2015/12/27

『TDV』11 祐一郎の妖気

オリオンだ!
城の最上階で、夜空を見上げる教授。寒そうだー。
アルフ:安全なんでしょうか?
教授:死ぬほど安全だ!(どこから来るのかしら、その自信)

またもクレーンで飛んでる伯爵さま、マントで顔以外をくるんでいるので、目の動きと歌声だけで二人と対峙してる。妖気みたいなの出てると思うの。とてつもない威圧感です!
ハハハハ・・・優雅に笑う声のなかに、獲物に対して勝利を手にしたという態度が見え隠れ。逃げられない。

下手側にいる教授に流し目、その下で震えてるアルフには上から下への目線。
メイクもそんなに強くしてないのに、祐一郎の目力を見せつけられますー。ドキドキする。

教授:誘惑するのか!
伯爵:するまでもない。彼はもう私のもの!

ふらつくアルフを庇う仕草、前半のほうがはっきりしてたと思いました。アルフを庇う教授はカッコいいので、ぜひもっと庇ってあげてほしい・・・

オマイガー!とアルフがすっかり参った様子。そりゃそうだ、あんなセクシー伯爵に祐惑されちゃったら、ふらつきます。

【永遠】
ヴァンパイア出演者のほとんどの方が出てくる場面。俳優さん、ダンサーさん。
今回、チケ運悪くて2階から見てばかりでしたが、この場面は怖いんだよなぁぁ
ここまで、アルフをメインにわりとおちゃらけてたシーンが続くのに、伯爵さまを皮切りに、キリリとする場面が続きます。

ダンサーさんたちが、この最後のとこで連続ターンするのカッコいい。あんなに重そうな衣装で、すごいなぁ お怪我なさいませんように、と祈りつつ。メイクこわい・・・
ヴァンパイアは人間とは違うんだなぁなんて思いながら、迫力ある場面を眺めてます。

わたし、全然知らなかったんですが、墓場にウサギさんのお墓があるのですってね? 聞いてから千秋楽の日に上手の奥を凝視してみたんですが、あれなのかなぁ(自信ない)光が当たるのも一瞬でした。名古屋で頑張ります。

【抑えがたい欲望】
ほかの場面も素晴らしいのだけれど、全編通してのハイライトはやはりココ。

ぐーっと惹き込まれるし、その日のコンディション(演者も観客も)によって沸き起こってくるものが、都度違う。
字面を追ってみれば、自分の存在意義に迷いつつも、根源は「欲望」であり、それを肯定している話です。

初演のときなど、私は完全に伯爵さまは「欲望を100%受け入れている人」ととらえてました。再演時も同じかと思います。

今季の伯爵さまには、欲望こそがわれらの支配者、と言いながらも、永遠に迷い続けるしかないのか・・・という恐れのようなものが混じっているように思いました。
深化といえば簡単だけれど、歌詞変えてないのに変化を感じるのって不思議なものです。

その迷いをもしかしたら、ダンサーの開次さん新上さんらも後押ししてたかもしれません。苦悩している伯爵の内面を表現しているお二人、開次さんはそれから逃れようと必死にもがいているよう。新上さんは闘っているよう。
どちらも、とても痛々しい感情があふれているようで、素晴らしかった。

これも今季、はじめて思ったことですが、伯爵さまと影伯爵がお互いに影響しあって歌い、踊っているなぁと。前からそうだったのを、やっと気づけるようになったのかもしれないけれど。お互いを信頼してこのシーンを作っているのが伝わってきて、心打たれてしまう。

伯爵さま、少女やナポレオン軍の供のものへ、愛した人の命を奪ってしまうわが身を嘆きます
欲しい、が血を吸うしかないから・・・悲劇。

人間や愛を信じる 金や名誉 芸術 勇気を信じる
そして神を信じるのだ

↑上記は、教授やアルフたちを思い浮かべ。
欲望こそがわれらの支配者、というのは、否定しがたい。こう劇場に足を運ぶ身としては、そうなのー!と伯爵に喝采送りたくなる。

これまでで最も、「人間らしい」内面を見せる伯爵さまであり、目線ひとつでイチコロな妖気がすさまじい伯爵さまであり、衣装がきらきらな伯爵さまー

どんなに他で遊んでみても、この場面の完成度、充実度があればこそ。子供じみた話にならず、大人が楽しめるエンタテインメントになったのです。

神は死んだ、などという伯爵はニーチェ的なのだという話を聞いたことがあって、ニーチェについて知りたいと思いつつ(浦井くんもドラマ「ニーチェ先生」に出演することだし!)
まずは原典にアタックしてから解説本読んだほうがいいのかのう。
伯爵さまのライブラリに行きたいわー。

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