2016/06/20

『あわれ彼女は娼婦』6/16昼 1 むごい、何に対してかを考えてる

新国立劇場 中劇場

ジョン・フォード/作 小田島雄志/翻訳
栗山民也/演出

ジョバンニ/浦井健治 アナベラ/蒼井優

プターナ(アナベラ乳母)/西尾まり
フッローリオ(パルマ市民・兄妹の父)/石田圭祐

ボナヴェンチュラ修道士/大鷹明良

ソランゾ/伊礼彼方
ヴァスケス(ソランゾ召使)/横田栄司

ドナード/春海四方
ポジオ(バーゲット召使)/佐藤誓
バーゲット/野坂弘

グリマルディ(ローマ市民)/前田一世

リチャーデット(偽医者)/浅野雅博
ヒポリタ(リチャーデット妻)/宮菜穂子
フィロティス(リチャーデット姪)/デジルバ安奈

川口高志 頼田昴治 寺内淳志 峰崎亮介
坂川慶成 鈴木崇乃 斉藤綾香 高田実那
大胡愛恵

枢機卿(ローマ教皇使節)/中嶋しゅう

マリンバ 中村友子

前方座席を取って舞台を広くしていたため、前のほうだなーと思って行ったら最前席でした。ムフーッ

一言で○○なお話、とくくり難いなぁ
ひとつには、時代背景に造形がないと理解がすごく浅くなる。
それから、私は自分が女だから「女の側」に立って見てしまう(それもひとつの見方ではあるけれど)

ショッキングな内容なのに、静けさがただよう不思議な感じ。
バーケットなど賑やかし役だと思っていたら、すごく哀しい最期となる。台本読んで(「エリザベス朝演劇集Ⅴ」収録のもの)登場人物多いなーと思ったのも、いざ始まると無駄人物がいないのだった。

そういえば、私が見てる栗山さん演出「イリアス」「ブラックバード」(あ、二つとも内野聖陽主演だ)「スリル・ミー」
どれも、極限でありながら妙な静けさがあったかも。人物から距離を置いてみてる感じがしますね。舞台装置も構築的だから、余計にそう感じるのだろうな。

という点から思えば「MA(マリー・アントワネット)」があんな感じになるのも成程ねと思うわ。MAはまた見たいような気がするんだけど、リピートするのに体力要る。「デスノート」はどうだっけ。浦井くんしか見てなかったので記憶が。

・劇場を出ていまに至るまで、アナベラが死の間際で発した「むごい!」がものすごく響いていて、それがアナベラのその瞬間の気持ちだったのかと思うと、カナシミが襲ってくる。
アナベラは兄のために死んだのだと思ったけど、兄の気持ちと言えば、アナベラを他のやつらのものにしたくないっていう独占欲だよね? むごい!

・浦井ジョバンニは冒頭からラストまで自分の世界のなかで生きていた。現代風にいうと、あいつやばい

・妹アナベラは、半分は現実につながれている(特に身ごもってからは現実を見る目を持った) イタリア一の美女というのがいまいちだが、名家のお嬢さま風。

・横田ヴァスケスの忠臣ぶりがカッコ良すぎて、この作品の目玉。キャー!

・不義を働いたヒポリタとソランゾの冷たい関係、美貌の伊礼ソランゾが美しいので憎みきれないような錯覚が起こる。でも酷いんだけどね。

つづく

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