2009/01/16

映画『リダクテッド』

Redacted 2007年 アメリカ



ブライアン・デ・パルマ/監督 2007年ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞



☆☆☆☆



2006年、イラクで実際に起こった衝撃の事件 米兵による14歳の少女レイプおよび家族を含む家族4人惨殺事件を題材に、哀しみと怒りをもって戦争の残虐性を直視した渾身の野心作である(公式サイト イントロダクションより)



実際の事件をもとにしたフィクションである、と前置きして始まる本編。



フランスのニュース映像らしき映像、アラブ系のニュース映像らしきもの、事件にかかわった兵士が撮っていた映像らしいもの、イラク側の反・アメリカ組織がウェブにアップしたらしき自爆テロの映像、拉致された米兵がイラク人に殺されさらし者にされている映像・・・
すべてリダクテッド(編集済み、の意味。告訴に繋がり得る「取り扱い注意」の情報が削除された文書や映像を指す)されたものを、それらしく撮ったものをつなげて事件を双方向から検証しているような体裁となってます。



戦争の暴力と性的な衝動の引き合い方とか、気温50度のなかでフル装備を身に着けて検問所に立つ兵士の倦怠感と、民間人のなかにいる自爆テロを見分けなくてはいけない緊張感が同居している、不思議な日常。



逃げ出せない砂漠のなかで、どんどんストレスが高まる雰囲気。そしてレイプへと流れていくあたりは理性はどこにあるのかと驚くばかりです。
罪のない少女をレイプして、一家を殺し、遺体を焼く。無意味で残虐な行い。イラク人を見下した発言も醜いし、自尊人がなさそうな首謀者の男の態度にも、腹が立ちました。



動物以下の行いになってしまう戦争は、絶対にいやだ、いやだと念じながら観ていました。ああ。本当にいやなもの見てるなぁ
日本のひとが戦争に参加するのは避けてほしい。弱腰でもいい、揉み手してもいい、バカにされてもこんなことをするよりはマシだー。



本編最後に、戦争で犠牲になった遺体(ただし目隠しされている)の実際の写真が数多く映ります。題材となった事件の被害者らしき女性の焼かれた遺体写真。うらみながら死んだかのような表情に、言葉もないです。



イラクではアメリカ軍が戦争を、と、ニュースで見るわけだけど、お金と人間を使って殺し合いしてるところは日本のお茶の間には決して流れません。○○人死にました、と言われて銃で撃たれて焼かれたなんて、思いもしません。見てるつもりが、1番タチが悪いのかも知れないです。



そこで何が起こっているのか、きちんと見なくては。





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