2010/09/19

『イリアス』-1 口承文学ということ

9/4夜公演@ル・テアトル銀座



内野聖陽(アキレウス) チョウ・ソンハ(パトロクロス)
木場勝己(アガメムノン) 高橋和也(オデュッセウス)



池内博之(ヘクトル)  馬渕英俚可(アンドロマケ) 
平幹二朗(プリアモス) 新妻聖子(カサンドラ) 



コロス:初嶺麿代 中川菜緒子 一倉千夏 飯野めぐみ 宇野まり絵



■文語調の言葉と、キャラクタ自身の言葉が混じりあう。



文語調のセリフは、物語を進行させる「コロス」たちのところと、闘いの場面で多く効果的に使われました。



また、アンドロマケなどは「わたしは○○と思いました」と自分を客観的な言葉で語る場面もあって、「語り」を視覚化している不思議な感じ。



コロスの文語というのは、たとえばー
小説の戦闘場面の文をコロスが担当し、闘っているキャラクタたちはそれに沿った殺陣を繰り広げます。



2幕冒頭の、アキレウスの怒り爆発の場面では(畳み掛けるようで面白かった)



「頭蓋骨が真っ二つ!」ジャン!(ドラの音)
「アキレウスの剣 ヘクトルに襲い掛かる!」ジャン!
「ヘクトルの剣 アキレウスに襲い掛かる!」ジャン!
(※セリフは記憶による。正確じゃないかも) 



女性たちが声を揃えて大音声、舞台ではアキレウス、ヘクトルが剣を交えます。
個別のキャラクタでななく、物語を語る声・・・つまり、天の声ですね。この声は、兵士の苦しみも、女神の声も、表現します。人間の声の力とか、リズムの生む呪術っぽさというのが感じられます。



視覚の面では、客席に向かわない立ち居地が新鮮でした。
二名が闘っている場面で、片方が背中を客席に向け、舞台奥に敵がいる設定。そして追われているほうが奥から客席側へ出てくる・・・



客席からみた正面と、キャストが見る正面とするところがズレていくのって、映像的だと感じました。
基本、文語調で語るので、俳優たちが真正面ばかり向きそうだなと思い込みしてしまうときに、背中を向けられたので、視覚的にインパクト大。そしてシルエットが美しかった!光と影よ!



小さな劇場のなかなのに、乾いて太陽が照りつける大地を幻視しましたね。舞台の奥に目線を向けると、無限のかなたも表現できてしまいそうだったの。





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