2020/12/31

『オトコ・フタリ』12/21夜、12/22昼 祐一郎さま、知寿さん最高

 脚本と演出に若干の不満が残ったものの、山口祐一郎さま、保坂知寿さま、浦井健治くん。声の出演の大塚千弘ちゃん。

はぁ みんな素敵すぎて、不満もいくつか思いつくものの、まぁいいかこれはお祭りだから、となります。そして3人とも品があります。年末にほっこりする小品。

祐一郎さま。
現代のリラックスした衣装、シンプルな白シャツ、ロングカーデ、素足にクロックス(かな?) 腕まくりした腕、長い脚、全部素敵すぎて鼻血出ます。

衣装は前田文子さん。いい仕事です。こんなにシンプルな衣装の祐一郎さんは私初めてみたかも。ボロいバルジャンっていうのはあったけど、現代の人でシンプルって初かな。本体が完璧だと何でも着こなしてしまうんだな・・・

視線の使いかた、声の出し方、いい方。すっごく高度な使い分け。
何気ない動きも全部考えられていて、冬馬くんが話すときは邪魔しないとか、自分の場面のときはしっかりメリハリつけるとか、浦井くんもいろいろ話してくれてますが、レジェンドだなぁと新ためて。

ミュージカルの時って、祐一郎さまは歌声の素晴らしさや恵まれた体格に先に目が行ってしまうけれど、ストプレになると演劇の技量も高いのね・・・と。今さら、今ごろ感銘を受けました。すごい人だなと思います。

色んな声が使われて、耳が幸福で満たされました。
1幕では自分本位の大人の男性、といういかにもな雰囲気なのが、好子さん相手にはくだけた感じで話すところとか、冬馬くんをからかうのを楽しくなってるな、とか。深入りしたくないはずなのに、つい気になってしまうところとか、画伯、可愛い。

絵筆を動かしてる腕や背中が美しい。上着の裾が揺れるのが素敵、冬馬くんの青い発言にフン、と長い脚を組み替えるのも、愛の絵が描けないーとカウチでジタバタするのも。シェリーの杯やマグカップを持つ手も。
ぜんぶ素敵すぎて死にそうっていうか、寿命伸びたていうか。

それから、中島みゆき『糸』を小声でささやくように歌いながら愛の絵に取り掛かる場面。ささやいても上手かった。ブレません。上手く歌ってないのに上手かった。

何もかも良かった。

知寿さん。
祐一郎さんもすごい女優さんだってお話してましたけど、間の取り方とか、相手との合わせ方がごくごく自然で、自然すぎて技巧を感じさせない巧みさが。

所作などもキレイだし、けっこう画伯にぐいぐい意見通していくのに、押しつけがましさより、貴女が言うなら聞いちゃうって思わせる可愛らしさがあるのよね。
仕事ができるんだろうなぁ、信頼されてるんだな、と。

で、実は好子さんの秘密は恭一郎さんは知っていて、その上であの態度だったという展開となり、先生を転がしてそうな好子さんは、先生の掌の上だったと分かります。

1幕でも、恭一郎さんと好子さんは距離を保ちつつ、良い関係に思えた分、それは互いに言わないでいた心のうちを隠しつつの関係と分かってからは、余計に適切な距離感でいた時が輝いて見えました。良い面で付き合ってきた、っていう感じでしょうか。

その点、恭一郎さんの心情って実のところちょっと見えにくいところがあったかも。言語かしないあたりに、画家らしさを思ったりしました。聞いてみたかったですけどね。

一度自分で飲み込んで、しかも絵に表現して、それを客観視するくらいの時間の経過がないと、言葉にしない人なのかなと思いました。

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