■あーくーむー。
ゆっくりと禅フランツが上着を脱いで、ルキーニが敬意を表したような態度で受け取る、嵐の前の静けさが、たまらない。
禅さん、威厳があるのよね。
マエストロはトート閣下!
やる気満々の表情じゃないのに、動きがやる気満々のトート閣下です。チラっと長し目しつつ、なにやらご自分の脳内で響く音に身を任せておられる・・・おお、ノリノリです。
陶酔の表情に、私の意識も遠のきそう。
次々に不幸な目に遭うフランツとシシィの近親者たち。王政が崩壊していくのが、ドミノ倒しのようなスピード感で。
美しすぎる手を正しく三拍子で。イッチニーサン!フフン!とひらひらさせ、人間どもを翻弄する閣下。残酷で美しいお顔の閣下。本領発揮ですねー。
すーてーきー。
でも、下界では禅フランツがありえないほどもみくちゃになり、シャツや髪を乱し、何が起きているんだ!と大混乱。
お前が招いたのだ!
妻の姿がない!わが妻だ! エリザベートは私のもの!
・・・・言われてみたい。
勝ち誇ったように(やーいやーい)フランツに対抗してる閣下。意外と大人気ないくらいの居丈高。妙に可愛いわ。
二人の激しい言い争いが、素晴らしく緊張感であり、がっぷりと組んだ男同士のバトルでありました。
ここまでさほどシシィに執着してる様子を見せなかった閣下が、初めてフランツと張り合っているのが新鮮よね。そうなんだ、やっぱりフランツに勝って、シシィを自分のものにしたいのね。
今年の祐一郎閣下は、男なのだなぁ~
ここで、必死の抵抗を試みるフランツがいることが、救いというか。セツナイところだけど、シシィはこのフランツの愛情をうまく受け取ることができたらよかったのにね、と哀しくなる。
シシィが見て欲しかった<わたし>とは違うものを、フランツは見ようとしてたんじゃないかしら?
あれだけオケの音と、コーラスの声がガンガン入ってくる中、祐一郎さん、禅さん、お二人の声がはっきりと聞こえてます。オケとコーラスとの、呼吸なのかなぁ ブラボー。
■刃物だ!
この日のナイフ、以前より高速気味にルキーニに飛んでいきました。わりと、受け取る高嶋お兄ちゃんが取りやすいように&観客がナイフを認識できるように(たぶん)、弧を描いてゆっくりと手から離してたと思うのですが、この回はシャーッと投げてました。
気合入ってるぅー
ナイフを認識したあとの禅さんの乱れっぷりも見事。何としても阻止しようという気持ちが現われます。阻止できないんだけどさ。
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