『ベガーズ・オペラ』 海保眞夫訳 法政大学出版局
THE BEGGAR'S OPERA by JOHN GAY 1728
衣装スケッチ掲載(キャストコメント見てね)で、さらにドキドキしてきた世界初演ミュージカル「ベガーズ・オペラ」の原作。※ブレヒトの『三文オペラ(1928)』は、この『ベガーズ・オペラ』をもとにして書かれたものです。
ストーリーもちょっと書いてます。舞台を楽しみにしてる方はお気をつけください。
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えぇぇ、良かった、ゲイ版読めて。はじめ、ミュージカルの原作が「三文オペラ」と思って読んだのですが、登場人物とか設定はまぁあまりかわらないのに、印象が全然違う・・・ この2作品は、違うものとしてみた方がいいですね。
戯曲なので、ト書き風のところもありました。あと、六十九歌まで、短めの歌が挿入されてます。ファララ♪ ミュージカル化ではどんな風になるのかしら~ ファララ♪
タイトルの“ベガーのオペラ”という点は、舞台に作者ベガーが登場します。幕が開く前に、ベガーがでていくつかの注意事項や演目の説明をしてから開演を告げる。で、最後もベガーで幕を閉じる。劇中劇の一種? テキストでは、上演中には登場しないけど、ミュージカル版ではもしや登場するのかな・・・? ここの演出、注目しとこ。
えーと、「三文」のラストもびっくり仰天の大団円だったけど、こちらはブラックながらもいつの間に?もエンディング。どちらも大盛り上がり!の直後に、・・・・・・え?なのでした。唐突なんですヨ。
さて「三文」ではポリーやピーチャム一家と、マクヒースとその一味が主人公っぽかったです。でも、「ベガーズ」では、ポリー対ルーシー、がマクヒースを挟んで思いっきり対立関係になってます。かわりにマクヒースの配下たちは活躍しません。
そしてポリーの父ピーチャムとルーシーの父ロキットは、マクヒースをそれぞれの思惑で死刑台に送り込んで利用しようとするのでした。告発料は山分けだぜ!
追いはぎの元締めで、盗品を転売するピーチャム。なのに、追いはぎを法廷に告発する仕事もしている、一挙両得? すごい二枚舌な商売。ニューゲイト監獄の典獄(所長ってところか)ロキット。牢屋に出るも残るも金次第、たとえ無罪でも金が要るのさ~ 足かせも値段次第だってよ。悪いオヤジたちです。
追いはぎの元締めと看守が手を組んでるという汚職これに極まれりの二人。
ポリーとルーシーは、いろいろ汚い手を使って相手を妻の座から追い出そうと画策。逮捕されたマクヒースの前で、それぞれ「私が妻よ」と言い合いはじめる。女同士の口ケンカ、面白い。わー、これ島田歌穂vs.笹本玲奈の歌対決になるかな~
いやいや、キャプテンさらにピンチですね! このうえ重婚罪でも問われかねない状況(笑) なのに脱獄して行ったところは女たちのところ・・・。女の頬はバラとユリ♪ ですって。キャプテン・マクヒース、バカ!素敵~。
「三文」では犯罪王もマクヒースも、女のせいで身を落とす、という人間らしさを協調していたけれど、こちらは状況をたんたんと積み上げていってる感じです。1728年の演劇とはこういうものだったのかも。伝説や昔話を題材にしたものから、ふつうの人間が登場する演劇へと・・・
ちなみに↓こんな時代。
1720 近松門左衛門『心中天網島』/1725スウィフト『ガリバー旅行記』 バッハ「クラヴィーア練習曲」 /1732 享保の大飢饉(将軍は吉宗)---/1789 フランス革命
細かい当時の状況なども脚注がついていて読みやすい一冊でした。妊娠している女性は死刑にならなかったために、種付け係がいたとか・・・ 俳優業は巡業で各地を回るため、浮浪者とみなされたので「乞食のオペラ」と名づけたのだとか。へー。
あと、こういうのを読んでいると出てくる(レミゼの舞台でもあるな)「あばずれ」。翻訳言葉だなぁというのをひしひしと感じる単語で、なかなかおかしさを醸し出す言葉です。他に言いようもないのでしょうしねぇ・・・
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