2014/04/28

『ラブ・ネバー・ダイ』4/18-2 鹿賀さんが不安定だけど、でも麗しいお方

■鹿賀ファントム
体調不良でお休みが2回あったのかな、私の見た日はお休み翌日の公演でした。足を引きずるようにしていたように見えたのだけど、体に力が入らないくらい不調だったのかしら。
いつもの弾むような歌ではなく、静かでスロウな曲だと、ふらふらと不安定になる。かなり元気がなさそうです。おお・・・

これが若い人だったら管理がなってないと怒るところですが、鹿賀さんクラスは出演してくれてありがたやという気分になるわ。

冒頭では、タイムショックみたいにずんずん上昇していくので、本人が乗っているのか人形なのかが気になって仕方なく。→ご本人でした。
天上から自らつくったファンタズマを眺めるファントム様の図。なんだかパリ時代よりも積極的な感じがする。

そんなんで、はらはらしましたが、お化け屋敷かよというクリスの部屋に登場したシーンでの、長いガウンのドレープも麗しく歩いているお姿、目に焼き付けました。エレガーント! 後ろ姿がとても美しかった。
これが見たかったのーっ 本当に鹿賀さんはエレガントでらっしゃるわ。

ちなみに、ジャーーン!とすごい音とともにファントムが出たとき、私は思い切りビク!としました。隣の方、斜め前の方も同様に、ヒク! クリスに同情する登場シーンでしたね。驚かせすぎ。
(出てくる頃だとわかっていたのに、まんまと仰天した)

愛してたのにーと、いきなり我々が知らなかった二人の秘密の夜を思い出してぶつけ合うシーンでは、鹿賀ファイトムの濱田クリスの腰に回した手が、非常にぎこちないのを見逃しません。鹿賀さんてそういう方でしたっけ。あ、いつもはいっちゃんとばかりイチャついてたから気づかなかったのかなぁ

そこは撫で回すところじゃないかと思うんですが、触れてるふりの、格好だけですよね?
な、なんてウイやつ・・・(違う。初のは鹿賀さんです。ファントムじゃあない)

情熱的な歌詞と歌声と相反する、超紳士的な手の動き(ど、どこに手を置こうかしらと迷いつつ)でした。可愛い。

音楽が盛り上がると、歌い易そうでした。

あと鹿賀さんのツボといえば、グスタフがわが子か?と気づくシーン。10年・・・10年・・・!と繰り返し、何で教えてくれなかった!と自分から姿を消したくせに、クリスに詰め寄る我侭ぶり。慌てぶりが可愛いです。

オレの子!オレの子!と浮かれはしゃぐ鹿賀ファントム。そんなに嬉しいのねー。そうなのねー。しかも美しい容貌、美しい声、音楽の才能、ファントムがこうありたいと思うような理想のお坊ちゃま。

グスタフにファンタズマの真髄、フリークスたちの妖しい世界に案内して、YES!YES!YES!と言ってもらうファントム。自分自身を受け入れてもらえたような錯覚を起こし、勢いで仮面とヅラを取り外したら、ギャー!と拒絶されるファントム。
おや10年前とあまり変わってなかった・・・勢いづくともう止まらないのだ。ある意味、ピュア。



ここのシーン、音楽もロックテイストでギューンとギターが鳴っててカッコいいです。浮かれるファントムも良かった。私の想像力が貧弱なせいかもしれないけれど、YES! YES!って、どうもイカガワシイように聞こえるのだった。私だけか。
ファントムがグスタフをダシにして、1人絶頂を迎えてるかのようで。

成長した・・・てない。
ファンタズマのメンバーには仮面つけつつ、マスターとして普通に喋ってるぽいし、何だかずいぶんまともになったわねと思っていたら、違った。

オレのために歌え、イヤというなら可愛いグスタフを殺す。とか言う。やっぱりファントム変わってなかった。やっぱりヒドイ奴である。

クリスに、愛してたのよ(でも今はラウルと結婚しているから一緒になれません)と再度言ってもらった後にもかかわらず、ラウルに向って、賭けを提案。クリスがオレのために歌ったら、お前は去れ。反対なら、借金チャラでクリスも返す。
しかも、グスタフはお前の子なのか?と疑惑を持たせる。ああ、ゲスいー。

物語上なので女性の権利とか言うところじゃないですが、この男性お二人とも、どうして賭けに勝ったらクリスを自分のものにできると、信じてられるのかしらねー。

二人とも愛想をつかされバイバイされるのが、一番まともな未来の想像だと思うのですけれど。

■モテテル・・・!アリエナイ!
メグ・ジリーとマダム・ジリーからモテモテじゃないですか。メグの献身ぶりには、驚くばかり。そこまでファントムに尽くすのは何故なのか、さっぱり分かりませんでした。ちょっと唐突です。
もっと早く二人からの献身に気づいてやればいいのに、10年間ずーっと自ら拒絶したクリスのことしか考えてなかったので、気づくこともできず。

メグ・ジリーを説得にかかる鹿賀ファントム。何たること。まともなオトナの男性のように語り掛けているわ! うーん、ある部分では成長したのか? 
得意のマジックでどうにかすればいいのに・・・いきなり普通の男みたいな顔でうろたえるファントム。おいおい、どうしたんだ。大事なときに役ただずだぞ。

こんな騙しうちのようなことをせず、こっそりクリスを眺めていれば死なずに済んだのに、やはり激しいクリスへの執着心が彼女の命をも奪ったのであった。過去の罪がファントムを笑うの図。

死んだクリスへの愛を思いつつ、気づくと目が覚めて。そう、この物語はファントムの夢でした。というのが、ダメダメな展開への唯一納得できる答えかもしれませんね。
ツイッターで夢オチならわかると書いてる方がいて、それなら納得!と腑に落ちました。

実際のクリスはラウルと息子とともに、仲良く全米ツアーとかしてるの。うん、納得できる。
納得できるのに、何だか迫力が失われるわ・・・

恐ろしいことに、ねじれて破綻してる物語であるからこそ、ファンタズマ的ファントムの世界に飲み込まれる快感があったりするのかしら? 1回しか観劇できなかったのが、残念だ。

クリス賛美しつつ、女性への思いやりがちっともないというヒドイ話にも係わらず。このもう一度みたい欲求はどこから来るのでしょう。
ストーリーだけが!どうにもダメすぎるのに、このダメさ加減が、人間の業の深さを痛感させる。

ALWは煩悩だらけに違いない。煩悩最高。予定調和のものよりも、いろんな意味で語られる作品を創作してしまったのだね。

2 件のコメント:

  1. 通りすがりの者です。大千秋楽から10日程なのに、作品に対しても、鹿賀さんに対しても飢えてます。読み応えのあるブログ有り難うございました。癒やされました<(_ _)>

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    1. コメントありがとうございます。私も、ひどい話であっても再演がかかるのも有り得るよね、と同じメンバーでの公演を期待してしまいます。ミもフタもないお話のなかに、人間の欲が妖しく美しく描かれたのだと。鹿賀さん、ほんとに素敵でしたー。

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