2009/11/15

『印獣』11/13@札幌

作:宮藤官九郎 演出:河原雅彦
出演:三田佳子 生瀬勝久 池田成志 古田新太 岡田義徳 上地春奈

「印獣」とは・・・





今回の物語は、前回公演でねずみの三銃士たちが同級生の役であったこともあり、今度は、「お互い始めましての関係にしたい」と作家の宮藤官九郎。



今のところ、とあるお屋敷が舞台。そこに住む女主人からの招待状をもらった3人の作家たちという設定。なにやら秘密めいた女主人は、かの大女優であることが判明。女主人からの依頼で、3人の男たちは彼女の一代記を共同で執筆することになる。果たしてこの大女優の目的は?その真意はどこに?果たして3人の男たちは無事共同執筆を終え、夢の印税生活を得ることができるのか?



タイトルは「印獣」。謎が謎を呼ぶ“ホラー・コメディ”になる予定です。どうぞご期待下さい。 (パルコ劇場HPより)

■ホラー・コメディ。
だけど、表面上はコメディらしく笑わせてもらったのに、少しずつ深いところに恐怖/狂気が入り込んでいく。笑ってたけど、笑ってるうちに観てる私にも入り込んできちゃってたよ!という感じです。



最後の生瀬さんの壊れ方が一番怖かったな・・・ 作品と現実の境界がなくなっていく不思議な感覚、面白くてぞくっとした。



作家(エロ・ルポライターが古田新太、遅筆の絵本作家が池田成志、父親が有名作家の自称?ケータイ小説家に生瀬勝久)たちが集められた理由がちゃんとあったことに驚くくらい、素直に観ていたんですが、



彼らが適当に作っていく、相当に陳腐すぎる「大女優・長津田麗子」の半生記と、彼らの半生が融合していく感じがー、うわぁ。作家は自分を超えられないのか!とか、人生って陳腐だったりするし!とか、色んな気持ちが沸いて来ましたね。すごいよ。意地悪だなぁ



大女優、三田佳子。



毒マグロ夫人。コレに尽きるか。生臭そうに熱演。いやいや、冒頭の歌もなかなかです。厚化粧・・・とかね。
小学生の格好も、セーラー服も、ギャップがどうのっていうより、ありだなと思わせられてしまう説得力が(リアルだということではない。「あり」だな、という点で)すべて大女優でした。



「三田佳子」と聞いて、つい私生活=息子のことね、を思い出してしまうのは織り込み済みなんですよね。それでこの役とは、恐れ入った。クリーンな女優がやっても面白さが半減かも。
女優の業みたいなものってあるわねぇと笑いながら、役にまっすぐアタっている三田佳子がまさに女優です。



誰?上地春奈って?



ひー。沖縄の言葉がこれほど破壊力あるとは!まったく何を言ってるのか分からない・・・なぜこの子が長津田麗子のもとで仕事してるのかも分からない・・・ けど、どうしても使いたかったんだなと判断しました。だってスゴイもの。



言葉が通じないってすごいストレスだなとつくづく思いました。



劇中劇のところで、ムチャ振りというのかな? 麗子が付き人になった<何でも知っている沖縄出身の女優>役の彼女へ向かって
ボーイズ・ビー・アンヴィシャスとは」と古田新太が言ってました。あはは。



ココはいろいろ変えて遊んでそう。北海道だからですねー。適用でうそばっかりな答えを展開してたけど、ボーイズ・・・には、英語らしき言葉で叫んでましたー。ちょっと中途半端に答えてたの、残念。



■成志~



おお、意地悪い役じゃなかった。素直すぎる子供時代に麗子と出会ってました。絵本作家らしく、童心を忘れない・・・大人? 真っ赤なパンツに、グリーンのチェック柄の上着。まったく大人じゃない。
妻子がフィンランドっていう設定、どこから持ってきたのか。面白いな。このシリアスな局面にまるでそぐわない!いいですね。



DJプレイが見れてよかったデス。キュッキュキュッキュ♪ むふふ。



■古田新太が普通に見えること。



この方の恐ろしいところは、こんなに悪そうな見掛けなのに、案外いちばんマトモっぽい人に見えるような役になっていることです。
善悪の区別が一番緩そうなのに、一番惑わされません。エロルポライターは自分の作品という思い入れがない分(無さそうです)、仕事と割り切っていられる冷静さがあるのか。



生瀬さんと配役が入れ替わってたかもしれないそうですが、やはりこちらのほうがいいと思う。
ラストを考えると、古田新太がああなっても、予定調和風になるかもしれない。



■生瀬勝久の狂気の出し方



さらに恐ろしいのがこちら。最後まで切り札を出さないでいた点、腹黒さで1番。岡田義徳が爆発してから、実はもっと壊れてたことが露見。
父の影から抜け出せないダメ作家っぽいはずなのに、何だかズレて来てるなぁと思ったら、ずんずんズレて壊れてました。



どーんと重くなる気分での終幕、生瀬さんの狂気のおかげです。



■岡田義徳。普通に



「分からなくなっちゃってー」壊れていく役。長津田麗子との係わりが明らかになるところで、ずっと可愛そうな人だと思ってたのを改めました。いい人のふりのダメ人間だった。いやー、意地悪な脚本です。そう来たか!と。
彼のやったことって、悪意からじゃなく、ホント、ダメな人間の典型。相談に来た後輩を流れで手篭めに(もっといい言い方ないのか)して、あとは無視。ああ、最低。



ところで私の耳がちょうど彼の声を拾いにくいらしく(あと、早口気味)、セリフが聞き取りにくかったのが心残り。



■当日券あるよ。
宮藤官九郎×河原雅彦、とか、生瀬・古田とけっこうテレビでも顔が知れてても。満席にはならないものなのね。ミュージカルで満席になる日はまだ先だのう。



出来れば、もう一息こじんまりとした劇場で見たかったけれど、札幌で上演してくれて嬉しかったです。また来てね~







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