『寝ずの番』@銀座シネ・スイッチ
2006 マキノ雅彦/監督 中島らも/原作 大森寿美男
中井貴一 木村佳乃 木下ほうか 田中章 土屋久美子 真由子 石田太郎 蛭子能収
桂三枝 笑福亭鶴瓶 浅岡ルリ子 米倉涼子 中村勘三郎 高岡早紀
堺正章 笹野高史 岸部一徳 長門裕之 富司純子
☆☆☆☆
ネタバレあり。
↓前売りのオマケのてぬぐい。
声に出せませんの艶歌が書いてあります。劇中でも歌われました。
年齢層の高い会場内、またまた満席。最前列で見たのでちょっと疲れた。
祖父マキノ省三、叔父にマキノ雅弘をもつ津川雅彦が「マキノ」姓を襲名しての初監督作品です。
語り手は橋太(中井貴一)。彼の周囲で続いた3つの「寝ずの番」が描かれていきます。
■予告編で見ただけでも爆笑の「そ〇が見たい・・・」
師匠(長門裕之)の最後の願いを叶えるため、弟子(中井貴一)の奥さん(木村佳乃)がベッドで息も絶え絶えの師匠の顔の上に仁王立ち、エイヤっとスカートをまくる場面。
師匠思いなんだか、バカなんだか。だが師匠の本当の願いは・・・
「外が見たい」
この3分後に死去。
どうやらこの願いは叶えられなかったのね?
最後の思い出は弟子の奥さんの「そ〇」。師匠、素敵よ!
奥さんを呼びにいく中井貴一も、ヨシと決意する木村佳乃も、一生懸命で可愛いんです。
「そ〇」じゃなく「外」と分かった時の反応が最高! いいタイミングでポカっと行ってますね、木村佳乃。
■タイトルにある「寝ずの番」において、弟子たちが師匠の思い出を語っていきます。
「おちゃこ事件」「マリファナ事件」「トイレ事件」などなど。
どれもワハハと笑える話でしたけど、私はその気のマリファナ事件が一番好きでした。中学生みたい~
酒もまわった頃、息子でもあり弟子でもある岸部一徳が師匠=父親への思いをぶつけ、ある行動に。
そう、それが予告にもある「死人のカンカン踊り」
これはもう見てくださいの楽しい場面。
落語の「らくだ」に出てくるカンカンノウを、実地で体験すれば芸に奥行きが、などと言って酔っ払い弟子たちが師匠を担いで踊り始めます。
いやー、不謹慎だと思うと余計に可笑しい! しかも!
師匠、死んでるのに一人で立ってるし!
足がいつのかにか みずから動いてるし!
目が白目剥いちゃってるんですけど!
■師匠の言葉を勘違いした笹野高史、最初から最後まで味わい深くてたまりません。
かなりヘンです・・・
彼の死に方は素敵。死んだのは豆腐屋の角でだよ!
それに、高岡早紀を久々に見たと思ったら、とってもお色気御姉さんで登場。いいなぁ
■最後はおかみさんである志津子さん(富司純子)。
ツンツン♪と三味線を鳴らし、着物を着た富司純子、きれいですよー。恐ろしい色気です。さすが寺島しのぶのママは違います。
そこで出てくるのが、芸者だった志津子さんを師匠と取り合ったという元鉄工所社長、堺正章。ふーん。
そこまでの場面にはあまり「役者」オーラを出している役者さんがいなかったのに、堺正章が出ると急に演じてるって感じてしまうのは、どうしてだろか。
偏見なんだと思うけど、器用貧乏だなと思っちゃうんですよねぇ
岸部一徳らのまったり演技のほうが好きでした。中井貴一もかなりボケた人物になってて良かったし。
でも三味線での艶歌合戦は見モノで、色々あるもんだなぁと感心。
シモネタ合戦! こういうのを楽しく笑えるのって、けっこうオトナじゃないと。
■木下ほうかさんって、一瞬ボクサーかと思ってましたが(金髪だったからだな・・・徳山っぽいと思ったの)。役者さんでした。
やる気があるのかないのか掴み難い人で、面白かったな。
■
凝った芸術作品とかになっちゃうの?と思いきや、オトナが楽しく泣いて笑って劇場から出て来れる、日本の作品でした。
落語家ってことで、日本のお通夜の風景が分かるし、元芸者のおかみさんの三味線も自然に入って来てて、
いやー日本っていいですね。
死んだのは悲しいけど、思い出がちゃんとあって偲んでもらえるのっていいですよね。そうやって見送られたいものです・・・
こうなると、やはり。上方落語、聞きたいなぁ
0 件のコメント:
コメントを投稿