2013/09/23

『next to normal』9/21昼-2 ダイアナ役はタフさが必要

シルビア姐さん、苦しむ母親、女性を好演。
低めのキイで包容力のある声質、好きですね。作品にもあっているし(というか、シルビアの適応力が高いんだろうなぁ きっと)、主婦っぽさがしっくりきてます。
私も20歳で産んだら、ちょうどいいくらいにゲイブがいるのか(驚愕!) そうかー、などと思いつつ見る。

幸せな家族の朝の風景が、少しずつ異様な状態になっていく中心にダイアナがいて、ダイアナが崖っぷちにいるのが良くわかります。すごい導入部でした。いいわー。

ネタバレですが、息子ゲイブは3歳のときに病気で亡くなっているのだけれど、以降もダイアナの目には成長する息子の姿が見えているのです。病名は双極性障害とされていて、躁状態時と、うつ状態の間を行き来してます。
役者にとってはタフな役で、Wキャストでないと厳しそう。

そこから、精神薬理学者との対話のシークエンスまでで、ぐーっと引き込まれました。副作用が出たり、状態が悪化したり、合間にもやもや妄想があったり。
割と笑ってOKの対話シーンだと思うのだけど(後半の深刻さに比べたら、ここで笑っておきたいところ)大人な笑いって難しいよー。シルビア、もっと突っ込んでピンク色の妄想を押しまくってくれてもいいんじゃないかしら。

ここの新納さんは、わりと通常のニーロさんでした。変な人の役ね。

しかし薬って怖いね。何も感じない(感情がない)と言ったダイアナに対して、「安定してる」と応えたドクター。それは違うのに。

怒鳴ったり錯乱したり(ほぼ)しないのに、ダイアナが心をやんでいることが紛れもなく分かるあたりに、彼女の苦しみも見て取れます。

電気治療からもどったが、覚えてない過去を少しずつ取り戻していく家族の姿。
ゲイブのことをどう知らせるのか、思い出さないのならそのままにしておきたい夫の気持ちも分かるが、彼の名前!と問い詰める姿が痛々しい。

この家族は、非常時も品があるのが良かった点だわ。ダイアナも、ダンも、ナタリーも。思いやりがある人物なのが作品全体の品にもなっていますね。

ゲイブ、小西くーん。今ならマリウスしてもいい(かも)
あの日(2007年7月)の小西マリウスの記憶は、もう消しておくよ。もう6年前だもんね。今まで歌と演技に難ありというレッテル貼ってみてたのは、ようやく払拭できた感がありました。ふー。すまぬ。いや、その後のLight in the piazzaでも、演技はわりとダイジョブだったんだっけか。かわいかった。

特段うまい!とか美声だ!ってことはないが、ナイーブそうでどこか傲慢そうなゲイブで良かったです。辛源さんとの対比もしてみたかった。息子、という役はうまくやっていたと思います(偉そうコメント)

でもって、あら背が高くてジーンズが似合うねと認識できた。やっと。

見えているダイアナとしか目線が合わないので、心を強くしないと寂しい役。そこにいるけど、いない。いないけど、いる。舞台の生身の人間が演じるのに、映画だとSFXが必要な設定が、目線ひとつで成立する不思議さ。

成長してる息子の姿を見ているのは問題であると同時に、ダイアナの心を安定させてるアンカーみたいな役割も果たしてくれているので、ゲイブをきちんと死なせることが一番いいのは分かるし、ドクターもその方向で治療しようとするが、思った以上にアンカーが多くて、もはや不在状態でダイアナはきちんと保っていられないようになっていたのでした。

僕を消さないで!と叫ぶゲイブを見ていると、自ら息子を殺さねばならないかのような恐怖が襲ってくる。ダイアナのこの恐怖感が、客席にも伝わって、涙。
子守唄のシーンも、体の一部がもぎ取られるような痛みがあって、つらい。美しい音楽も。

その一方で、ちゃんとここにいるのに、まるで居ないかのように感じている娘・ナタリーの苦しみも描かれるのが見事で。
反発してるけど、ママを病院につれていく優しさがナタリーの可愛らしさだなぁ

ナタリー、村川絵梨。
音程はずすわけじゃないが、メリハリがなくて、彼女の歌詞がいちばん聞き取りにくかった。ふててる役だから、こんな歌い方?と考えてみたが、それにしてももう少し聞き取りやすくお願いします。

歌い方のほかは、すらりとしてて舞台でもよく映えますね。いまどきの子らしさが出てます。

ヘンリー、松下洸平。
ドラマ「カラ兄」での末松役で見て、気になるわーと思っていたので、やっと会えて嬉しい。
やっぱりいい!
言葉に命がある。セリフなのだけど、そのセリフに生命がある。歌もいい。

ぷらーんとしてても、ナタリーのこと好きなんだなぁ いい子だなぁと思える一服の清涼剤。じゃないが、ドラッグ吸ってても、彼は普通の人なんだね、と。

また見たい俳優さんでした。

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