2012/07/26

『Love Never Dies』 DVD見ました

オーストラリア版がDVD化されたのを見ました。








ほ、ほほー。



『オペラ座の怪人』を恋愛物語としてというよりは、
屈折しすぎて純情すぎるファントムと、意外としたたかなクリスティーヌの、気持ちのぶつかり合い、という目線で見てることが多いので、10年経った二人が、昼メロ真っ青の深い愛情を示しあう展開に、若干うろたえました。



前も書いたけど、いつの間にオトナの関係になってたんだよ!と、叫びたいわ。ひどい、実は・・・って、いくらでもつけられるんだね、ひどいわー。



キスされてフリーズしてた純情ボーイだったはずよ!騙してたのね・・・・うう。



あ、まぁそうだったとして。



うむむ、すごいメロドラマ展開に笑ってしまったものの、舞台デザイン、衣装、キャスト、ALWの曲、いいんだねー。この物語展開のへなちょこぶりが(と、歌詞かなぁ、歌詞かも)どうにかなればいいのに!



ロンドン版のCDと違う部分があるみたいですね。ラウルもロンドン版CDではもっと最低男の印象でしたけど、けっこういい人になってました。







■舞台・デザイン


大掛かりなセットで、妖しげな雰囲気が良い。フリークスたちがたくさん登場する演出も、ファントムが作った夢の隠れ家っぽくていい感じ。ここでは、ファントムも、たくさんのフリークスのなかにまぎれていられる。


このキラキラさが、アメリカの俗っぽさに良くあっていて、ここに馴染めない感じのラウルの貴族らしく浮いてるところが対照的。


■三角関係


ラウルとファントムとで、クリスを再び取り合う展開に。しかし、アメリカにやってきた時点で、すでにラウルとの関係は昔とは違ってしまっていて、恋愛と、結婚生活の違いってやつなのかしら? ラウルの望みで歌うこともせず。


クリスに選んでほしい二人が火花を散らして、彼女に訴えかける構成なので、これは若めのキャストのほうがすんなり見れそう。


祐一郎だったらどうかしらと思って考えてみたけれど、実年齢に近い雰囲気で演じたら、ストーカーもストーカー、愛のためっていうより、完全に執着っぽくて、良くない。
われらの祐一郎なら、そんな老いて見苦しい怪人にはならないかもしれませんが、それでもちょっと無理かも・・・


■子ども?


えーーー。ファントムが人殺しでなければ、麗しい展開です。この美しい子どもは、あの熱い一夜の結晶!的な・・・(ちょうどそんなロマンス小説読んだところだったので、ますます笑える)


笑えるのですが、<あの一夜>を思い出して二人で歌うシーン、色っぽくてよかったです。そんなに燃えたのかと。


しかし、10年の間にファントムに何が起こったのかが気になるよー!


すっかり毒気が抜けて、いい人っぽいんですが。滝行したとか、懺悔しまくったとか? 私が涙したあのファントムは、こんな腑抜けじゃなかったのに・・・ 憑き物が落ちたみたいに、ジェントルマンなファントム。


これに納得できるとしたら、<ALWじゃない人が、勝手にその後の二人の物語を書いてみた>ですわ。二つの作品は、当然、地続きなのだけど、私にはファントムの10年をすんなり埋められず。クリスは分かるんだけど。


何かもう、話の展開的には<ファントム>じゃなくてもいいんじゃないかと思ったよ。昔、すれ違って一緒になれなかった二人が、異国の地で再会。彼女が連れていた子どもは、実は彼の忘れ形見であった・・・ ハーレクイン?


ここに、顔が醜い男(しかも殺人犯)という説明が加わってるはずなのに、それがイマイチ機能してないのよねぇ


思い出って美化されるものだし。


グスタフが実は自分の子どもじゃないかと思い始めるファントムったら、可愛さ満点のヨロコビよう。ラストの連れ去られたグスタフを必死に探す姿も、いい父ちゃんだなぁって。
(だけど、だけど、ファントムは人殺しなんだよー)


■メグ・ジリー


目には映らない、隠れた美しさをたたえる一方で、心の底にある嫉妬心を描きます。それが、マダム・ジリーとメグ・ジリー母子。


そういう感情があったとして、何も声高に歌わなくてもいいんじゃ? 昼メロには欠かせない存在だろうけど、ますます『オペラ座の怪人』とは関係のない話として見たくなりました。


なんか、哀しいんだもの。


■歌詞


物語がめろめろドラマだとしても、もう少し歌詞がよかったらいいのになー。あまりに直接言い過ぎます。身も蓋もない。the beauty underneath て、そのままファントムの願望だもの・・・ そのまま過ぎ。
『オペラ座~』もわりと直接的だったかもしれませんが、でも、全体にファンタジーだったので、あまり気になりません。


この作品だと、登場人物がすごく等身大(人間らしい)に描かれているので、ファンタジーで補うどころか、どこもかしこもそのままの人間サイズ。であれば、歌詞に比喩を多く取り入れたり、言葉ではなく演技と音楽で観客に伝えて欲しいところです。


■音楽


さすが、ALWの美しいメロディが流れます。ただ、最後の賭けに使うクリスが歌うファントムの曲に、インパクトがやや足りないのが残念です。
燃える恋から、抑制があってしっとりと思い合う愛情ってことなのか。でも、2幕の肝のシーンだから、私の好みとしては、ジャジャンとコテコテに盛り上がってくれても良かったのよ。


私の好み、『アスペクツ・オブ・ラブ』は曲はきれいだが、ガツンとぶっ飛ぶ曲がないわ・・・と不満になる派です。
コテコテ盛り上げて、俳優たちもドヤー!と歌い上げてくれるほうが好き。


他でいいなと思ったのは


1幕>>
ファントムの 'Til I Hear You Sing
ファントムとクリスのあの夜の思い出ソング Beneath A Moonless Sky
ファントムとグスタフ(息子)が共通の感覚で盛り上がる The Beauty Underneath


2幕>>
ファントムとラウルが賭けをする Devil Take The Hindmost
ファントム、ラウル、マダム、グスタフ Devil Take The Hindmost (Reprise)


2幕より、1幕のほうが印象がいい曲がそろったのが問題かも。やっぱりクリスの曲が、独りよがりっぽい曲で終わってしまい、私をひきつけるビッグナンバーじゃなかったのが、痛いな。


■ということで
劇団四季が上演することになったら、この微妙な昼メロ展開が課題になりそうです。ラストはクリスの死だし。10年後の二人のことは、聞かないほうがいいかもー、なんて。


再会したファントムとクリスが争いつつ、好きだったのに!と言い合ってるところからのスタートなのが、不満だわ。それじゃ最初からファントムのことが好きなのに、ラウルを選んだことが間違いだったんじゃ・・・(だから、やっぱりクリスはしたたかな女なのだ)


ラウルも気の毒に。


DVDだけで判断するのは不当だなって思うので、一度は舞台にかかってるのを観たいですね。


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