2018/10/16

『生きる』10/11昼 小説家もチャーミング!

鹿賀さんのお相手は、新納慎也さん。

市村さんは、小西遼生さんと組みます。交代なしの固定は珍しいですよね。安心して演技できるからかな。

着物姿がかっこいいわー。優男風でした。ビジュアルからだと、小西小説家はもうちょっと男っぽいのかしらと想像。どうだったんでしょう?

新納さんの安心の歌声で物語は始まります。
プログラム見直して気づいたのですけど、役名が「小説家」だけでした。お名前なしだったとは。

渡辺の猪突猛進を後方サポート(写真でゆすり)、渡辺の死後は息子に父の真意を伝える大切な役でした。

告知されないけれど、癌に違いないと確信して大金を下ろして使ってしまえと飲み屋で飲んでも吐いてしまう酒を飲もうとする渡辺、痛々しい。

ヨシ!!と俺が楽しい散財を手伝うと乗り出してからの付き合いになりますが、いい加減なようで情が深い男でした。似合います。
深入りしすぎないようで面倒みがよく、なかなかいい男。

それから、山西惇さん。「相棒」シリーズで暇か?の課長でご存知の方、いい歌声でした! 朗々と歌うんじゃなくて、演技のまま歌になっている・・・ ヤクザとつながったイヤらしい助役の声でソロをばしーっと魅せてくれました。いいですねー。

息子役の市原隼人さん、こちらも演技力。ミュージカル初挑戦とのことでしたが、なかなか良かった。父の背中を見つめる姿が、分かり合いたい気持ちがにじみ出ていて、しかし父は公園の実現にまっしぐら。公園が息子夫婦や孫への贈り物、わかってくれると思っていたんですねー。

息子の妻役と、役所の女性職員が鹿賀/市村さんのときで入れ替えです。何で?
鹿賀さんのときは、息子妻がMay,n、女性職員が唯月ふうかちゃん。

唯一、May,nさんの歌詞だけが聞き取りにくかったのが残念かもー。歌手の方なんですね、セリフじゃなくて「歌」だったので。
洋風の生活をしてる夫婦と和の父との違いも2階と1階で分かりやすく、新しい時代が来るという未来が広がる様子がまぶしい若夫婦の様子です。

ふうかちゃんは可愛い元役所職員で、渡辺課長に元気をくれる役です。途中、付きまとわないで!と怒るのが可愛いのだった。そりゃ気持ち悪いよね、課長に毎晩連れ出されてもさ。
渡辺さんはそういう人とのいい加減の付き合いかたが上手じゃないの。

ほか、アンサンブルさんたち・・・川口さんのヤクザ、笑っていいんだよね。もちろんとてもぴったり似合ってて。
お母ちゃん軍団も元気よく、しかし下品にならずウルサイのがちょうど良く。

2018/10/15

『生きる』10/11昼 鹿賀さまがチャーミング

@赤坂ACTシアター

鹿賀丈史/渡辺勘治 

市原隼人/渡辺光男 新納慎也/小説家
唯月ふうか/小田切とよ May,n/渡辺一枝
山西惇/助役

川口竜也、佐藤誉、重田千穂子、治田敦、松原剛士、上野聖太
高原紳輔、俵和也、原慎一郎、森山大輔、安福毅、飯野めぐみ
あべこ、彩橋みゆ、五十嵐可絵、可知寛子、河合篤子、森加織
森実友紀、高橋勝典、市川喬之

黒澤明の映画「生きる」がミュージカルに。

あのスーっと品のある鹿賀さんが、どうやって冴えない課長役になるんだろうと思っていたら、いやーすごいね、ホントに普通の役所のおじさんに見えました。

奮起してからの人間的に品位向上するあたりは、さすが鹿賀さま! にじみでる品が似合います。

物語は知ってました。
泣かせる方面で浪花節ってことはないだろうとは思いつつ、そこだけは心配でしたが、杞憂!でしたー。

音楽がとても普遍的で軽やかで、必要以上にかなしさを盛り上げてこないのが、とても良かった。とっても。
癌で死を意識した男の右往左往も、哀しくて可笑しいような。

背中を少し丸めて、ステテコ姿のお着替えを拝見する日があるとは。
1幕はほとんど「あ・・・」「ん・・・」とぼそぼそとお話しするだけの渡辺。無口ねー。
ラストに「二度目の誕生日」で自分の人生を生きようと決意。頑張って!

2幕は次々に鹿賀さまは美しく優しく歌声を聞かせてくれました。じいぃーん。
どの曲も奥ゆかしさがあって素敵だったんですが、「青空に祈った」そして最後のゴンドラの歌からの流れが美しかった! 

鹿賀さまと言えば、たまにお疲れかな?と感じるときがあって、心配してましたが、この日は全く心配ご無用。
一生懸命泥臭くごりごりと公園建設のために突き進む、渡辺課長。
真面目な丸い背中とがに股気味の立ち姿に、控えめで激しさは胸の奥に光る渡辺でした。

市村さん版を見ることはできなかったのですが、愛情をどう表現するかが違うようですね。
息子の光男とのかかわりあい方を見ていると、同じ屋根の下で暮らしていても食事も別で、別個の所帯でした。
病気のことを言わなかったのは、心配して病院に入れてしまうから。何もしないまま死んでいくのが嫌で言わなかったのだとセリフにあります。

光男より父のほうがとっくに子離れしていたんですね・・・死期を思うことで、子離れしたのかもしれません。新しい時代を自分の家族と共に生きてくれと背中で語っているかのようでした。

これから生まれる孫だけでなく、地域の子供みんなを思ってブランコに揺られていたのでしょうか。美しいシーンでした。はらはらと降る雪も、冷たく見えなかった。

CD化も決定とのことで、ありがとうホリプロ!!!