2006/02/03

『クラウディアからの手紙』

1/25 19:00@世田谷パブリックシアター



公式制作日記はこちら



佐々木蔵之介を見よう、ってことで深く考えずにチケットを取ったのですが、とっても胸に染みる舞台でした。



 □ 蜂谷弥三郎:佐々木蔵之介 久子:高橋惠子 クラウディア:斉藤由貴 ほか



実話でなければ、大袈裟な話だと言いたくなりそうなストーリー。50年もの間、異国の地に捕らわれたままだった人がいたということが、驚きです。



ソ連に捕まって収容所へ送られた夫を残して赤ちゃんと帰国し、育てた妻。



収容所を出たあとも、なおスパイ容疑を掛けられながら、無実だといいつづけた弥三郎を信じて守りぬいたロシア人の妻クラウディア。



休憩を挟む2幕構成。



1幕



もともとガスの後遺症で、体が丈夫でなかった弥三郎は、入隊するものの返されます。そして入院先で看護婦をしていた久子と出会うことに。



父の事業の失敗もあり、朝鮮(平壌)に新天地を求めて移住することにした父のため、久子と結婚し、二人も朝鮮へ。



太平洋戦争の終結とともに、ソ連軍が朝鮮へ。スパイ容疑で捕まり、あやしい裁判にかけられ、シベリア送りに~



前半の久子さんとの素敵な出会いのあとは、ひたすらどんどん肉体的に悲惨な目に遭いつづける弥三郎さんです。



四季の『異国の丘』の寒そうじゃない収容所に比べて、非常に、本当に!寒そう。みんなガタガタ震えてるし、こちらも心身ともに凍えてきました。



歩けなくなり、離れにあるトイレまでたどり着けずに・・・ あぁぁ 人間として、最低限の尊厳すらここにはないのです。



ソ連兵ですら、飢えている。こんなシベリアの収容所には彼らも居たくないようなところで、リンチされたり、飢えてたり、いっそ死にたいと思っても、弥三郎さんはぎりぎりのところで、行きようと気力を振り絞ります。



特殊技能のある囚人は、料理長からオコボレをもらったり、兵から痛めつけられない・・・足の悪い弥三郎は、理容師の技術を得て、収容所で生き延びることが出来たのでした。



2幕



さらに厳しい収容所へ送られるが、ここでも理容師としての腕を買われ、署長に目を掛けてもらうことに。10年の刑が7年になって、出所。



しかしなぜか容疑は残っている、からといって日本への帰国は許されません。生きていくため、ついにソ連の国籍を取得(国籍があれば国内移動ができるから)。そして同じような境遇のクラウディアと支えあい、つつましい生活を送る日々。



さらに月日は流れ、1991年のソ連崩壊を迎えます。





弥三郎さんが日本に帰りたがっている(言わないけど)と分かっているクラウディアは、信頼できる細い細いツテを辿って日本政府と連絡を取り、夫の帰国のため力を尽くすのでした。



クラウディアの手紙の一節、
他人の不幸の上に自分の幸せを築くことは、私にはできません



ものすごく端折ってもこんな感じ。これを本当に自分の人生に降りかかったと、想像しても全然現実味が沸きません。国の思惑やらなにやらで、ここまでひどい目に遭う人もいるんだ・・・と恐怖でもあったりしますね。



ラストは、平成になってようやく帰国を果たした時の、実際の映像を舞台奥に大きく写し、それを演じている弥三郎と久子さんも寄りそって観るというもの。



実際の映像を使うのは賛否あるでしょうけど、このお芝居では、私は嫌ではなかったです。



盛大な拍手を送るという気分でもなく、胸がいっぱいで。静かな拍手が響きました。



さて、主演の佐々木蔵之介



テレビでは軽い感じとか、良く分からない人とか、そんなのが多いですけど、シリアスな話を淡々と演じてました。真っ当な普通の人間が、普通にしているだけで罪に問われた恐ろしい状況を、余計に引き立てたと思います。



で、背もひょろっと高いし、何より落ち着いてて、カツゼツの非常に良い、低い声が良かった!



舞台向きの人ですね~ また何かで観たいなと思います。



高橋惠子さんは、美しいです。3階からもなにやら女優の光が見えました。



戦後になってからのあたりでは、着物姿なんですが、とーっても色っぽい。女手一つで子供を育て守った女性にしては、かなりの色香が・・・ 



斉藤由貴さんは。私の時代のアイドルだったので・・・由貴ちゃん? どうなんだいと思っていたら、これがけっこうじーんと来るのでした。



カツゼツは悪いです。でも、一生懸命なクラウディアと重なって、素朴な人柄の一部として見ました。



ずうっと笑いのカケラもない進行で、もうこのまま悲惨な気分のままラストまで行くのかと思ってたら、彼女のところはちょっとほっとする演出になっています。



メエメエ~





1幕で朝鮮人の抗日運動をあらわすところで、6畳分はありそうな大きな布(日本人は帰れ、とか漢字で書いてある)がバン!と落ちてくるんですが、丸まったままで開きませんでした。こういう演出かと思ってたけど・・・



シーンが転回する時に、どなたかがジャンプして布を解いて落ちてきました~ ブログ見てたら、この前の日も落ちなかったようです。



世田谷パブリックシアター



世田谷区はお金持ち~? 床や椅子にいい木を使ってます。帰るときに1階最後列から舞台を見てみたところ、とっても観やすいと分かりました。次の機会には1階で見ます。



前後もあるし、互い違いだし。3階構造で、2階までは問題ないですね。ただし、私の居た3階は、舞台は観えるけど椅子が高い。足台が椅子とくっついて降りてくるんですが、ここに足をのせるとかなり窮屈です。チビッコの私でさえ!



席は2階までがオススメですよ~





2 件のコメント:

  1. こっちの新聞で由貴さんが連載エッセイ持ってるのですけど、台詞覚えなきゃーって書いてあったお芝居が、今回のだったのね、と思いました。 ここでコメントするのもなんですが、今朝めざましテレビでクドカン版マクベスの制作発表見ました。うっちー だったよ!うっちー。松さんとの共演なのね?

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  2. セルゲイ2006/02/04 14:00

    ��原さん
    カミカミでしたけど、感情豊かな演技で私はよかったなぁと思いました。かわいかったの。
    めざましTVのは私も観ました。ほとんど松たか子だったけど・・・ ベガーズで生やしてたヒゲを、すっかり剃ってすっきりしてました。
    チケット争奪戦はさらに過熱だ~

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