ISBN: 978-4101290515 2003.12発行
☆☆☆☆
日本ファンダジーノベル大賞受賞作にして、登美彦氏のデビュー作。
まなみ号、男汁、ええじゃないか・・・筆が進んだらしきところ(語り口がのってるとこ)と、とても内省的なところがいい具合だった。
森見登美彦のこの線の語りは好き、楽しみました。根詰めてツメツメになっていない勢いが残っていて、良いよい。
「我々の日常の九〇パーセントは、頭の中で起こっている」。名言。その90%を文字にするとこうなるの。
水尾さん研究と称したストーカー(本人は否定)のような行為が物語の主かと思ったらちががった。異性と交際すること、クリスマスを恋人と過ごすこと、素敵な誰かを好きだったこと、共有できたかもしれないこと、決っして共有できなかったこと、そうして過ぎた日のこと、を何度も何度も思い返して自分を納得させている話なんだと思う。
失恋してしょげて、でもまだほんわか好きで、まだそんな自分をどう落ち着かせたらいいのか分からないみたい。
水尾さんをめぐって、常に<私>をぐるぐるとまわる。四畳半を男汁でいっぱいにしながらも、自分を肯定する姿勢がすがすがしくもあり。ほとんど自分と重なりそうで、懐かしくもあり。
まだまだ先だろうけれども、きっと誰かと深く見つめ合うような物語も書いてくれると期待してます。
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