2014/11/18

『アルジャーノンに花束を』9/21昼、9/22昼 1 浦井くんの10年の豊かさよー

随分時間が経ってしまったけれど、メモくらいは。

@天王洲 銀河劇場
チャーリィ・ゴードン/浦井健治 アリス・キニアン、ローズ(回想)/安寿ミラ
ニーマー教授、ギンピイ/良知真次
アルジャーノン、アーニィ、白痴のウェイター、チャーリィ(回想)/森新吾
ヒルダ、ファニィ、ローズ(回想)、ノーマ/桜乃彩音
セルドン、フランク、リロイ/高木心平
フェイ・リルマン、ジョー/秋山エリサ
ルシル、エレン、ミニィ、ノーマ(回想)/吉田萌美
ストラウス博士、ドナー、マット/宮川浩

ダニエル・キイス原作
脚本・作詞・演出/荻田浩一、音楽/斉藤恒芳

初演は見ていなくて、これが初めてのアルジャーノン健治でした。

とにかく、これは浦井くんが良い!よね、の一言に尽きる作品。原作は随分前に読んだきりで、邪魔になるかと思って読まずに観ました。

治療前のチャーリィと、治療後のどんどん知能が上がっていくチャーリィ、そしてそれが失われつつあることを自覚していくチャーリィ、知能が上がった時の悩みを捉えられなくなった昔のような無垢なチャーリィ。

劇的ってこういうときに使いたい言葉かも。チャーリィの微妙な変化を微妙に演じ分け、観終わってみれば、全部同じチャーリィとしてつながっている集中力の素晴らしさに感嘆するしかなかったです。

観れて良かった。

他の作品でも感じることだけど、浦井くんはそこそこ悪人やら不良役だったとしても、この人は心の奥に誰にも見せてないピュアさを潜ませているようだ、と思わせます。そうね、だから王子役はぴったりだし。
演出の荻田さんは、その浦井くんの魅力をこれ以上なく上手く使ってくれている。

チャーリィの変化の段階ごとに問題が浮き上がるわけだけど、最後まで見通した時に、どんな風であっても、チャーリィはチャーリィであるし、その時ごとに一生懸命に生きてるな、と思えるの。

チャーリィの気持ちになって、というよりは、チャーリィの周囲の人間たちに自分を重ねて観ていたせいか、泣くところか、知能と魂は別モノだわ・・・・大反省しなくては、と震えてました。透明なチャーリィが、周囲の人たちの影を浮かび上がらせていく、と。ぎゃー。

浦井くんの演技は大枠として演じ分けのために「演技テクニック」というものが、きちんと使われているのですが、そこに浦井くんのピュアな心で舞台に取り組むハートが加わって、結果、チャーリィは完璧に演じられた。

文字でとても再現できないけれど、知能最高潮のチャーリィの出してるオーラは、ほんとピリリとキレキレで、会話シーンでも会話のテンポが颯爽としてて、いやもう舌を巻くというか、<うらいくんすごい><すごいわ・・・>ばかり。
毎回書いてるけどさ、ほんと、浦井くんは<このあたりに来るだろう>の先を見せてくれるんですよ。どうなってるんですかね。どこまで伸びるのか、楽しみすぎです。

さて、歌も(記憶残ってませんが)優しかったり激しかったり、いずれも素敵な声だったことはメモしておきます。CD出たら確認できるかな。

そうして、もう1人、とっても素敵だったのが安寿ミラさん。ヅカを観ない私の実家でも、なぜかお名前が素敵過ぎるせいか、昔からお名前だけは存じ上げていた。

初めて拝見した・・・はず。
チャーリィが恋心をぶつけてきたり、他の女性と関係を持ったり、そんな変化を「教育者」の立場から見るべきか、ただの女性として受け止めるべきか、最後まで逡巡している様子でした。その逡巡が、アリスの誠実さだったんだと思います。
立ち姿もきれい(当たり前ですね)、声も聞きやすく素敵。
今度、『アリス・イン・ワンダーランド』でお目にかかれるのが楽しみー。
違うわーっ↑「」しか合ってないじゃん・・・!
安寿さんじゃなくて、「安蘭けい」さんでした。ご指摘感謝。また安寿さんに再会できますように。

アリスの悩みがちっとも下品にならないのは、安寿さんの演技によるものだったでしょう。陳腐になってなかったもの!

宮川浩さん、ドクターのときはイマイチしっくり来ないと思ったが、父親マットは良かった。母親ローズとの関係がきしんでいく感じも、お客としてやってきたチャーリィが分からないあたりも。人は観たいものしか見えない! ずっと息子と向き合ってこなかったから、ちっとも気づけないのよー! そやりゃチャーリィがビシッとしてるなんて想像できないだろうけど、能天気に気づかないマットを好演ですよ・・・
悪い人じゃないけど、チャーリィから逃れてしまった人ですね。

えー、セルドン、フランク、リロイ役の高木心平さん、ね。ものすごく音をはずし続けながら歌ってたのです。最初だけ音が取れないのかなぁと思ってたけど、最後まで外れたままでした。どうした・・・
いなくていいんじゃ。
野心家ドクターのニーマー教授、ギンピイを演じた良知真次さんがいれば、ストーリー回ったと思うけど、良知さんが大変か。高木さんは、歌ってないときは、何も問題ないのに、一応ミュージカルだからがんばって!

チャーリィの心映えというか、表面に出ない感情を表現していたのが、森新吾さん。ふむふむ。ふむ。悪くないんですよ、演出意図もわかるし、表現方法も奇抜じゃなくて親切だったし。
問題があるとしたら、浦井くんだけでも、それ分かる!です。もったいなさがあったなぁ 表面上はAという態度だけど、本心ではBだ、とか。そういう使い方はなかった、ような。あったかもしれないが、記憶にないの。
そうか、チャーリィにウラオモテはほとんどないからかー。難しいね。
過去の出来事の回想シーンとか、浦井くんがいて、そこでの心情表現とかがメインでした。うん、それ浦井くん見てれば分かるから。
あ、ミニィを殺しちゃうとこは、ものすごく恐怖でした。これくらい浦井くんチャーリィを激震させる<チャーリィ>として動いたら見栄えしそう。いや、うっとうしいな。

まとめてで申し訳ないが、女優さんたちはみなさま良かった。おのおのの役で、的確に演じてくれてました。妹ノーマの叫び、ぐっと響いたわ。回想のノーマの吉田さんかな、私のこと愛して!という叫びが、突き刺さってました。でもって、知性をもったチャーリィはその苦悩に思い至るのが、かしこくなって良かったこと、でした。自分を客観視することが出来たのは、良かったなぁと思う点です。

2 件のコメント:

  1. あいらぶけろちゃん2014/11/20 0:37

    私も初演は観ていないので、今回観ることが出来てよかったです。
    1回しか観られなかったのが悔やまれます。2度観ればわかるというわけではありませんが…
    安寿ミラさん(やんさん)も素敵でしたね♪
    ちなみに「アリスインワンダーランド」のアリス役は安蘭けいさん(とうこさん)なのでやんさんのかなり後輩の方ですね(*^^*)

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    1. ひーっ、教えてくださってありがとうございます! ずーっと同じ方だと思い込んでました。
      安寿さんってベテランなのに歌って踊って素敵ねーとたのしみにしてました(笑)
      老眼か・・・
      初演の浦井くんを見ていたかたは、さらに成長具合に気づいたかもしれませんね。
      でも観られて良かったなぁとほんとに思います♪

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