞台進行だ)
ティアナンが自分の身代わりになってくれたってことに対する気持ちにいたっては、全く表現されず。ええええ???
女王が嫉妬してたっていうのに、純情一途のティアナンへの思い無し~? ティアナン応援中の私としては、とても寂しい。ああ、やっぱりグレイスって完全に独り立ちしてて、ティアナンがたとえいなくても・・・いいみたい。
終盤での見せ場らしき女王との一対一の会見は、涼風&保坂さんのきれいなデュエット「女同士で」ですが、この後もビッグナンバーがない! この曲、きれいですが静かなんですよね。
なので、私としては最後にどどーんと燃える歌が聴きたいなと思いながらティアナンとの再会シーンを見てるのです。
しかしティアナンとも、やはり静かに歌うのでした。がーーん。
おまけに祐一郎はジーザスみたいだし。何で二人して囚人服・・・グレイスは着替えてていいと思うよ。
どかーんと歌い上げんのかー、私の希望は古いミュージカルの型なの? そうなの?
カテコに含まれるアイリッシュダンスでその場では盛り上がったような気にさせられちゃうけど、あら?思い出すと、終盤が大人しかったなと気づくのでした。
で、さらに不満な点。
あのー、女は船に乗れないことで「女の鎖なんか!」って言ってたけど、出産して女にしか分からないことね、って感じたのはいいけど。
「女」とか「男」とかしつこいです。ああ、書いてしまった。
フェミコードOK!教科書みたいな女性の活躍話でここまでしつこいと鼻につきます。苦手だよー、ごめんね。描き方の問題であって、自立して輝く女性は大好きですよ。でもなぁ
エピソードはどれもターニングポイントになる大きな出来事ですが、全体の流れを見てみると、どれも一生懸命で結果的に上下に揺さぶられる波がなくなってしまったのでは。
ほっとしたり、怒ったり、絶望したり、そういう気持ちの変化が私の心の底にまでは届かなかったです。全部5/5の力で見せたら、平坦になったというか。
とりあえず、グレイスが完全無欠なので一緒になって戦うことは出来ませんでした。ティアナンになら寄り添えたけど。
あ、意外とエリザベス女王のほうが孤独感がありありと出てます。エリザベスの孤独はうまく見せられたので、グレイスの気持ちは満タンな感じをもっとしっかり見たかったなー。