原題:THE GOLDEN COMPASS 2007年 アメリカ 112分
☆☆☆
・・・・・・ネタバレしてます・・・・・・
原作を読んでいるので、バイアスかかってます。抜け落ちまくっている細かいエピソードを勝手に補って観た感じでした。原作読んでなかったら、特殊効果はすごいけど、内容はざっくりだなぁ、という印象になったでしょう。
ちょっとー、これでいいのか? 各章のハイライトが流れた2時間。
あと、エピソードの順序が入れ替わってました。あれれ、あー、うーん。第二章へのつなげ方で、これが生きるのかムダになるのかというところです。
このままだと、原作とは似ても似つかぬものになるような気がしています。似てなくても面白ければいいとしても、それもちょっと。3部作目まで製作されるのかどうか、心配。
■ダイモン!
その時のライラの気持ちに呼応して、パンタライモンが姿を変えるのが、とても楽しみでした。基本形のイタチ、山猫、海鳥、蛾・・・山猫になってライラに添い寝してるシーン、とても羨ましい~ あ、声のフレディ・ハイモアも年頃がライラと合っていて良かったと思います。
ダイモンが攻撃されると本人も同じ苦しみを感じる(反対も同じ)、子どものうちは形が定まらないとか、基本情報が説明調になってしまったのが心残りです。仕方ないとは思うけど、映像で気づいたら理解してたっていうのが映画的説明ですよねー。
そういえば、本人が女性ならダイモンが男性だよっていうのは言葉での説明はなかったですね。
■ライラ役の子、ダゴダちゃん。コールター夫人の二コール・キッドマン
キャスティングには満足。特にダゴダちゃん。
詐欺師のように天才的な大嘘つきでありながら、彼女のなかには正義があって、それを手段を選ばす猪突猛進していくキャラに良くあってました。
正義を重んじる性格のわりに、手段は汚くてもいいんだという豪腕なところが、12歳の女の子のすることか?と原作でもおどろいてたので、もっと自分勝手なところがあってもよいくらい。
ハナからオトナとか権威とか全く意に介さない、友達や仲間がいても、人は孤独で1人、という影を背負ってるイメージがあったんですが、それはあまり感じませんでした。あと、もっと汚い感じでもOKなんだけどな、でも、かわいかったです。衣装も!理想的~
で、二コールは美しいコールター夫人のイメージそのまま。ライラの「切り離し」を寸前で阻止したあとの涙目も、どこまで信じていいのか・・・ふふふ。
■イオレク(声:イアン・マッケラン)
私のなかでは、研究所から子どもたちを助けるとこと、イオレクが王座を取り戻すのは2本の柱です。
イオレクはどうなるのか1番気になってたかも。とにかくいい男ですから! ということでずっとイオレクに激しく惚れていたのだが、映画のイオレクのほうが情けない度が高かったです。しかしそれにしては声が渋すぎです、そりゃ素敵ですけど。
よろいを奪われたあとのエピソード、すごい早業で奪い返してて驚いた。なるほどー。でも、そのあと鎧つけてないよね・・・? 大事じゃなかったのか!おーい!
しかし、ライラはイオレクをも手玉に取った感じです。ダイモンのふりしてイオレクとラグナーを闘わせるように仕向けておいて、ゴメン、と抱きつくなんて、だ。悪女よのぅ・・・
■散々いわれてますが、ラストにびっくりした。
えええー! そこで終わるのか!
これは児童書とは思えないくらいの、愛と裏切りの物語のはずだったんだが。今のところアスリエル卿はいい人でしたね。コールター夫人がライラを産んだいきさつも、原作では不義の子でしたが、お子様向けに哀しい過去にしてありました。実は子ども思いのママだったんだんですかー、へぇ。
■いろんな人が激しく都合よく登場して、ライラの味方になる。
ご都合主義の見本みたいだった。気性が激しく、自由なココロのライラがオトナたちに助けられる必然性が、まだ足りなく思いました。この先、みな命をかけた戦いになるわけです。その動機づけがまだ薄いかなぁと。
セラフィナ・ペカーラとファーダー・コーラムの悲恋物語もどう見せてくれるのか、あれ、もしや見せてくれないのか? うう。魔女たちが子どもを助けに来た背景がここでは良くわかりませんでした。このまま2作目に行っちゃうのかもなぁ
やっぱり上映時間を2時間以内って、無理すぎたのではー。せめて3時間あれば・・・ せっかくの物語がもったいなく感じましたヨ。
■ライラの世界の描写は映画ならでは。
空想科学小説のようなライラの住む世界が、楽しく描かれてました。あっという間に氷の平原に行ってしまったけれど、飛行船とか面白かったです。オーニソプターのスパイ虫も怖かったですね。(原作だと・・・ぶつぶつぶつ、イオレクが活躍してたような)
しかし、こういう表現はジブリの方が(『・・・ラピュタ』のほうが)活劇らしくわくわくさせてくれたなぁと思ったり。表現に新しさが感じられないのも、残念なところ。
0 件のコメント:
コメントを投稿