2007/08/30

『レ・ミゼラブル』千秋楽2 身を切られるような独白

生まれ変わるのだ!



昨日も書いたけど、まだ書く。1幕最初のビッグナンバー「バルジャンの独白



思い出すときゅうっと胸が締め付けられるような気持ちになります。
宿屋で断られる場面が復活したことで、バルジャンが社会からはじかれ、犬以下だ・・・というくらい自尊心を失っているのがより分かるようになったのも大きいかも。司教様の愛に気づかず、泥棒犬になっちゃったことへの後悔(うーん、後悔以上のいたたまれなさですよね)に激しくおののくバルジャン。



最初、祐バルが燭台を入れてくれた汚い鞄を持っていたくないって感じで、ぼんっと床に手放したのを見て、大事なものが入ってるのに落としちゃうのかなぁって思ったんです。
でも、今回前楽・千秋楽と見て、それは浅はかな受け取り方かもと思い直しました。



そう、あまりの恥ずかしさに原因となった燭台、手からとって入れてくれた大きな慈愛に対面できなかったんですね。うんうん、そうだ。
その後の心の中が落ちつくに従って(歌が進むにつれ)燭台は大事に扱ってますし。



膝をついて、「また、あの地獄へ!」と美声をすてて叫ぶ祐バルのm身を切るような声といったら!あなた!牢獄19年がいかに悲惨なものかと恐ろしくなります。泣いていいよ、とか言ってあげたいくらいです。美声をすててと書いてなんですが、人間の命の声って感じなのであって、汚い声じゃないのよう。



で、続く「おくりかえさーずに」はものすごく美声なんですよねー♪ そしてすぐに「自由を、くれたのだ!」は、また魂の叫び。
セリフ調から美声へ。ものすごいギャップでドキドキしちゃう。たぶん、セリフっぽく、美声、どちらかだけは他の方も可能なんですが、こんなに短い言葉で歌い方を変えるのって難しいんじゃないかと・・・
同じ調子のほうが違和感は少ないと思うものの、転換の素晴らしさによろめいてしまうのでした。だはは。



生まれ変わるのが・・・・・・・・・・・・(長い空白)・・・・神の・・・・御心か・・・・!
ふふふ、しばし逡巡しているかのような静寂がたまりません。さすが生オケ。ソロは特にオケ(指揮の塩田さん)との共同作業ですものねー。絶妙のタイミングでジャーン、と音が入ると身震いしますよ!



先も見えない闇を這い出そう
光を求めて別れを告げよう
罪が渦巻くジャンバルジャンの世界と・・・ジャンバルジャンは死んで生まれ変わるのだ!



よろよろっと立ち上がり、深い闇を見つめ、その渦に中に自ら飛び込んでいくバルジャン。司教様が光があることを教えてくれたの。祐一郎は、両手のひらを地面に向けてゆらゆら、と。闇に引き込まれないように牽制してるみたい。
ジャンバルジャンは死んで・・・からは、もう両手はぶんぶん風を起こしてるのか!というような上下にぶわんぶわんと動きます。ふいご?って感じです。



ああ、黄色い紙切れを思い切って破りました。オケの音も一緒にだん、だん、だーん、と響きます。何より、祐バルの全身からでる声に劇場中が包まれ、圧倒され、私の耳もびーんと痺れた・・・



0 件のコメント:

コメントを投稿