2004/05/14

Diamond World

16日までというので駆け込み、東京国立博物館へ「空海と高野山」展へ。

高野山は「山の正倉院」とも言われているそうです。山奥にあるゆえに戦火を免れ、僧たちによって大事に引き継がれてきたんですね。しかも、高野山に行ったところで、今回のように一度に見られるとは限りません。なんてお得なんでしょう(まぁ 仏像などは本堂で拝見するのが一番相応しいけれども)。

最近、こういう展示の解説にある英文を読むのがちょっとした楽しみです。ものすごく直訳(意味そのものを)してることが多いので、日本語の美術用語とか仏教用語の意味が分からない時は案外お役立ち。

今回の収穫は、
金剛界 <Diamond World>となっていたこと~ コンゴウカイというと、いかめしい感じがしますが。ダイアモンドワールドなら、あらパラダイスよねぇ素敵!な気分です。

空海は「三筆」の一人。教科書で見たくらいでは何が良いのか?と素通りしていましたが、さて。
おおらかとは違う、集中している感じがありながら、伸びていくような大きさも感じられる手でした。やはり字の上手な方は良いですね。学生のころは筆を持ったこともあるので、あぁいう線を書くには筋力が要るんだよなぁ・・・とほれぼれいたしました。

そしてそして、私、涙でそうでした。

まず、運慶の童子たち。あぁこれは素敵ねぇと見てみると、運慶作とありました。
それは非常に「そこに居る」存在感のある立ち姿でした。表情は幼さと凛々しさの混在した様子です。左右どちらかに体重を少し掛け、ぐっと我々を見つめています。とっても全体のバランスが取れていてほんと、美しい。
着物の襞の造形も非常に立体的で、形式美だけてなく、カタチそのものに見とれてしまいます。

しかし童子が囲んでいる中央にいる不動明王像は運慶作ではありません。さらに当時の貴族趣味だそうですが、顔が怖くない・・・のです。ぴりっとしないというか。余計に運慶作の方が胸を打ちました。人ごみのなか、感激しながら長いこと眺めました。

かわって快慶作の四天王立像。こちらはとにかく気迫のある表情と動きで見入ってしまいました。運慶と比べると厳しい表情です。体も力強いです。しかしただ筋骨逞しい、というのではありません。衣や動きには流れるような動きがありました。
特に<増長天>は腰の動きも見事、刀を振り上げた腕も見事、もう「どーよ!」です。素晴らしい~

ライトが作る影が像たちの背後に現れていたのですが、これまた見事でした。シルエットだけでも全体のバランスの良さに見とれます。4つの像がハァ!と並ぶ姿を見ていたら、戦隊ヒーローだなぁと・・・・失礼。でも、テレビも漫画もない時代なら、人の心には悪を払うヒーローだったかも、です。

宗教に出てくる神仏は、あくまで想像上のものと思ってました。ですが今日の運慶快慶作の像を見ていたら、「在る」と素直に感じられるものなのだと見直しました。不思議な感じ。

他にも次から次へと灌頂法具や曼荼羅や涅槃図や、その他高野山のお宝を拝見。もうお腹いっぱいです。
図録を購入するかどうか悩みましたが、置き場に困るので断念。

会いたくなったら次は高野山に行く口実にしよう。大学(カトリック系)で『平家物語』を講義してくれたシスターも、長年お勤めしたご褒美に高野山に行ったと嬉しそうに話してくれてたっけ。

ただひとつ、てぬぐいコレクター心にファイアなものが。三鈷杵・独鈷杵がデザインされたものがあったので、購入。素敵・・・魔除けになりそうです。



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