2014/04/27

『ラブ・ネバー・ダイ』4/18-1 人間ってさ、すごいねー

日生劇場は久しぶり。1階席の最後列から観た。日生はくるだけでテンション上がるわー。帝劇もそうだけど、来るだけでいい気持ちになれる劇場って素敵。

4/18ソワレのキャスト。前日昼公演は鹿賀さんが体調不良のため市村さんが代わりに。この日は予定通りに出演されました。

ファントム:鹿賀丈史 クリスティーヌ:濱田めぐみ
ラウル:田代万里生 メグ・ジリー:彩吹真央
マダム・ジリー:香寿たつき グスタフ:松井月杜


感想を1行で書けといわれたら・・・上記のタイトル。にんげんってさー。すごいねー。
ですかね。全く感想になってないんですけど、様々な点から、以下の叫びへとつながる。

なぜ、いまになって、続編作ったんだYO-!!!

なんで、製作OKでちゃったんだYO!! (→製作:ロイド=ウェバーでした・・・)

でも観に来ちゃった、あたしだよーーー。

サー・アンドリュー・ロイド=ウェバー(以下、ALW) 世界中の人から、素晴らしい作曲家であると認識されているはずのお方、コレを作ってしまった心中を思うと、あやしうこそ物ぐるほしけれ・・・なむなむ。

ALWともあろう人が、なして最高傑作のオペラ座の怪人(以下、FOTO)に泥を塗るようなケッサクを作ってしまったんですか。ホワイ・・・??

海外上演時のDVD(アンドリュー・ロイド=ウェバー ラヴ・ネヴァー・ダイズ [Blu-ray] )とCDは聞いていたものの、日本語でやるとインパクトがさらに大きいものだねぇ

もちろん、わかってますとも。FOTOの続編としてLove Never Dies(以下、LND)を捉えないほうが、心が健全に保たれるであろうことは。
ひとつの独立した物語としてみたほうが、数々の疑問におそわれないことも。

ですが、そんな私の心構えを容赦なくALWの音楽が裏切るのであった(「ダイズーへの心構え」でも書いた)。
そこかしこに流れる、FOTOのモチーフ。でっかくなって再登場のあの猿の人形。
最大の爆弾が、グスタフがファントムとの熱い夜の忘れ形見だったこと。NOーーー!

いくら必死に別物、別物と言い聞かせようとしても無理だった。よし続編であると受け入れよう。すると、こりゃヒドイ話だね・・・としか言いようがなくなるんだよ。どうしてくれるの。

そもそもですけど、FOTOを観てる限り(20年も前だけどロンドンでも観たし、劇団四季も数度観てる、映画も観た)ファントムとクリスがそんな熱き夜を過ごしてたとは、到底信じられないんですけど。
まぁ・・・頑張ってよりどころを日本版歌詞から探してみましょうか。

クリス:昔は心捧げた/絶望に生きた哀れなあなた/今見せてあげるあたしの心(チュー)
ファントム:二人して出て行け/一人にしてほしい/行け、行け、お願いだ!

これ探すのに初演の市村怪人&山口ラウルを聞いてますけど、この怪人の心崩壊シーンの裏で、お子様を身ごもっていただなんて。ファントムに同情して損した気分になっちゃう。

私の心は、これよ、チュー! とされて、キャー!キスされた!どうしたらいいの!一人にして!とよれよれと闇の奥へと消え去ったはずじゃなかったのか。クリスの愛に応えられない、自分の醜さを思い知ったから。
そして、この時のチューはファントムへは別れの挨拶だったと思うの。殺人まで犯すファントムにはついていけない、ラウルとともに明るい世界で生きようと思ったわけで。
これを根拠に、子供が生まれてました、二人は愛し合ってました、と続編つくったのか・・・知恵熱が出そう。私の理解を超えた。

いちおう、LNDのなかでこのやり取りの訳を言い合うシーンがありました。愛してたのに、あなたが拒絶したのよ!的な。うーんと、ファントムがどう応えたか覚えてないんだけど、他に方法がなかったとか何とか。ふう。

まぁ出来てしまったものは仕方ない。うまく観客の目を欺いて、月のないよるに熱く愛しあったのを認めましょう。しぶしぶ。

ね、こうして私だってLNDを理解しようと務めているのです。

だけど、基本的に登場人物(大人たち)が揃って<下衆野郎

ファントムもやっぱり捻くれた性根は変わらず。メグ・ジリー!カワイかったのに・・・体まで売ったとかどうしたのよ。マダム・ジリーも娘に枕営業させる鬼母だった。
ラウル。子爵さまもただの飲んだくれのギャンブル借金まみれ。まぁ悪人ではないが、ダメ男に。

時代が今ほど許さないのかもしれないけど、クリスだってラウルと離婚すればいいのに。歌手として稼げてるみたいだし、ラウルもなまじ金があるからギャンブルと酒びたりがやまないのでは。

出来の悪い昼メロ。メロメロの昼メロみたいな展開、昼メロみたいなセリフと歌詞。

ただし、音楽は悪くない。くさってもALW
演出も魅惑的。
出演者も一流。

物語の展開にさえ目をつぶれれば、リピートしたいなぁというくらい良かったんです。おお悩ましい!

結局、熱い夜があった、という出発点から納得できないのでは、その後の展開もすべて腑に落ちなくて観客混乱ということだったのかと思います。

ALWったら、クリス→サラ・ブライトマンへの愛がそんなに断ち切れないのか! それこそ下衆の勘繰りしちゃうんだよ。
キスして、と言われたかったの?とかね。

才能の使い道を間違ってるわ。だけど、このはみ出ちゃうくらいの情熱がALWの創作を支えているのかしらとも思う。どう考えても物語が初っ端から破綻してるのを、上演までこぎつける執着心たるや。
醜い私と歌姫の成就しない恋。恋というより、才能への賛美。才能と恋愛は両立しないのだね、世の中厳しいよ。

いろいろなミュージカル見て、いいのも悪いのも知ってる人なら、これ楽しめるんじゃないかと思う。

実際、これだけぶうぶう書いてる私ですが、心底キライと言い切れない。どんな作品にも良いところはある。これは手直しレベルでは如何ともしがたい出来ではあるけれど、<人間ってこんなヘンな作品も作れちゃうもんだね>という視点で鑑賞なされば、それなりに見るべき点もあるかと。

2 件のコメント:

  1. あいらぶけろちゃん2014/06/04 15:24

    今さらのコメントですが「人間ってこんなヘンな作品も作れちゃうもんだね」に全面賛成であります。あり得ない出発点から受け入れられないのでお話自体はなんだこりゃ!で終わるんですよね~・・・そう 音楽はくさってもALWであり、美術セットなんかもステキで出演者もよかったんですよね(遠い目)

    サラに未練タラタラなんですね、はぁ~ というのが最初の感想になる作品
    付き合わされる観客のこともちったぁ考えてね~・・・というか
    作って上演出来ちゃうALWって 金も権力(?)もあるのね すごいや を乗り越えれば
    いいんですよね、うん。

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    1. パラレルワールドとか、ファントムの妄想というあたりで
      私のなかでは何とか納得できた気がします。
      そこさえクリアすれば、音楽も出演者さんたちも舞台装置も良かったですものね(笑)
      あとは祐一郎ファントムでも出てくれれば文句なしだったんですけど。

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