2013/09/04

『二都物語』8/23-25マチネ-5 すみれさんの素敵だったこと

すみれさんって、セリフのときはイントネーションがインターナショナルだったり(でもイヤじゃなかったです、愛嬌というか。二国を行き来する人たちなら納得)するけど、ダーニーが裁判に掛けられて有罪となり連れ去られていくのに向けた言葉、チャールズ!、シドニーに「もう一度すくって欲しい」と懇願する場面、などなどが、

演技してるような感じがなかった。

歌っているときは、いろいろコントロールしているだろうと思えるのに、はっとするくらい本気の声に聞こえて、震えました。全身の使い方が見事だったと思います。大柄なことがとても良く演出上でも利用されています。

いいなと思うのは、こういうときって割と、<金切り声>で夫の名前を叫びがちですよね? 
まぁ叫び声ではあったのだけど、意思を感じる声で叫びます。庇護される弱い女性じゃなくて、夫を守るためにここにいるんだという気迫があったように思いました。引き裂かれる苦しみがそのままに出たような声でありながら、女性らしさと、強さが同居していて、なかなか素敵なルーシー。

純粋で明るくて、そして天然。浦井くんとお似合いよ!(←ちがう)
ダーニーとお似合いねー。

サバサバした性格と、ドレスの着こなしもざっとした足裁きも、私の好み。

そんな彼女の嘆きと、父・ドクター・マネットの苦悩がひりひりと痛い2幕。

キーヨパパはそこかしこにヴァルジャンの面影をちりばめつつ(こちらが勝手に投影してるんだけど)ストッキング越しのふくらはぎに目を移しつつ。
しかし、公平というか、公正な人であることがしっかりと伝わる良い人物像でした。侯爵らを糾弾する場面など、その代償として牢獄に19、いや17年・・・(デジャヴよね?)

テヴレモンド侯爵兄弟の悪事の再現場面からのドクターの苦しみ、それを知るルーシーの気持ち、ますます復讐に燃えるマダム。前方の現在の人々と、過去が二重写しになっているなんて、スムーズな展開でしたねー。

なかなかうまいと思うのは、裁判所では上記のように気丈に頑張っていたルーシーが、帰宅してシドニーに会ったところで、ぐっと弱さを見せるところ。彼を信頼して心を許しているのだと分かります。
それがシドニーにも分かるだけに、葛藤してしまうわけよね。
ダーニーが不幸にも、死んでしまったら?と。

さよならは言わないで
1幕冒頭の、父娘の再会場面の「もう1人じゃない」でも涙腺決壊ですが、この歌もとても涙なくしては聴けぬー。

製作発表のときは、大丈夫かのう・・・と心配していたが、しっかり歌ってくれました(うまい、というのとは違うけれど、心がこもっていて惹かれる)
舞台経験をもっと積んで、音量の配分が思ったまま出来るようになったら、タカラヅカ出身女優さまの牙城であるシシィ役をしてほしいと思いました。あの衣装をぜひ着ていただきたい。似合うわ。きっと美しすぎよ。

このソロでも、ちゃんと演じながら歌っていたのが素晴らしかったなと思います。ここまでルーシー役をしっかり演じられるなんて、想像してなかったので。すみません、すみれさん。アナタ素敵でした。

でもって、それをじっと聞いているシドニーの葛藤がまた胃が痛くなるほど。

0 件のコメント:

コメントを投稿