遠い昔に観劇したとき(中学生くらいか?)は、特に宗教への関心もなく、歴史の知識もなく、ミュージカルだ☆と思って見に行き、群集のうごめく演出、ムチ打ち、磔ですっかり恐怖の作品になってしまってました。ヘロデ王の記憶なんか、1ミリも残ってません・・・もったいない!
ジーザス・クライスト/柳瀬大輔 イスカリオテのユダ/田中彰孝
マグダラのマリア/高木美果
カヤパ/飯田洋輔 アンナス/阿川建一郎
司祭/佐藤圭一 田辺容 川原信弘
シモン/本城裕二 ペテロ/賀山祐介 ピラト/田島亨祐
ヘロデ王/下村尊則
やっぱり、やっぱり恐怖を感じます。群集心理の恐ろしさに震えます。嘘のムチの傷、嘘の血と分かってても、痛くてツライ!
あのエレキギターの畳みかけるメロディ、ズンズンズン(氷川きよしじゃなくて)に踊らされるように、茶色くて貧しい人間たちが体を震わせて髪を振りながら、ジーザス!とたくさんの手を差し出すところなどは、もうアンサンブルのみなさんがトリップしてるようで泣きそうなくらいコワイです。
(あ・・・でも、こんなに怖がってる観客はそんなに居ないのかもしれません。私、痛いのとか暴力に弱いので、そのあたり含んで読んでくださいー)
ジーザス役の方って、この自分めがけてくるまっすぐな欲望を毎回受け止めなくちゃいけないんですね・・・ 気力が必要だ。
見てください♪ここにいます♪ のとこなんか、
きゃーっ、こ、これって某マイラブに群がる私たちの姿そのものだわ!
と己を恥じ入りました。
いや、でも「お金ください」とか「歩けません」とかは言わないけど。見てください、とは念じてるものねぇ 反省しちゃう。
自分で治せーって、すっごくただの人発言で、気の毒でしょうがないよー。
宗教的な目線が私にないせいで、余計にただ気の毒。マグダラのマリアの気持ちに近いかも。何とかしてあげたいけど、世の中に大きな流れが出来ていくのをじっと耐えて見ている感じでした。
■柳瀬さんは確かにジーザス
初、柳瀬さん。初めての柳瀬さんがジーザスっていい出会いかな。
太くてしっかりした男らしい声の方なんですね。そしてファルセットも素晴らしかったです。
丘の向こうから長髪と服の裾をなびかせて登場したときは、思わず足にすがりたくなりましたっ 威圧してないのに、張り詰めた感じのせいか・・・この方には何かがある!、と感じさせるたたずまいです。
じーっと、ひとり内面の思いを飲み込んで人々を見つめてる目、ジーザスはシアワセそうじゃないのね。自信がありそうでも、なさそうでもない不思議な表情で、静かに静かに弟子たちに語りかける姿に、頭がさがるような気持ちになります。
ゲッセマネ。 ツライ曲です。
(いままでの私のゲッセマネは『35steps』収録の山口祐一郎ver. しかもライブのじゃないから、キレイに歌ってるんですよ・・・ね? 物語の中で、どうやって歌うのか楽しみでした)
前半は、命をなげだすことへの抵抗、そして徐々にその壁を乗り越えてしまったような叫び。あなたが見たい!って、悲しい言葉として聴きました。彼も、迷っているんですね。
ムチ打たれ肉が裂けて(あ、群集が近づくと傷が増えるんだ・・・と泣きながらチェック)、兵士が乾いた音をたてて十字架に打ち付けるところは、顔が引きつりっぱなしでした。見たくないけど、見届けねば、という使命感で何とか目を開いてたけど、痛いよー。
熱いカテコに応えている柳瀬さんが笑顔なので救われましたね。だって、冒頭から眉間にシワよせて、最後は残酷な刑を受けてますから~ やっと、笑顔に会えたぁ
あ、高木マリアの手を優しく取ってはけていく姿にも、うっとり。うーん、素敵。
■祈りのマリア
高木さんは、オペラ座のクリスティーヌ役で拝見してましたが、こちらの役のほうが私の好みでした。高く静かに、優しくて強い。意志のある愛の歌って感じ。きれいな声の方ですけど、クリスの時はしっかりしすぎに聞こえちゃうのかもしれません。
私もこんな子守唄でも歌ってもらいたい。膝枕っぽくマリアの膝に頭をのせてるジーザス、お互いに支えあってるみたいで、何だか素敵でした。
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