2017/12/30

『ペール・ギュント』12/20 濃いめで明瞭 1幕は下半身の導きのまま

@世田谷パブリックシアター
(日韓文化交流企画 世田谷パブリックシアター開場20周年記念公演)

【原作】ヘンリック・イプセン 
【翻訳】クァク ボクロク
【上演台本・演出】ヤン ジョンウン 
【上演台本翻訳】石川樹里【美術】乘峯雅寛 【照明】小笠原純 
【音楽】国広和毅 【音響】尾崎弘征【衣裳】原まさみ 
【ヘアメイク】鎌田直樹 【ムーブメント】木佐貫邦子
【演出助手】城田美樹 キム ジミン 【舞台監督】北条孝

【出演】浦井健治 趣里 万里紗 莉奈 梅村綾子 辻田暁 岡崎さつき
浅野雅博 石橋徹郎 碓井将大 古河耕史いわいのふ健 今津雅晴 
チョウ ヨンホ キム デジン イ ファジョン キム ボムジン 
ソ ドンオ ユン ダギョン マルシア

【演出】ヤン・ジョンウン

原作を読むひまがなく、児童用に絵本になったものと、簡易版に直してあるものを2冊目を通してから行きました。子供用でも途中がヒドイので、どうやらペールはひどい奴だな、という認識でした。グリークのペール・ギュント組曲も有名なので知ってました。こんなろくでなしのための組曲だったとは!

実際、舞台上のペールはひどかった。悪人ではないのに、人を思いやることがなく自分中心で気分のままにその場その場で生きてる人物でした。

インタビューなどで、 「自分探し」というワードをよく出していたので、今頃自分探し?と疑問でした。少し前の「本当の自分」ということではなくて、生き方を探す旅、うーん、生きることは旅、という言葉のほうが私にはしっくり来た感じです。

ペールがあまりにも(特に1幕)何も考えず「今」自分が有利・得になることしか判断基準がなく、下半身の赴くままに生きていたので、これは「自分」と「他人」の区別すらついてないのでは・・・ どこに「自分探し」が?と疑問符だらけ。

最初に、資産のある村の花嫁を結婚式で奪って楽しんだあとは、もう飽きたってことでポイ。戻れないから自分と結婚してくれとすがる花嫁を足蹴! ひどい。そして花嫁は自分を抱いてくれと服を脱いで上半身裸。え、脱ぐの。それがもう、恥じらいとか1ミリもないモノでしかないオッパイなので、色気の欠片もないの。 
  ペールを誘うならもう少し可愛いほうが・・・と思ったが、そもそもペールがろくでなしなので、どんな色気を出しても結果は同じかもしれませんね。

あと、オッパイ出してたのはトロール王の娘。こちらも下半身の声のままに、楽しそうなペールだった。若干かわいくて、チラッと見せちゃうよと胸を開けてたのでした。

デスメタルなのかしら、ズドーンギュイーンのギターに合わせ、トロールたちとオムツ姿の尻尾を振ったり、たばこを吸う浦井ペール。なかなか悪い男もいい・・・素敵。
サルエルパンツというか、モモンガパンツを履いてぶらぶら歩く浦井くん。ふふふ、ほんとに素敵で! ろくでなしなのに、頬が緩んでしまっていたな。役としては、ちゃんと無邪気で無計画なろくでなしでしたよー。

1幕のラストでは、ずっとペールに愛情を注いでくれた母が亡くなります。マルシアがストプレ初めてって意外すぎたのですが、とても堂々とした母で良かったです。神様にお祈りしたことが通じたのかな。ペールが帰ってきたし、ピンチには鐘を鳴らしたし。

で、ソールヴェイ(趣里ちゃんが可愛くて可愛くて、細くて小柄なのに目を引きます)に君だけは違う・・・、待っててくれと言い残して去っていくのでした。

もちろん、全然帰って来ないんですけど、いつ帰ってくるとは言ってないし、嘘はついてないんですね。ソールヴェイは待っていることを不幸とは思っていないと答えいて、確かに心の満足は側にいるかどうかだけじゃないよねと深く感銘を受けてました(私の夫もほとんど外国にいるので、気持ち分かる!)

1幕は、ほんとに未来もなにもなくて、ただ今を瞬発的に反応だけで生きてるペールですが、母の死とソールヴェイによって、家を建てるという目標を立てます。家かぁ・・・君に最も必要ないものじゃ? 流浪の男の夢は「家」
母の死、実家がなくなったことで、亡き母やソールヴェイに守られるような還るべき家を目指したのかなと思いました。

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