2017/05/03

『ハムレット』4/20夜 お・も・し・ろ・い!

@東京芸術劇場プレイハウス

舞台が斜めに飛び出た下手の角の正面という良いお席をいただいてました。ありがとうございますーーーっ
お陰で、かっこいいウッチーをデレデレしながら拝見しました。
衣装は少し日本風のイメージ、麻か綿、そして絹の質感。男性は墨色のようなダークな色合い、女性は白で。

ハムレット、フォーティンブラス/内野聖陽
オフィーリア、オズリック/貫地谷しほり
ホレイショー/北村有起哉
レアティーズ、役者/加藤和樹
ローゼンクランツ、バーナドー、役者、イギリス使節1/山口馬木也
ギルゼンスターン、マーセラス、役者、イギリス使節/今 拓哉
フランシスコー、レナルドー、役者、牧師/大重わたる

ヴォルティマンド、役者、水夫/村岡哲至
貴婦人、役者/内堀律子
役者、水夫2/深見由真
ボローニアス、墓堀の相棒/壤 晴彦
墓堀、役者、コーネリアス、隊長/村井國夫
ガートルート/浅野ゆう子
クローディアス、亡霊/國村 隼

演出:ジョン・ケアード

一言でいうなら、とても楽しかった。演劇の楽しさがつまったハムレットでした。
舞台の床と照明、小さな箱と大きめの台、舞台上下手に観客、上手に待機の役者と演奏者、

悲劇とくくられることを笑ってるような、今ここで生きているハムレットたちの生の人間らしさ、舞台と箱と照明、ほんの少しの壁に映る抽象的な映像で、400年分を飛び越えてきます。当時の時代性よりも、今の私たちに引き寄せる視点でした。

うだうだしがちな1幕は腰が少し痛くなりましたが、2幕は怒涛の展開であっと言う間です。

セリフを聞いてて、「見る」が何度も登場するんだなと発見(今頃) 
亡霊も、見る。目の前の人物を、見る。見られる。ハムレットは見かけと中は違うんだと繰り返してます。演じる人生、どれが自分か誰にもわからないじゃないか、と。
でも再婚した母の心のなかはおもんばからないんだよね。弱きもの、女、とか言っちゃって(ヒドイ)

対して、叔父クローディアスなどは見かけや態度が整えば問題ない、と思ている節がある・・・そう思ってるだろうから、再婚した母はつまり悪だと思ったってことかなー 
ここきっと評論されてるんだろうな、今度探してみよ。ありすぎて大変そうだ。

それに劇中劇も見られる自分、演じるわたし、を強化してますね。十分にもてなすことなんかないと言われる身分の役者たちが、「王」「王妃」になれる。
演じるということを重ねて強調しているのね。身分制がしっかりある時代に書かれたと思うと、身分を身にまとっているだけの「わたし」への興味があるのですね。

苦悩する(だけの)ハムレットではなくて、親近感のわく隣のお兄さんハムレットといった内野ハムレット。次期王、の風格もありつつ、学生らしきまっすぐさもあって見目麗しかった。
いかにも、な演技におちいらず、今ここで考えて出た言葉、のようにセリフを言うので、すごいのう・・・と惚れ惚れする。
活字を読んでる感じにセリフを言うパターンもあるけれど、いまここで、というリアルな感情を感じるような演技・演出でした。

ハムレットは父への敬愛の気持ちを母が踏みにじってしまった、という怒りと失望があって、亡霊に導かれ復讐の機会を待っているのですが、ねじれた父殺しの話になるんですね・・・ふーむ(ってどういうことなんだろう?面白いわー)
その心が、オフィーリアへの態度にも出てしまったのだろうか。贈り物や言葉をささげていたのに、彼女の心に触れようとしないんですよね。

その母を演じた浅野ゆう子、おお女優という綺麗な姿でした。背も高いので見栄えがいい。色気はなかったな。何か致し方ない理由があって叔父と結婚したのかなと思いたくなるほどで、それが「弱さ」なのでしょうか。

叔父の国村さんは、テレビや映画ではセリフ何を言ってるのかわからないランキング上位の方なので、心配してたのですが、きちんと聞こえました。マイクと相性悪いんですかね? 能のような風情の亡霊。父も父で自分を殺した弟に復讐しろといいながら、再婚した妻は憎まないあたり、え、優しい・・・?のか、ばかにしてんのか。

おじじコンビな國夫と壤さん。墓堀の場面は最高に笑えました。ああ、最高。二人とも70才前後ときいて、おじいちゃんの味わい・・・すてき。
國夫は役者の役のときの長セリフもびしーっとカッコいいし、墓堀のすっとぼけたじいちゃんぶりも良い。お二人ともありがとう!

今さん、ストプレで拝見するの初めてで勝手にドキドキしていたら、颯爽としてました。わりと若いひと、というのを自然に演じていたな。ウッチーもそうだけど、30歳程度っていう役どころで、ちゃんと30歳くらいの男子なのでした。山口馬木也さんとコンビになっていろいろ出てくれてました。

そしていい役もらったねの加藤和樹。最後、ハムレットに父と妹を死に追いやったと復讐に燃えるレアティーズです。
役者の役のとき、すごい跳ねてました。すごい。
終盤のハムレットとの試合、殺陣のするどさではウッチーに軍配。これはそういう演出というよりも、慣れの差かな? ウッチーのほうが腰が据わっててよかった。
自分で仕込んだ毒で死ぬんですが、あ、また死んでしまった・・・とか思いつつ。
帝劇でみると濃いめに入る和樹も、ここではさわやかな好青年なのだった。周囲が濃すぎなので。

精神を壊してしまったオフィーリア(貫地谷しほり)が歌ってるそばに寄り添って、一緒にやさしく歌ってあげてるレアディーズ和樹、夢のように美しかったです。この二人が並ぶと、リアル感が若干うすれました。
(ウッチーと貫地谷しほりちゃんが並ぶと、夢っていうより、ミツと勘助を思い出すでごいすー)

そしてそして、有起哉ですよ。顔ちっさいんだ!とウッチーと並んで気づきました。ウッチーの顔もでかいんじゃないはずですが、しゅっとしてますねー。
最後までハムレットを支える友人ホレイショー、死に瀕したハムレットを抱きかかえてくれるので、眼福です。出番は多くないが、ハムレットを見続けている人物として最初と、最後を締めています。

ストプレは素人観客なんですが、戯曲読んでる段階では気づかないことを見せられる驚きがいつもありますね。
え、こういうこと?(と演出家は捉えてたんだ!)とかね。

意図せずある結果をもたらしてしまうこととか、身体と心の関係とか、またも文学部魂が刺激される観劇となりました。シェイクスピア面白いから、こんなに上演されるんですねー。

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