2016/02/10

『TDV』名古屋編 3 二人の影伯爵さま

■影伯爵さま
もうすぐ天国かもしれないくらい上(5階)から見下ろしていたにも関わらず、
15日(彼の千秋楽)の森山開次さんはやはり素晴らしかった。

遠くからでも、重力を無視した軽やかなダンスは同じで、遠い分、まさに影。
妖しげでした。
初演から考えると、けっこう男っぽさも出すように変化してきたような。分かりやすい男性性じゃないのですが。
自分がサラだったら影伯爵さまのオスな魅力をどう感じるか、と見ていると、まぁホントに素敵というかサラ側の気持ちを斟酌しないで、とにかく誘ってくるー!

魅力的な大人の男性に君は素敵、と言われて誘われたら、外の世界に出たがっているサラならば、その手を取ってしまうわ。

本体(祐一郎)の影、という役割で、二人で踊り歌うなかで一人では出せない伯爵の苦悩や人生の奥行きを見せてくれました。
祐一郎が諦観のおももちなのかな?と思わせていたら、開次さんは諦めきれない、という苦しみと喜びを表現なさったり。
相乗効果というのはこういうことでしたねー。

新上裕也さん。
帝劇開幕したとき、私は書いたのです。落ち着きと思慮深さが新上影伯爵に!と。
帝劇後半も同じ印象だったのになー。

名古屋で再会した新上さん、パワフルさが復活!!(東京がそうじゃなかったわけではないのだけど、すごく余裕と落ち着きを感じだものだから)
余裕ある態度に加え、野獣系パワフルさも復活してたので、嬉しい悲鳴。

カテコで祐一郎の隣に並んだとき、そんなに巨大な方ではないのか・・・と驚きました。印象では大きめな方、という雰囲気なのです。踊っているときにどれだけのものを発散して見せているかなのですね。
あと妖しさ異形さがつるーっと消えて、謙虚に立つお姿が普通のお兄ちゃんになるのも、心底驚くわ。

どちらの影伯爵さまも持ち味があって、いいキャスティングだなー。

伯爵の生命力というか、欲望の一端を激しく見せていただいたわ。開次さんが名もなきもの=欲望そのものとの闘い、とすれば、新上さんは己の欲望に意味があるのではないか、と苦悩しているような印象を持ちました。

あと普段、ダンス公演を見ないような私にも「ダンスってすごい」と開眼させてくれた。人間の身体表現のすごさを教えてくれました。
TDV見てから、開次さんのダンス公演に行ったりする機会をつくったり。感謝だわ。

初演のころなどは俳優パート、ダンサーパート、と分けてみていたけれど、練り上げられた公演となってきた今では、二つは不可分でお互いを盛り上げあっています。

またお会いできますように。

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