2014/09/25

レディ・ベスの成長と、光明

何よりも、祐一郎さんの麗しい姿と声が聴けたことが嬉しかった『レディ・ベス』の開幕から、数ヶ月おいての、前楽&大千秋楽でした。
まだ夢のなかにいるような気分でいます。名古屋に行けた幸せを噛み締めないとね。

帝劇でのスタート、そう1ヶ月経ても、まだそれはありませんでした。地方公演のなかで、各キャストがそれぞれに役に向き合い、共演者との掛け合い、演出家の直し・・・などなどによって、私の目には、東京で見たものとは違う一面がくっきりと見えてました

東京では、エリザベス1世の物語を、あまーいあまーいロマンス風味に仕立てたのね。恋か、玉座か、悩むわね、と言った程度にしか見えてなかった。のですが、

名古屋の2公演 前楽【花ベス&加藤ロビン、吉沢メアリ】千秋楽【平野ベス&育三郎ロビン、未来メアリ】、両コンビともにはっきり。
恋も含めての、エリザベスの若き日の成長物語へと見え方が変わりました。

セリフもほとんど同じ。なので、演じ方、俳優さんたちの役への理解の深まりなのだと思う。すごいなぁ すごいすごい。

一見、つらい日々から逃れるかのようにロビンの住む自由な世界へ憧れている、と短絡的に見えてたのが(良く考えればエリザベスはアスカム先生の1番の生徒なんだから、そんな馬鹿な子ではなかったはず)、自分の立場を理解するがゆえに、ロビンへ向けた気持ちも逃避なんて失礼なレベルじゃなく、全身全霊で対面してたのよー! 

いつでも分ってあげるのが遅くて、ゴメン。

アスカム先生も、より大きく優しくベスを見守っていました。「あってはならない!」もはっきりとしたセリフになっていたのに、それはベス本人に向って怒ったというよりも、世界のありようはベスの治世となって、より良きものになるはずだ、と、(神)に向って気持ちが爆発したようにも見えます。

先生は、ベスに向って怒ったのなら、ベスのほうを向いて怒るんだと思うのね。ベスの教育係としての自分に向って言ったのかもしれないが、ベス個人への怒りではなかったと思う。
ただ、ベス個人に向けたような感情的な言い方をしてしまったご自身を、言ったその後に恥じ入っておられ、あなたには全て教えたと去っていくの。先生ー!

このときベスは、自分に怒っている、と悲しく感じたようだけれど、戴冠のときの2人のアイコンタクトを見れば、分かり合えてるのが伝わります。
信頼すること、が、何よりアスカム先生の伝えたかったことかもしれない。

翻訳を担当した薛 珠麗さんが、まだまだ良くできる、というような意味のついーとをされていて、そうそう!と思って再演を今から首を長くして待ちたい。それが光明、あまいラブロマンスじゃなかったね、という道筋がきちんと示せたのが光明。

ふう、しばらく夢のなか。


アルジャーノン→レディ・ベスと2公演ずつ見た4日間。チケットの価格について考えてしまう。
結論だけいうと、この二つがほぼ同じ料金なのが納得いかん・・・ 東宝/帝劇公演が日本の最高峰レベルだと思うんだけど。なんでなんで。

浦井くんたち(安寿さん!素敵でした)は悪くなかったんですけど、いや、とても良かったんですけどね、ミュージカルにしてる効果あるかしらねーと半分くらいの歌で首を傾げつつだったのです。歌謡曲風なら、三木たかしくらい貫いてほしい。オケや出演者数だけで価格が決まるものでもないでしょうけれど、内訳うかがいたいものだ。
浦井くんのまごころに包まれる(命削ってる)演技はお勧めしたいと思います。その分、他のイマイチ感のある点が気になってしまうんだけどね。ほぼ役者は素晴らしいです。
ひとりすごく音が取れないひとがいて、つらい。

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