2014/06/08

『レディ・ベス』5/17-18 1 花ベスさまの麗しいことといったら

うっかり1ヶ月経ちそうですが、5月半ばに見たベスを振り返ってみたいと思います。

やっと花總ベス&石丸アスカムを見て、組み合わせは別としてWキャストの皆さまを拝見できました。

5/17夜公演


5/18昼公演

4月に見たときは、断然加藤ロビンで!とした私でしたが、5月の育三郎ロビンは見違えてた。自分の間合いで歌っていたし、何より男らしさ(ベスへの眼差し、守ってあげたいという気持ち、そして尊重する気持ち)がはっきり見えるようになってました。

こうなると、誰でもOKの配役・・・あとはお好み次第ってところですね。
さすが世界初演は気合入ったキャスティグだったなぁ



花總ベス(花ベスさま)は、登場の場面からきっとこの方はいずれ王になる、と思わせる器量があります。宝塚で培われた優雅のきわみが存分に発揮され、見目麗しい王女さま。
とはいえ、幼い弟や姉がいる時代(1幕前半くらい)までは、まだ王となるのは口だけで実感がこもってないご様子。と、いうあたりの表現が素晴らしく演じ分けれてまして、文句のつけようもありませぬ。

ロビンと楽しくまだまだ!私とくべつなの!と言い合うシーン。超かわいい!かわいいんですけど!
パブでの冒険シーンも、やだ可愛い!しか頭に浮かばないくらいの可愛さで。

王女としての気概と、恋する乙女の揺れる心が花ベスのなかで両極へひっぱっていく様も、ひしひしと伝わってきたし。
わりと、4月の平野ベスの場合、政治の世界から逃げたくて恋に傾いたようにも思えたのですが(でも平野さんとしてはそういうつもりの演技ではなかったと思うけれど)、花ベスはこの二つの気持ちはどちらも同じ価値があるまま、葛藤してたんです。
見事!
このどちらも大事にしていると見せた上で、自分に課せられた責務を果たす決断をするのが、肝ですものね。泣いちゃったわ・・・

翻訳の問題なのか、御姉さまにオホホーとメタメタに傷つけられた後の、母アン・ブーリンへの呪いの言葉。インバイ?って言ってたよね、
王女さまの口から出るとインパクト大でした。平野ベスだと、いきがってる感じで衝撃少な目ではあったんですが、花ベスさまの麗しい口から出ると、ぎょっとした。

ははうえさま・・・ 磐石の安定感でエコーもばっちりで歌いだす美桜さん。どの回も全く素晴らしかったのですが、たまに感情がぐっと迫ってくる回がありました(どの回か失念) ベスとの兼ね合いだったのかもしれないけれど。

4月は、アン・ブーリンの亡霊のような感じで見てたんですね。ベスとは関係なく存在してるみたいに。
で、5月は<ベスの心が見ているアン・ブーリンの幻>なんだなぁというのが、すんなり入ってきました。
親の気持ちになって自分を見つめるってことなんだろうと。オトナになるステップなのね。
処刑人の恐ろしさも益々。ベスの目を通して処刑人を見てると、ひいいっとなりました。

メアリ女王逝去、新女王への使者から指輪を受けて、イモーテルの花を差し出すときの、その態度の完璧さも素晴らしかった。ほんの少し前は、恋なんてしない~♪と可愛くせつなく歌っていた二人が、決定的に身分の違う二人に別れ、目に見えない壁が立ちはだかっていくのが、せつな過ぎる。

差し出す手の所作は、紛れもなく女王のもので、けれど花に込めた思いは純真な乙女心というね。
泣くでしょ・・・・うわぁん
これまた、きりりとベスの決断を受け入れようとしている両ロビンともに、男泣きーっ

ふんがー。
分かっている周囲の方たちもただ見守るっていうさ。この二人は信頼されてるよねって感じたわ。

さらに、花を渡してすっと背中を向けて女王としての一歩を踏み出す後ろ姿の神々しさとか。老けるんじゃなくて、その立場にある者の存在感があって、スゴイスゴイしか言えない私。

平野さんには、平野さんの可愛らしさや可憐さ、一生懸命さに胸打たれるけれど、物語として表現したいベス像は、花總ベスのこの表現だったのだろうと思わせられます。どちらも好きですが。

可憐で気丈で、素直さと慎重さもある王女さま。名君になる、と目を細め見つめるアスカム先生の仰るとおりの、大器を思わせる花總ベスさまでした。

この人を好きになったことを誇りに思うね byロビン、的に陳腐な言葉が脳裏に浮かぶくらい、見事なベスでした。

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