2004/03/15

七人の魔法使い

七人の魔法使い ダイアナ・ウイン・ジョーンズ 徳間書店 2003.12 4-19-861785-6(1700)
ARCHER'S GOON by Diana Wynne Jones 1984

☆☆☆☆★(4.5点)

ある日ハワードとスサマジーの兄妹が帰宅すると、家の中に巨大な体の「ゴロツキ」が居座っていた。「アーチャーの使い」で「二千語」がアーチャーに届いていないので「書け」と脅かす。ハワードたちの父は作家で、スランプの時に、それからの脱出目的で冗談のように友人マウントジョイと、どこにも書いていない話を彼に二千語分渡す、という約束をしていた。ゴロツキはそれは最後にはアーチャーに届く、と言う。ところが脅かされへそを曲げたハワードの父は、原稿など書くものか!と抵抗。ゴロツキに出て行ってもらいたいハワードたちは原稿の行方を探し始めるが・・・

次から次へと出てくる「魔法使い」たちもそれぞれ「二千語」のために手を変え品を変え、笑っちゃうような嫌がらせをしてくる。最終局面、なぜハワードたちが魔法使いたちに狙われているのか?分からないところが一気にまとまって行くあたり、さすがの力技。私たちのいるこの世界が舞台のようなのに、するりと「魔法」が入り込み、だんだん普通じゃなくなっていく。自分勝手で言いたい放題のキャラクターたちが存分に叫び、騒ぎながら行動していく様は、楽しませてもらった。DWJらしく、とても爽快!
それから、8歳とは思えないスサマジー(すさまじい声を出すから。あだ名)の元気いっぱいな性格と、ボヤきつつ面倒をみるハワードの兄妹のコンビが、家族のつながりってこうだよね、と良い感じ。わりと性格の捻じ曲がった女の子が出てくるのがDWJ作品だが、スサマジーは兄思いで可愛いかったな。

1 件のコメント:

  1. ��WJの『マライアおばさん』ようやく読みました。
    やっぱおもしろいわ~。
    この人の書く「悪者」のあり方って、独特ですね。
    そして「善者」も必ずしも「完璧な人」ではないのがお気に入り。
    今回は主人公の女の子がちょっと良い子過ぎる気もしましたが。
    『七人の魔法使い』は未読です。
    セルゲイ号の書評を見て、早く読みたくなりました。

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