2018/06/11

『ヘンリー五世』5/30 キングになった浦井くん

@新国立劇場中劇場

翻訳/小田島雄志
演出/鵜山仁

王ヘンリー五世/浦井健治
ベッドフォード公、説明役/亀田佳明
グロスター公、騎士トマス・グレー、説明役/鈴木陽丈
エクセター公/浅野雅博
ソールズベリー伯、騎士マックモリス、説明役/櫻井章喜
ウェスモランド伯/水野龍司
キャンタベリー大司教、オルレアン公/田代隆秀
イーリー司教、バーガンディー公/勝部演之
ケンブリッジ伯、バーボン公、説明役/下総源太朗
スクループ卿、マイケル・ウィリアムズ、説明役/清原達之
騎士トマス・アービンガム、ハーフラー市長/金内喜久夫
騎士ガワー/吉村直
騎士フルーエリン/横田英司
騎士ジェーミー、モントジョイ、イギリス王への使節、説明役/内藤裕志
ジョン・ベーツ、ニム、説明役/小長谷勝彦
アレグザンダー・コート、伝令、使者、説明役/小比類巻諒介
ピストル/岡本健一
バードルフ/松角洋平
小姓/田中菜生
ネル、アリス、説明役/那須佐代子

シャルル六世/立川三貴
ルイ/木下浩之
フランス軍司令官/鍛冶直人
ランビュアズ、説明役、/玲央バルトナー
イギリス王への使節、フランス兵、使者、説明役/川辺邦弘

イザベル、説明役/塩田朋子
キャサリン、説明役/中嶋朋子

ストーリー的に連続性があるヘンリー4世を見逃したことが悔やまれる。(体調不良で遠征を直前キャンセルした)シリーズとしては、リチャード3世、ヘンリー5世と見ることができたものの、こうなると全部見ておきたかったです。
浦井健治成長シリーズ。

ハル王子がヘンリー5世として即位した若き王のフランスとの戦争を描くもの、英vs仏の構図がはっきりしていて、イングランドの勝利であり、キャサリンを妻に迎える完全勝利な展開で、イングランドの観客になったつもりで楽しく観た。

浦井ヘンリー王の真っ白い衣装、王冠が戦闘によって血に染まっていき、最後は深紅へ変わる。視覚的にも親切。

諸侯の衣装が美しく、特にフランス。青、深い青、ユリの刺繍。イングランドを侮ったお洒落軍団。毎回髪を整えたりで忙しい役の方がいて、面白かったです。

浦井くんが王の雰囲気をまとい始めていて、長いシリーズとして成長してきたことに思いを馳せるいちファンでもありました。余裕、出てきたよ。

セリフの響き方については、訓練あるのみ、もともとの声の質もあるだろうし。文学座の皆さんの声の通り方を聴いていると、ここにどうやったら到達できるのかと興味がわきます。
浦井くん、セリフになると声から艶が消えるんだよね。それでも聴きやすく言うことはできるのかもしれないんだけど、素人には分からぬのだった。

そして、横田さんのウェールジュ(ウェールズ人の役で、すごく訛っている)が最高にチャーミングで飾っておきたいくらいだった。さ行がシャシュショになってます。ネギを帽子につけて、郷土愛あふれる騎士でした。

ピストルとも住む世界が変わって、交流場面がないもののピストルの状況が分かるなど、連続で見ている客にはサービス。

中嶋朋子さん、初々しくてかわいい。戦争に負けたし求婚を断る選択肢もないし、とりあえず言葉もお互いの国の言葉が不自由だし、負けるとこんなだよねという場面なのに、意外とやるしかない派の前向きなプリンセスなので、悲壮感はない。
そして浦井ヘンリー王が慌てたりなんだりで可愛いので、うっかりほのぼのしそうになりますが、女の立場をしょんぼりして思ってみたり(いつものこと)。

全体的に、イングランドバンザイ、フランスを小ばかにした脚本で、演出も両国をはっきり見分けられるようしてくれており、下々の兵士であっても品がある、鵜山さんはいつもそうかな? 人間に品がありました。

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