2006/02/09

『屋根の上のヴァイオリン弾き』1

2/7 18:00@日生劇場 2階A列(下手端)



テヴィエ役者がどれだけ愛すべきお父さん像を見せてくれるか、によりますね。



このミュージカルは、てっきり明るいホームドラマだと思って今まで生きてました。ごめんなさい。明るいのには訳があったんですね。



貧乏ながら静かにアナテフカというロシアの田舎でユダヤのコミュニティを築いている、テヴィエ一家の物語です。長女、次女、三女の結婚(恋愛)にからんで話は進み、そして流浪の民、ユダヤ人の悲劇も織り込まれていきます。



ま、あらすじとかは、公式HPを見ていただくことにして。



自宅に帰ったときは、喜劇と思ったら悲劇的なラストに衝撃を受けすぎたらしく、再見したいかな?と思ってたんですが。時間を置くと、また見たいような気になってきました。哀しいのに・・・ それは。



市村テヴィエ。いい~!



東京の初日がテヴィエ役100回目だったそうですね。おめでとうございます! 



楽天家で心優しく、時に愚痴りつつも信心深い。
「しきたり~!」が大事なんだ~♪ とユダヤ人としての誇りを持ち、一見、恐妻家でちょっと情けないところがある。でも一家の大黒柱なんだっていうのは、伝わってきます。



奥さんのゴールデがガミガミ言ってても、一家のことを決めるのはパパ。辛い目にあったとき、家族を導いて守ってくれるのもパパ。



ガニ股歩きに、もじゃヒゲ、濃い眉毛(繋がりそう・・・)、赤いほっぺ。愛すべきパパです。



10年前なら娘たちに自分を重ねたでしょうけど、最近はもう、パパママ目線。娘たちを嫁がせる気分にリンクしちゃって、泣かせられました。
号泣じゃないんですよ~ 喉の奥がきゅうっとなるような気分です。



何だかんだといっても、娘たちの選択を応援してあげたいって思う気持ちに心打たれます。



1幕



名曲揃いで、どれも素敵でした。



オープニングの tradition♪ しきたりの歌♪ アナテフカ村のユダヤ人たちの価値観を見せてくれます。一家のことを決めるのはパパ~ 家庭を守るのはママ~♪



matchmaker♪は長女、次女、三女がお掃除しながら、素敵な人と結婚したいなの歌。現実は仲人の紹介から、親の決めた人と結婚するのがユダヤのしきたり。



歌に関しては、ちょっとねぇ という姉妹でした。熱唱型ではなかったです。こういうのもかわいいですけど。うーん物足りないなぁ



if I were a rich man♪ けっこう長い歌を、時に神様に向かって、テヴィエ一人が舞台で歌います。これをやれる市村さん、ほんと素敵でした。



で、「神様への目線」が私の座ってた位置のやや上あたりだったらしく、市村さんがこっち見てる!でした。もうちょっと暮らしが楽になれば・・・ねぇ?と問い掛ける(明るい)んで、すまんなテヴィエ~と返事したい気分になります。



sabbath prayer♪ 安息日のお祈り。服も着替えて、ろうそくを灯し、静かに祈ります。きれいで厳粛な歌。



to life♪ 自分より年上の肉屋から長女を妻にくれと言われ、イヤなやつだけど金がある、長女は飢えずにすむ、そのほうが幸せだ、と結婚を承知する場面。
男ばっかりの酒場で居合わせたロシア人はコサック風のダンスで一緒に祝いの酒盛り。



肉屋のラザールの注ぐ酒がちょこっとで、ケ~チ!と呟くテヴィエ。そんなケチなやつにツァイテルを嫁がせちゃだめ!と会場中で念を飛ばしてたはず。



Tevye's dream♪ 
ツァイテルと貧乏なモーテルが結婚したいというのを聞いて、娘の幸せを願わない親がどこに? と肉屋との約束はナシにしようと言ったものの・・・ お金のあるラザールとの結婚にウキウキの妻ゴーデルにどう説明しよう? ぶるぶる。



思いついたのは、夢に死んだラザールの妻フルマ・セーラが出て恨みを言い、ゴールデの母が出て来て、「結婚相手はモーテル!」と告げた、とウソを言うこと。



新演出とのことで、フルマ・セーラの夢場面も新しいそうです。(たぶん)肩車されてて、背はとっても高く、そこへ真っ赤な長いドレスを着て、手は魔女のようなながーーーい指。



ぎゃーっ こわいんですけど!



2階でよかった・・・とちょっと思いつつ、真下からあの亡霊を見てみたいような・・・ 見モノです!



そして、sunrise,sunset♪ から wedding celebration and the bottle dance♪
じわーん。涙。
日暮れの結婚式。ユダヤ式の誓いの杯を割る場面もありました。



ほかにもユダヤ式の習慣がいろんなところに出てきますが、男女が一緒にダンスしないんですね(だけど聖書には書いてないね、とラビがいうのも面白い)。



これを、革新的な思想に燃える吉野パーチックが仕切りをひょいっと越えて、一同びっくり。誰も一緒に踊ろうとしないが、次女ホーデルは手をとり踊り始め・・・ さらにテヴィエもゴールデと踊り、賑やかになっていくのが楽しい。



ボトルダンス、帽子の上にワイン瓶を乗っけてダンスするんですけど、ただ乗っけてるんですか? やはり仕掛けくらいあるの? 一芸披露って感じでコレも楽しいです。



吉野バーチック。吉野さんは革命に燃える運命なのか・・・ いやいや。



チラシのもじゃヒゲがなくて、すっきりしてて素敵でした。押し付けがましさもないし、新しい世界を求めている青年をさわやかに、です。



さて1幕は、ロシア人警官たちが結婚式で暴れ、ぶち壊してしまったところで終り。



このささやかな結婚式すらきちんと終えることが出来ないの? 
がーん。悲劇の足音が・・・ 悪い予感だよう。



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