2014/09/29

『レディ・ベス』9/23夜 前楽は素晴らしかった

@名古屋 中日劇場
レディ・ベス/花總まり ロビン・ブレイク/加藤和樹
メアリ・チューダー/吉沢梨絵 フェリペ/古川雄大
ロジャー・アスカム/山口祐一郎

ガーディナー/石川禅 シモン・ルナール/吉野圭吾
アン・ブーリン/和音美桜 キャット・アシュリー/涼風真世

東京からスタートした世界初演ミュージカルも、ついに前楽。そう、楽というのは素晴らしい出来になることが多いもの(千秋楽は祭りぽくなって調和が乱れることが)例にもれず、この日の公演もとっても素晴らしかった・・・ これを完全収録CD化してくれればいいのに!

冒頭のアスカム祐一郎先生の歌声が、ものすごく優しく包容力が増していたので、すでに泣きはじめ、次の加藤ロビンとアンサンブルさんたち、それからオケの音までもが、絶妙なまとまりでひとつとなって、落涙。
♪人生は一度きり
なんでしょうね、加藤ロビンと皆さんとが信頼で繋がってるように感じて泣けました。

シングルキャストのガーディナー禅猊下、ルナール圭吾閣下、和音さん、涼風さん。東京の頃から、さらに役を深めてます。開幕時も素晴らしかったのに、それ以上とは。

最初に観たときも、花總&加藤の組み合わせが好きだったんですが、ラストもやはりこの2人の組み合わせが好きだったな。王女さまと、流れ者が違和感なく感じられる。
朗々と歌うメンバーのなかで、加藤さんの荒削りな感じの居住まいも声も、お互いを映す鏡のようで、いい対比。
2人ともに、少し翳りがある雰囲気が困難に立ち向かう役にもぴったりだわー。

花總さんの驚くべき才能、ヅカ時代から見てたかった(遅い)と歯軋りです! 19歳に何の違和感もない、フレッシュな声、演技、それなのに堂々とした立ち居振る舞いは、王女らしいプライドを感じられるし、ロビンに向ける心や王位につくことへの覚悟の決め方などは、深化の度合いが素晴らしい。

お勉強の時間で入ってくるアスカム先生。聖書を夢中で読んでいるベス。ティンダルの聖書!と注意する先生やキャットに、これは父の形見、姉メアリも咎めないわ、とたおやかにお返事。なんというお上品さ・・・ 
そして、ね?って小首を同時に傾げる祐一郎と涼風さん! お2人!可愛すぎだから!! 私も混ざって、小首かしげたい。

ガーディナー大司教。
びーっくりしました。東京で見たときは、この初登場場面にもコミカルな雰囲気をちょっと混ぜていたと思ったけど。
前楽の禅さんは、威圧的ってほどじゃないのに、有無を言わせぬ感じがあって怖かった。カトリックとプロテスタントの間の壁が、少しの余裕もない対立で、かつプロテスタントのベスが迫害されていることも分かる場面になりました。

♪我が父は王
聖書を奪われてプンスカ怒ってるんじゃないの。いや、怒ってるんだけど、怒りの歌じゃない。そういうとき、私はあの父の娘、王女なのだ、王女らしく振舞って王女に相応しい扱いをされるべきなんだ、っていう歌なんですね(平野さんはかなり東京公演では怒って歌ってた)
むしろ、アスカム先生のほうは怒りをストレートに出すように変わったかも。その素直さが、ベスに影響与えているに違いないと思ったよ。キャットと共に、父母のような役割もしてる雰囲気ですもの。
 
ここ、怒りの雰囲気を分りやすく出さないことで(王家の方は簡単に感情を出したりはしないでしょうし)、だけどロビン相手のときに感情が解放されるんだなっていうことが、より浮かび上がるようになってたと思います。

♪俺は流れ者
ここも変わりましたー。というか、表現が広がって素晴らしかった。
加藤さん、硬派さは変わらぬが声に艶が出てます! 余裕が出来たのね、いいわー! 聴いてるベスも、かなり最初からロビンに興味と好ましさを感じてる風に。可愛いーっ

曲者ですか!
あまりに涼風さんが毎度りりしいので、忍者を思い出してしまう。くせもの・・・不審者っていうのも現代的だし、難しいなぁ
頭がおかしいんじゃないの!
これも、このセリフにした意図を図りかねるところがあります。ロビンといると貴族社会のルールから外れた自由な人間になる、というのは分かるんだけど。会って2回目くらいで、ここまでくだけた言い方するのは早いような。
私ですら、相手に聞こえる状態ではこの言葉は言わない(相当、失礼だし乱暴な言い方に感じますが、どうですか)

♪邪悪
吉沢メアリも、張り詰めすぎてたところから、女王らしい余裕が生まれていた。ベスなんか、下の下だわとでもいうかのような。
禅猊下は、厳しさを崩さない。後に分るが、ルナールの前ではかわいこちゃんになるのだった・・・猊下ったら!

♪悪魔と踊らないで
難しい曲も、迫力に伸びやかさも加わって、迷いなくベスから悪魔を追い出そうと堂々とした歌いっぷりの吉沢さん。カテコては、格闘したというお話だったけれど、その結果はご存知。
侍女たちの踊りもますますノリのいいダンスに感じたし、曲と歌とダンスが嵌ってるなぁと思う。女王、侍女&騎士、の呼吸もぴったりに。

0 件のコメント:

コメントを投稿