2015/09/16

『貴婦人の訪問』5 20億ユーロは正義の値段

Scene4 ホテル“黄金の天使”のなか
♪クレアに乾杯 マティアス/全員
まーだーむーーーーっにーーー!!
と、キーヨが大発声の段。にー、のとこで若干声がひっくり返るのがチャームポイントだったか・・・
マダムからいいお話があるのかなぁって期待してます。

ギュレンのために!  ・・・・20億ユーロを寄付します!
額をいう前のタメが長かった。もったいぶって、やり手だなぁクレア。金の威力を骨の髄まで分かってるって感じです。

大喜びのギュレンのみなさん。テーブルの対面に座っていたアルフも、当然大喜び。さっきの森での甘く切ない会話が効いたぜーっ これ以上ないハイトーンボイスというか裏声かわいい声で、クレアを称えてるアルフ。このあとに続く言葉を知らないうちは、喜んでいられるのだ。

条件がひとつある 私への正義を買うの
ヨハネス:正義は金で買えない!
20億は正義の値段よ♪

音楽がぐっと加速度があがって、様子見のメロディからギュイーンとギアチェンジ、不穏さと不安さがつのっていくのが上手くあらわされてました。
ヨハネス牧師の、「正義は金で買えない」に対して「買えるわ。20億なら」のクレア。法外な金がもつ欲望の吸引力のようなもの、熟知してるのよね・・・

嬉しいなぁとにこにこしてるアルフ、条件も、なんなりとって顔だ。

そして条件とはただひとつアルフレッドが

・・・・死ぬこと!

ここも、タメが入りますねー。カッコよくて痺れたわ。ひどいこと言ってるけど、クレアにはクレアの筋があって、ブレがないのよね。

いつまでに、どうやって、と条件をつけずに「死ぬこと」としたこその、残酷さというか周到さがのちのち骨に染みてきますが、宴席で、多額の寄付の条件は市民の死だと言われたら、そりゃ驚きで反発します。

マチルデ:いやよアルフレッド!
奥様はそうでしょうとも。クレアは挨拶もしてくれなかったしね。はぁ?ってことだよね。
何十年も昔のことだ!
森でのスットコドッコイでのん気な態度の訳がこれで分かるというもの。あんなひどいことしておいて、過去の終ったことだと勝手に思ってたのだった。

クレア涼風さんの声が、余裕のある態度で、かつ真剣。

これは見終わっての感想だけど、クレアはこの町がどうなるのか、きちんと予想できてたし、アルフがああなることも予想した上で、この申し出をしてる。まさか、本当に死ぬとは、なんて夢見たいなことは思ってなかったと思う。

ただ、本当に彼が死んだときに、自分がどう感じるのかについて少し見誤ったところがあったのかなと(思った以上に今のアルフレッドを失う喪失感が大きかったのではないかと)

原作台本では、棺を持込んだうえでアルフレッドが死んだら、金を出す、と言っていて。剥製にでもしそうな・・・ そのほうがストレートに怖いんですが、ミュージカル版では愛の物語に重点を移したので、ここもソフトに変更したのでしょうね。

マティアス:飢え死にしたほうがマシだ!
とか。他の人も口々に抗議する。

市長として、申し出を断る! と叫んだのに対し
よぉーく考えて・・・・・お返事を!
きりっと言い捨てて、自室に戻るクレア。私が勝つ、と自信たっぷり。

♪とんでもない
アルフレッド/クレア/マティアス/クラウス/ゲルハルト/ヨハネス/客たち

この作品の音楽は、すごく意図が明快でズババーン!と胸に響く。この曲もカッコよくて痺れました。
あと振り付けも、手を叩いたり、ぶるぶる震えてたり、面白かったー!

切れ味のいいダンスしてたのは、禅・クラウス校長。衣装のジャケットの裾が長いコートタイプだったので、ターンするとカッコいいです。キーヨは丸太がダンス? でも恰幅言い分、こちらも迫力ある。
今さんゲルハルトは、剛という感じで、制御されてる。
中山ヨハネス、この段階ではそれほどでもないけれど、後半たががハズレたときの壊れダンスがとても怖かった。ここでは恐怖ととまどいを表現といったあたり。

条件があまりに突飛だから、まずは拒否してます。
とんでもなーい♪ くるってるんだ♪

すごく耳に残ります! ラストの「あああああーーー!」も怖いわー。

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