2015/09/08

『貴婦人の訪問』3 愛は今も~♪ 振り返れば、残酷なことばかり言うアルフ

Scene2 コンラーツヴァイラーの森
♪愛は今も 
アルフレッド/クレア/若いアルフレッド/若いクレア

木立のセットがするすると上から降りてきて、ベンチのある森の中。
下手側で待っているアルフ、上手の奥からやってくるクレア。
なんかこう、キラキラキラ~♪っていう音が入ってから、穏やかなメロディが。

クレア様、ジャケットを脱いで薄い大判のショールをゆったりと纏っている。シルバーの刺繍なのかなぁ キレイでした。マネしたい。

美しいメロディ、若いキラキラしてたときの2人が一緒に舞台上いる、二重写しの構造も分かりやすくてよかったですね。

いつだって想ってた。
連絡くれなかったわ。

ねーーーー!!(って、私は誰に向って・・・)
あんたー! アタシを置き去りにしたくせに、「何時だって想ってた」とか、ヌケヌケと良く言えたものだわ。

まぁこの時点では、付き合ってたけど別れて、マチルデと結婚した過去、が明らかになるだけだった。あきらめたーきみのことは~♪
だけど。
二度目に見る時には、「あきらめた?」なにそれ。何があったか知ってる立場なので、良くも言えたものだ!の気分になり、クレアも内心はそう感じてるはずね、と勝手に想像しちゃうのだった。

茶色のタオルで、ササッとベンチの上を掃くアルフ。日本の男子にはそんなことされた経験ないので、アルフはマメな男の人、と捉えちゃうんですが。それでいいですか。
さっきはマチルデのスカートを払ってあげてたしね、マメマメしいんだな。

わたしの黒いヒョウ。
俺の可愛いノラ。

でもって、クレアは黒ヒョウをギュレンに連れて来てるんだねー。フフフ。
そうだノラってどういう意味? あだ名ってことは、「野良」なのかしら?

楽しかった、と言い合ってから、この上なく美しいメロディの♪愛は今もへと展開する。

しかも若い2人を演じる飯野さんと寺元さんの2人が、爽やかで。例えるなら「劇団四季」みたいな爽やかさ。ウェストサイドのトニーとマリアみたいに美しい。
そしてそれは思い出のなかの2人。月日は過去を美しい思い出に変えているに違いない、と思いながら。

同じメロディを歌いつつ、のちの展開を見ると、クレアがどんな気持ちでいるんだろうなぁと、切なさMAXになります。

一方、アルフは「過去の美しい思い出」を2人で共有しているという態度のまま。おお、残酷なり。

君なしの人生は地獄だった。
マチルデと一緒になって、幸せじゃなかったと?

いけしゃしゃあと! 結婚生活の悪口を昔の恋人にいうひとは最低で信用できないので、この美しい思い出ソングのなかで、ずんずんとアルフの評価は下がっていくのだった。
ムダにいい声でさー、祐一郎が。どんどんダメ男ぶりを見せるのだ。なんだよ、超カッコいい声ってどういうことなのよ。

再会冒頭は固い口調だった2人、歌にあわせて昔を思い出してちょっとほぐれた感じ。

子どもは?
なんて、クレア聞いてあげてる(絶対、そんなこと知ってるのに違いないが)
君はいるの?

ギャーーー!!最低! 
これも、この時点では明らかにされないことですが、のちにアルフとの間の子どもの認知裁判で偽証され、しかも納屋から転落。赤ちゃんを失い、足も障害が残ったということが。

ますます、どの口が言う!なことなんですが、たぶんですね・・・たぶん、アルフの脳内では記憶が都合よく書き換えられてたんじゃないかと。でなきゃここまで酷いこと言えないと思うわ。
若い日の過ちだが、クレアは大富豪になったんだし、「俺と一緒にならなくてよかった」んだ、と本気で考えてる。どれだけ深く傷つけたかなど、想像しなかったんだろうなぁ

すでに終ったこと、それゆえに美しい思い出箱に入れてたのだな。
ハートのマーク~♪ 

愛し合う若い2人は、ただその時、今この時を謳歌してたのでしょう。でも、子どもが出来たとなると、養わなくてはならず。アルフにはそれが重荷となり、しかも雑貨屋の娘、マチルデが自分に気があると知っていたから、仕事と妻がセットになったマチルデを取った。

思慮のないことをしたその報いを、いま受けようとしているアルフなのだ。
と言うわけで、アルフは冒頭が最高に素敵なおじさまで、あとは落ちるばかり。ついでに、町のみんなも、どんどんダメな方に落ちていく。

アルフ酷いという気持ちと全くかみ合わない、素敵な曲を涼風さんと祐一郎がデュエットしてくれました。
わりと能天気に歌う(神経質なひとに見えない)祐一郎と、考えてそうな(なにか含みがある)涼風さんの、微妙な距離感も面白いシーンでした。

2 件のコメント:

  1. みゆきちゃん2015/09/11 0:07

    そうなんですよね~。
    祐一郎さんフィルターを通して見てしまうので、
    可愛さ(?)にキュンキュン(^^;してたのですが、
    セリフの字面だけ思い返してみると、
    結構な最低男なんですよね(笑)。
    それ故か、後から怖さがじわじわ来るのでした。

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    1. 冷静になってみれば、どうしようもない男なのですけれどねー。
      祐一郎さまが可愛すぎて、うっかり忘れそうになります。
      素敵だからこそ、愛されてしまうのでしょうか?
      罪なお方。

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