2017/04/22

『紳士のための愛と殺人の手引き』4/20昼 市村正親エンタテイナ

@日生劇場

いろいろ殺されるダイスクイスの皆さま/市村正親 (8回死に、あとプラスワンで9役ってことでいいのかな)
殺すほうのダイスクイス。モンティ・ナバーロ/ウェンツ瑛士
モンティの恋人・愛人シベラ/シルビア・グラブ
モンティの妻になるフィービー・ダイスクイス/宮澤エマ
ミス・シングル/春風ひとみ

2014年トニー賞(作品賞など)の放送みてから、日本でも上演してほしいなぁと楽しみにしてた作品でした。

母が大富豪の出とわかったものの、けんもほろろに門前払いされ、復讐してダイスクイスを乗っ取ろうとするドタバタ劇なのですが、殺されるダイスクイス家のほとんどを市村正親ひとりで演じるのがミソ。

嫌なおっさんから、浮世離れしたおじさん、大根女優まで、市村さんの楽しそうな姿を堪能できました。・・・カテコでラインダンスの足上げして帰るとこなんか、実年齢を思うとくらくらしてくる元気さで。
しかも、意外とアドリブ少な目なのね? 脚本と音楽がきちんとできてるから、しっかり笑えます。

ほんの少しの悪意をもってあと一押しして死に至らしめるあたりが、血みどろじゃなくお洒落感あり。

ウェンツは私は初めて。だんだん出世してぱりっとしていくのが似合っています。声を張るタイプではないので、たまに音圧の強い市村さんにぐっと押し込まれてしまうのが、唯一の残念ポイントでしたが、やさしい青年がふと殺人者になってしまう浮遊感が似合ってましたね。
Wキャストの柿澤さんだと、もう少し復讐心がメラメラになってそうだ。

しょっぱなに出てくるミス・シングルが、あ、これはこういうタイプの・・・と体現する渾身のズレたおばさん役なのもよかった。すっかり楽しい気分になって、おお次はどうするのかなと見てました。春風さん、ナイス演技でした。

もう一人の柱が、恋人でのちに愛人、お金大好きのシベラ役のシルビア。
ウェンツと並ぶと若干の貫禄ながら、作品を支えてます。お金好きなだけで極悪人ではない憎み切れない女性で、そんな彼女が好きなモンティのことも、ああ憎めないダメな感じ、となる。

結婚するフィービーは、妻にするなら的な世間ずれしてない深窓の令嬢、どちらも離せないモンティ、の詰め切れてないところがチャームポイントかもしれないな。

最後に登場する謎の掃除夫(市村正親)とまたもバトルなのか? と思わせるラストのシメ方も、おや、お洒落。

インクでスケッチしたようなセットや、衣装もお洒落で、欠点ない。

日生よりもクリエで見たい可愛い作品でした。日生でも悪くないんですが、客席ともっと親密感がでたほうがより笑いが起きそうです。