2012/08/09

『Bitter days, Sweet nights』8/3ソワレ-1 小さな劇場だから

ミノル/橋本さとし ナツコ/新妻聖子 ヤヨイ/堀内敬子 ジュン/上山竜司
作・演出/G2 作曲/荻野清子



■初のCBGK! シブゲキ! 242席の小さな劇場。小さいからこそ出来ることが新鮮でした。



プログラムで聖子ちゃんが言ってたのは、これはライト・ミュージカル=LMだ!と(なぜ略す)レミがライト・オペラっていわれているのに引っ掛けてるのね。



伴奏はピアノだけで、それこそレミみたいな感情爆発によって歌が立ち上がってくる、というのとは反対でした。
内面の、口に出せない・出さないこと、心のつぶやきが歌になって表現される場面が多かったです。
もちろん、気持ちが高まって歌になるシーンもあったけど。



こういうのは、表情もよく見える小さな劇場だからこそ出来ることだなと。



あと、普段東宝の翻訳モノを観てるので、言葉と音がしっくりきていることにも、しみじみといいなぁと思いました。



どんなに祐一郎が美声で歌ってても、字余りなり・・・ってことがありますよね。そういう居心地の悪さというのを考えずに済むっていいわぁ
と、同時に、日本語にしっくりくるものだと、爆発モードになりにくいのだろうか?という疑問も残りましたが。やはり叙情に流れて行きがちか。



ユニクロ?



劇場がユニクロの上にあったせいか、みんなの衣装がユニクロに見えた。スミマセン。堀内さんのスーツがボディに合っていなくて、ちょっとカナシかったのだ。ナイスバディが引き立たなかったよー。わざとなのかしら・・・





客席の上手通路から橋本さとし、下手通路から作曲もされた、ピアノの荻野清子。
はぁ・・・だらけた雰囲気のさとしさんが、舞台上に上がってスタートです。


舞台上には、くしゃくしゃになってる大きな紙が何枚もあり、家具のようなものの上に乗っていたり、床に落ちていたり。
紙をめくって、酒瓶に残ってないか確認している。飲んだくれらしい。


あるときは椅子にも、あるときは景色の一部にもなるセット。朝焼けのピンクと夜の青がまざっているような、薄紫の色合いで。


最初はガザガザ片付けたりして面白い紙だと思ったけど、全体には効果は及んでなかったなぁ(そのうち、あれは布団にでもなるのだろうかと思ってたが、ただ片付けられてしまった・・・ ゴミゴミしたミノルの今の生活を表したかったのだろう)


妻フユコを亡くしたミノル、なくなった妻の友人でありミノルの友人でもあるヤヨイ。
10年ぶりに帰ってきた妻にそっくりな彼女の妹ナツコ。
ナツコを心配してアメリカからやってきた恋人ジュン。


それぞれが、心の中にわだかまりのような、痛みがあって、
触れると痛いので見ないふり、時間を止めて脇においていたことを、
ナツコの登場で、見つめるようになる。


そして、姉の結婚式にも葬式にも日本に帰ってこなかった妹は、なぜ今やってきたのか。


ナツコは、亡き母と同じガンを患い余命宣告を受けていた。残りの時間の使い道を、姉との行き違いを見つめなおし、彼女の人生がどんなものだったのかを知りたいと思っていたのでした。
姉は幸せだったのか、そして、自分のことをどう思っていたのか。


結婚式で披露された、亡き母と帰ってこない妹への歌のなかには、
離れていても結びついているのだ、という姉の思いが。
封印されていたアルバムのなかには、
カメラマンである夫に見せた幸せな姿が。


■劇的なことは起こらない。
けれど、人生にはこういう痛みや幸せがたくさん織り込まれていて、
誰の人生にも、そういう小さなドラマが生まれていて、
そしてそれは、誰かとの関係のなかで生まれてくるものだということ。


つらさも、喜びも誰かがいるから感じられること。


観終わったあとは、じんわりと、人生って別れや出会いや、楽しいこと、悲しいことが
複雑に織り込まれているものだよね・・・とウンウン頷きながら渋谷の交差点に向かってました。



0 件のコメント:

コメントを投稿