2006 宮崎吾朗/監督 115分
夏休みの恐怖映画かと・・・コホ。なんと申しましょうか。恐かったです。一部のシーンが(私はとても恐がり~)
■■ネタバレ■■
☆☆☆★(3.5点)
音楽、声優(特に菅原文太)がよかったです。5点つけたい。
ハイタカのイメージが素敵で!
いままでジブリのなかでは『ラピュタ』のパズーが理想の男(ケホケホ)と思ってましたが、ハイタカがトップに来ましたっ
やたらとかっこよくて色気まであるんですよ。ジブリ作品に色気! 新時代到来か! この色男を主人公にしたまま映画を作って欲しかったよう。
私の読んでいた1巻のハイタカは傲慢でだめなヤツだったのに何時の間にこんな立派に・・・
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恐怖映画かこれは・・・ というジブリでは見かけなかった表情の出し方におもしろさを感じてみました。
アレンが凶暴になると楳図かずお風に。
よりホラーなカオナシ風なのが「クモ」。
映画『スクリーム』か「叫び(byムンク)」か! こわい!
小学生の頃だったら二度と観たくない映画に入れますよ。ラストなんか目が空洞に・・・ ぎゃーっ こわいから!
それと絵の作り方がいかにもなアニメっぽい感じです。最近はよりリアルを追求した絵でしたが、これはもう少し2次元っぽい感じにしてました。でもデジタル作画なんだ・・・ 面白いですね。
あとヤックルが出てきて『もののけ姫』みたいだったり、ある場面ではそのままんま・逆『ラピュタ』だったりで、先行作品と比べられてしまう宿命を感じます。
もし監督2作目があればもっと冒険してみてくださいね。
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物語については、どうももやもやした気分が残っちゃうのが残念でした。
『ゲド戦記』からアイデアをもらった原作とは違うものを作ったと思いたいです。
→あ、公式HPをちゃんとみたらやはりそうみたいです。
しかも宮崎駿作『シュナの旅』原案って・・・ ありー。もうこりゃアースシーだと思わないくらいのほうが良いですね。
でもってアースシーじゃないとしても、けっこう大きな部分について疑問が残ってしまいました。
原作は1、2までは読んでますので「真の名」とかテナーのことは既知ではあるのですけど。
父王殺しについてのいきさつ(アレン自身はなぜだか分からないと言ってたけど、もう少しそのあたりを見せてほしかった)。
アレンと影のこと。1巻でゲドと影の物語を知っているからアレンの苦しみも見えるのですが。知らなかったらテルーとの会話だけで分かったのかどうか心配です。
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人の世界と竜の世界・・・アースシー世界の均衡の乱れと再生、なのか?それともアレンとテナーの物語なのか焦点がゆれます。世界と自分、との関係がいまいち弱かったのではないかと。
くらーいくらーい話なのですが、最後は他人同士があつまった4名が家族のように笑顔で集う場面があります。父王殺しを背負った人には見えないよ。甘いっ あんなに明るく終わらなくてもいいのにー。
映画のターゲットがいまいち分からないというあたりにも迷いを感じます。アレン目線なのかハイタカ目線なのか。二つの目線があって掴みにくいんですよねぇ
だってハイタカとテルーはラブですよ。とても素敵な信頼関係があるのです。子供に渋いオトナの愛情が・・・美しいまま分かってもらえてるのかしら? 私は素敵だと思いましたよー。
アレンの年代なら中高生からでしょうけれど。にしては葛藤場面が少ないのが不満だ。ぶつぶつぶつ。
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もやもや解消したくて原作読みたい気分にさせてしまうのって、映画としては不足があるということでしょう。「ゲド戦記」とタイトルにつけたのなら、もう少し原作寄りにしてもらいたい。
か、いっそ「シュナの旅」とかにしちゃえばいいのに。
お子様風にしなかったのと暗かったのは、けっこういいかもと思いました。夏休みの子供向けにはならないかもですけど。
おすすめしたいとまでは言いにくいけど、夏休みのいくつか見るなかの1本になら入れてよろしいかと~