2015/08/23

『エリザベート』7/23昼 3 小鳥ちゃんをうまく叱れなかった育三郎

ざっとした感想としては、良い手直しだったんじゃないかなと思います。細かく、前のほうが好きだったというところも当然あるんですが、エリザベートを一生に一度しか見ないひとには、新演出版のほうがシシィストーリーとして流れが掴みやすくなりました。

その分、他のキャストの見せ場が少し後ろに下がったような印象。

・ルキーニ 
育三郎ルキのせいかもしれないが、アクがなくなりました。いや、初演のお兄ちゃんがアク強すぎなので、これは仕方ない点。
「狂言回し」の「回し」部分が押さえられました。説明係ってところでしょうか。

役と育三郎の重なりがまだ日が浅いため、小鳥ちゃんがうまく飛ばなかった(私の日はすぐに落下してしまってました)ので、メッ!と叱るアドリブで対応でしたが、全然<ルキーニ>に見えなくなっちゃうのねー。育三郎だよね、それっていう。ファンタジー世界からふと目覚めそうになって残念。いっそ飛ばすの無しにしとけばいい、と思った。
安易なアドリブは命取り。

良かったのは、シシィを刺す場面。
誰でも良かったんだ、という部分は、前任者より狂気というか、テロリスト的でした。お兄ちゃんルキは、変質者っぽさで最後キメてきたけど、育三郎ルキは、<偉そうな人>なら、っていうところは理解しての暗殺というのが感じられました。何が違うのかな。
たぶん育三郎のほうが、理屈で考えてそうだから・・・か。お兄ちゃんゴメン。

ミルク~
ミルクはちょっと残念だった。カッコよさが落ちたよー。軽い!軽いよ。
基本の動きは変えてないのに、ちまちまっとしてる。今日のミルクがないっていう切実な怒りが溢れてこなかったです。
ダンスサークル?って程度だよう。再演(あるよね)時には、もっとガツンとした場面にし直していただきたい。

同様に、ナチス台頭のところも、うーん。
ルドルフが市民をおい!おい!って揺さ振っても、答えてくれないっていうの、良かったのになー。時代は変わった、というのは伝わりましたが、ルドルフの<通じ合えない!>っていう辛さが薄れてた。
それと、何となくルキーニ総統もコスプレっぽさが。これも軽い感じに。残念。

・パパ
大谷美智浩さん、存じ上げなかったのですけれど、とても良いパパでした。セクシー度が控えめです。村井さんとか、村井さんとか・・・はもっと色男でしたね。自由人でありながら、バランスの取れた精神を持っているのだろう、という雰囲気です。

で、これまで眠気との戦いだった「コルフ島」場面に眠気が来なかった!

以前のパパは、シシィ目線の亡霊度の強い雰囲気で、シシィへの愛情を強くアピールしてなかったのです。それよりもシシィの孤独感が強い。

今回のコルフ島に出てくるパパは、もっと積極的にシシィに語りかける意思を感じます。娘を救ってやりたい、という気持ちが見えるので、孤独や無力感のシシィに、別の道もあるのだと言い聞かせてくれてました。
父の想いが通じたかはともかく、シシィが呼んだパパというより、苦境の娘のため登場してくれたパパ、という感じに。こっちのほうが安心するシーンになったな。

・眠気ポイントその2 夜のボート
薄暗いシーンが続くので、もう眠気マックスなことが多い・・・
万里生フランツ、良く老けました。声はさすがにまだ作り声の老け声なのですが、若いので仕方なし。
花總シシィに気持ちがフォーカスできてるので、ここも眠気来ず。どういう風にフランツに対応するんだろうと楽しみに見ました。

けっこう意外だなと思ったのは、鎖は断ち切られた♪といいながら、基本的にフランツを人間として認めている気持ちは持ってそうなこと。皇帝の立場でなければ、きっと同じ船に乗れたのにね・・・
フランツはフォーエバーラブ・シシィ全開ですが、シシィは最後の信頼のような気持ちは捨ててなかったように見えました。ただ、進む道が違ってしまったのだ、どうにもならない、と歌います。

嫌いっていうより、なんだか切なく思えた。

これはある程度の年齢の役者が若作りで演じるほうがいいのだろうか。禅さんみたいに、青年時代が誰よりもキラキラしてて、つやつやの唇、は稀なことでしょうけれど。
役者さんのタイプ次第か、そうだな。

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